美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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日がかげりはじめ、肌寒さを感じるある日の夕暮…―

私は休みを使って出掛けていた城下のお祭りが終わり、

子どもたちに別れのあいさつをしていた。


「それじゃあ、元気でね」


子ども1「うん、また手紙書くからね」


子ども2「先生も、お城で元気でね!」


手を振りながら別れると、隣に立つジルを見上げる。


「ジル、ありがとうございました」


毎年この時期に開かれるお祭りに来てほしいと、

子どもたちから手紙が届いたのは、一週間ほど前のことだった。


ジル「礼を言われる覚えはありませんよ」

ジル「この日のために、公務を頑張ったのは貴女自身です」


ジルは微笑むと、家へと帰っていく子供たちの背中に視線を戻す。


ジル「それにしても、子どもたちと遊ぶ貴女を見ると…」


(ジル……?)


ジルが小さな声で言いかけた言葉に、その横顔を窺う。

けれど、ジルは誤魔化すようにふっと息をついた。


ジル「いいえ、何でもありません」

ジル「…それよりも、雲行きがあやしくなってきましたね」


(そう言えば…)


空を見上げると、今にも降り出しそうな雨雲が立ち込めてきている。


ジル「…少し、厄介なことになりそうですね」







ジル「…大丈夫ですか?」


「はい」


あの後、またたく間に降りはじめた雨から逃れるため、

私とジルは街はずれの教会に来ていた。


ジル「少し濡れてしまいましたね」


髪の先から滴る雫を、ジルの指先が優しく拭ってくれる。


ジル「貴女にこんな思いをさせるつもりはなかったのですが…」


「そんな……」


(ジルこそ…)


雨の中、私をかばったジルの身体は、私よりも随分と濡れてしまっている。

心配そうに見上げる私に、ジルはどこか意地悪な視線を向けた。


ジル「…そんな顔をして、知りませんよ」


(え…?)


ジルの指先が髪から離れ、頬から首筋にかけて添えられる。

冷たい指の感覚に、ぴくりと肩を揺らすと、ジルが耳元で囁いた。


ジル「二人きりの時にそんな顔をしたらどうなるか…」

ジル「貴女もお分かりでしょうに」


分かっててやってます、とかだったら面白いのに(・∀・´)w


そのまま耳に口づけられ、思わず身じろぐ。


「ジ、ジル……っ」


逃れようとするも、そのまま腰を引き寄せられ、

気付けば、ジルに抱きしめられるような体勢になっていた。


羨ましい…(゜ρ゜)←


(こんなの…)


恥ずかしさから顔を俯かせると、

優しく顎をすくわれ、そのまま顔をあお向けられる。


「…ジル……?」


視線がぶつかると、ジルがにこりと微笑む。


ジル「私の心配をする前に…」

ジル「まずは、貴女自身の心配をなさってください」


そのまま、ジルの顔が近づき触れるだけのキスをする。


(ジル……)


なだめるように重ねられた口づけに、私はそっと目を閉じた…。




「…止みそうにありませんね」


ジル「ええ」

雨はその勢いをさらに増してきている。


ジル「雨があがるのを待ってから、城へ戻りたいと思っていましたが」

ジル「日も落ちていますし、これ以上待つことも難しいかもしれません」


(そうだよね……)


ジルの言葉に小さく頷く。


ジル「それに、濡れた身体をそのままにしては」

ジル「風邪を引かせてしまいそうです」


すんません、そんなんじゃ風邪ひきません(●´ω`●)ゞテレテレ


ジルは私の肩を抱き寄せるようにしながら、静かに口を開いた。


ジル「…この近くにある侯爵のお屋敷で休ませてもらえるよう」

ジル「取り計らってみましょう」


「はい」


(良かった……)


手立てが見つかり、ほっと息をついてジルを窺うと、

何故か、その表情はどこかかげりが見えた。


「ジル、何か……」


(気になることがあるんじゃ…?)


すると、ジルは窓の外に目をやりながら答えた。


ジル「ただし、○○。侯爵の屋敷に行くためには…」

ジル「ひとつ、条件があります」







ジルの提案した通り侯爵邸の門を叩くと、

侯爵はすぐに私たちを招き入れ、客室を用意してくださった。


「ありがとうございます」


メイドの女性から受け取ったタオルで濡れた身体を拭っていると、

かっぷくの良い男性が、扉を開け入ってくる。


(この方が、侯爵…)


私は小さくお辞儀をすると、そっとジルの後ろに隠れるように下がった。


(多分、バレることはないと思うけど)


私は、先ほど教会でジルと交わした約束を思い出していた…。







ジル「○○。侯爵の屋敷に行くためには…」

ジル「ひとつ、条件があります」


(条件…?)


ジルの言葉に首を傾げると、ジルが続ける。


ジル「プリンセスという身分を、隠して頂く必要があるのです」


(身分を……)


ジル「侯爵は、時折よくない噂が出る人物です」

ジル「プリンセスを一晩自分の屋敷に泊めたとなれば」

ジル「それを利用して、よからぬことを考える可能性も否めません」


(そんなことが…)


「わかりました」


私はジルの言葉に頷きながら、ふと考える。


「でも、どうやって身分を…?」


すると、ジルは苦く笑った。


ジル「あまり良策とは言えませんが、考えがあります」







侯爵「しかし、ジル殿も災難でしたな」


侯爵の言葉に、はっと顔をあげる。


ジル「いえ…侯爵が快くお返事をしてくださり、大変助かりました」


丁寧に頭を下げるジルの姿に、侯爵は上機嫌に笑う。

そして、ふとこちらへ視線を向けた。


(あ……)


侯爵「ところで、ジル殿。こちらの女性は…?」


じろじろと注がれる視線に顔を俯かせると、ジルが口を開く。


ジル「ああ、彼女は…」


ジルが、はっきりとした口調で答えた。


ジル「私の、使用人です」


ジルの言葉に続くように、私は頭を下げる。

身分を隠すため、私は一時的にジルのメイドさんとして振る舞うことになっていた。


侯爵「…なるほど、どこかでお見かけしたような気がしていましたが…」


侯爵の言葉に、どきりと鼓動が跳ねる。

ジルの話では、プリンセスと侯爵の面識は無かったらしい。


(大丈夫…だよね?)


侯爵はもう一度じっと私のほうを見て、それからジルへと視線を戻した。


侯爵「まぁ、気のせいでしょうな」

侯爵「彼女の着替えは、うちのメイドのものを用意させましょう」

侯爵「すぐにふたり分の夕食の準備をさせます」


ジル「ありがとうございます」


侯爵「いやいや、礼には及びません。それまでゆっくり寛いでください」


侯爵はそれだけ言うと、メイドの女性たちと一緒に部屋を出て行った。


(良かった……)


閉まった扉に目を向けて、ほっと息をつく。


(あれ?)


ふと、こちらへと注がれる視線に気づき、顔を上げる。


ジル「……」


「ジル…?」


(この顔……)


そのどこか切なげな表情が、お祭りでのジルの姿と重なる。



―ジル「それにしても、子どもたちと遊ぶ貴女を見ると…」―



「ジル、何を考えているんですか?」


その表情に不安を覚え訊ねると、ジルはいつも通りの笑みを浮かべる。


ジル「何でもありませんよ」


(そんな…)


怪しい…| 壁 |д・)


けれど、明らかにいつもとどこか違うジルの様子に、私は再び口を開く。


「ジル、私は……」


すると、それから先を言わせないようにするかのように、

ジルの身体が近づき、顔をのぞき込まれる。


ジル「それよりも、○○」

ジル「私の呼び方を、間違えてはいませんか?」


ジル様ーーー\(^O^)/!!




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