美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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ジル「それよりも、○○」

ジル「私の呼び方を、間違えてはいませんか?」


「え…?」


(それって……)


戸惑い声をあげた私に、ジルが続ける。


ジル「侯爵の態度を見るに、貴女が私の使用人であることを」

ジル「少し疑わしく思っていた節があります」


先ほどの、いぶかしげに思う侯爵の視線を思い出す。


ジル「少し、それらしく振る舞ったほうが良いかもしれませんね」


「…と言うと……?」


私が訊ねると、ジルは私を手招く。

近づくと、私の手の中のタオルを見ながらジルが口を開く。


ジル「○○、拭いてくれますか?」


(あ……)


ジルの言っている意味を、ようやく理解する。


(私は今、ジルのメイドさんだから…)


誰もいないんだから自分で拭けばいいじゃんとかは言わないでおこう(・∀・`)←言った


どこか気恥ずかしく思いながら、ジルの肩先を、髪を、ゆっくりと拭う。


「ジル、これで……」


(だいぶ拭けたはずだけど…)


すると、ジルが意地悪く囁いた。


ジル「○○、先ほども言ったはずです」

ジル「呼び方を、間違えていますよ」


(…っ)


甘く耳元で囁かれる声に、私は小さく口を開く。


「あの、ジル…様」

「これで、寒くはないでしょうか」


その言葉に、ジルがふっと笑む。


ジル「上出来です」


ジルの甘く囁かれる言葉に、背筋がぞくりと疼く。


(でも……)


「ジル…様、楽しんでいませんか?」


私が訊ねると、ジルは悪びれる様子もなく答える。


ジル「貴女がそんな顔をするからですよ」


ヽ(゜▽、゜)ノ←そんな顔


ジルの指先が私のほうへと伸びてきて、髪を弄ぶように触れる。


(ジルったら……)


私は愉しげなジルの視線を受け止めながら、

それでも拭えない不安に、そっと眉をひそめた。


(ジルは、さっき何を考えていたんだろう)


どこか切なげなジルの表情を思い、私はきゅっと指先を握った…。







その後、運ばれてきた食事を終え、

私はふたり分の食器をワゴンに乗せて廊下へ出た。


ジル「持っていくのですか?」


部屋の扉の前でこちらを窺うジルに、静かに答える。


「はい。お世話になりっぱなしも悪いですし…」


(キッチンに運ぶくらいなら…)


私は普段、お城のメイドさんたちがするようにワゴンを押し始めた…。







ひとり部屋へ戻ると、ジルは深く息をつく。

部屋に置かれた○○の荷物に目を留めて、

少し前のやりとりを思い出す。



―「ジル、何を考えているんですか?」―


―ジル「何でもありませんよ」―


―「ジル、私は……」―



ふっと自嘲気味に笑うと、小さく呟く。


ジル「……まったく」

ジル「○○には嘘がつけませんね」







ワゴンを止めながら、キッチンの中を窺う。


(ここに置いておけば大丈夫かな)


部屋に戻ろうとすると、突然声をかけられる。


???「あら、あなた……」


振り返ると、そこにはメイドさんたちの姿がある。


メイド「確か、ジル様のメイドよね」


「はい」


(あ、そうだ。食事のお礼を…)


メイドさんたちに夕食のお礼を言うと、

メイドさんたちは顔を見合わせながら、何やら小声で相談をし始める。


(……何だろう?)


その様子を見つめていると、

相談をしていたひとりが、真剣な面持ちでこちらを振り返った。


メイド「あなたとジル様に、折り入ってお願いがあるの」


(え……?)


「お願い…ですか?」







メイドさんたちから話しを聞いた後、

私はジルの待つ部屋に戻ろうと、廊下を歩いていた。


(ジルの言った通りだった…)



―ジル「侯爵は、時折よくない噂が出る人物です」―

―ジル「プリンセスを一晩自分の屋敷に泊めたとなれば」―

―ジル「それを利用して、よからぬことを考える可能性も否めません」―



メイドさんたちの話では、侯爵の横暴な振る舞いは日常茶飯事で、

使用人はもちろん、領民たちも手をやいているというものだった。


(ひどい…)


立場上、今まで相談することが叶わなかったけれど、

私を通して、ジルに伝えて欲しいということだった。


(早く、ジルに……・)


暗い廊下を、急ぎ足で進んでいると、ふいに声がかかる。


???「おや、これは……」


(え…?)


振り返るとそこには、ひとりの人影があった。


「っ…」


(侯爵……)




私は言われた荷物を手に、侯爵の部屋へと来ていた。


侯爵「…いやいや、急に仕事を頼んで悪かったね」


「いえ、泊めて頂いているので、これくらいのことは…」


廊下で私を見つけた侯爵は、部屋に運んで欲しい荷物があると言い、

私はそれくらいならと、引き受けていた。


(早く、この部屋を出よう)


メイドさんたちの話が頭を過り、私は侯爵に向かってお辞儀をする。


「それでは侯爵。おやすみなさいませ」


振り返り、後ろの扉に手をかけようとした瞬間…―


「っ……!」


急に腕をひかれ、気付けば私の身体はソファの上に投げ出されていた。


いやあーーやめてーー!!

ジルーー!!ゼノ様ーーー!!!←ちがう


(なんで……)


侯爵の身体が迫るものの、恐怖から声が出ない。


(ジル……っ!)


心の中でその名前を叫びながら、ぎゅっと目を閉じると…―


ジル「侯爵」


…早くね?(・∀・)w


冷ややかな声が部屋に響く。


ジル「人の使用人には手を出さないで頂きたいですね」


(ジル……)


侯爵「な、何をそんな勘違いを……」


突然現れたジルの姿に、侯爵が戸惑って声をあげる。


ジル「大方、彼女をどうにかして私の弱みでも握りたかったのでしょうが…」


ジルの声が、夜の空気に冷ややかに響く。


ジル「そのような汚い手で、私のものに触れないでください」


私のもの…私のもの…私のもの…(///∇//)エコー


ジルが私の身体を抱え上げ、扉のほうへと目を向けると、


(あ……)


そこには、お屋敷の使用人たちの姿があった。


侯爵「っ…貴様らっ……!」


侯爵の悔しそうな声が、暗い部屋中にこだました…。







部屋へと戻ると、ジルがゆっくりと私の身体をソファへと下ろした。

乱れたスカートの裾を直し、

落ちてしまったソックスをあげながら、ジルに訊ねる。


「ジル、さっきのは……」


ジル「屋敷の方々に貴女が戻らないことを伝えたら」

ジル「もしかしたら、と教えてくださったのですよ」


(それで……)


ジル「使用人頭が、侯爵の今までの横暴ぶりを告発するようです」

ジル「これで侯爵も今まで通りの振る舞いは出来なくなるでしょう」


「そうなんですね…」


突然の出来事に、まだ心の整理がつかないものの、

これで屋敷の人たちに平穏が戻ると思い、私はほっと息をついた。


(でも…)


ふと視線をあげると、浮かないジルの顔が映る。


(もしかして……)


「ジル…、怒っていますか?」


(私が勝手に部屋を出たりしたから…)


いやいや、勝手にではないでしょ。

勝手っていうのはアランヒロインのことを言うのよ( ̄▽+ ̄*)w


すると、ジルは自嘲気味に笑みを浮かべ、口を開いた。


ジル「……怒っていますよ」




私はジルに怒られたいですけどね(^ω^)←変態

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