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b787in-flight

2012年11月26日
by admin
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787はここが違う!⑦

機内高度は低く、湿度は高く快適性の高さで乗客の支持狙う
787は経済性を第一に開発された旅客機だが、それだけでは新型機としてのアピールに欠けるため、乗客の快適性についてもいくつかのセールスポイントを用意している。まず第一に胴体の強度を高め、従来の旅客機よりも高い与圧をかけられるようにしている。その結果、巡航中でも機内高度が低く抑えられ(従来の旅客機では2400m程度だったものが787では1800m程度)、それだけ地上に近い環境ですごせるようになった。
第二に機内の保湿性が高められている。従来の旅客機はエンジンからのブリードエアの湿度や圧力を調整して機内に送り込み、同時に機外に排出してもいた。つまり機内の空気は常時入れ替わっていた。ところが上空の大気に含まれる水分は非常に少なく、さらにそのわずかな水分もエアコンを通す過程でほとんど失われてしまうため、機内の空気は非常に乾燥していた。ところが787は換気する量をごくわずかにしてほとんどの空気をフィルターを通して循環させている。そこで乗客の吐く息やギャレーから出る水蒸気などが機内にとどまり、機内の湿度を高く保てるようにしているのである。またこうしたことができるのも、787が腐食に強いブラスチック製であるためである。
窓も従来より約1.6倍大きくなっており、ボーイングは「窓側でなくとも外の景色を見ることができる」としている。またこの窓はエレクトロクロミック材の使用により電気的に光の透過量を調整できるようになっており、従来のようなシェードは必要ない。さらに機内の照明もカラーLEDを使うことで多彩に演出できるようになつている。
ジェット旅客機が登場して以来、その乗り心地は機種によって大きく変わるということはなかった。しかし、ひと足先にデビューしたエアバスA380は、その圧倒的に静かで滑らかな乗り心地で乗客の心をつかんでいる。これに対して787がどれだけ乗客にアビールできるのか、その早い完成が待たれる。

b787engine

2012年11月26日
by admin
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787はここが違う!⑥

新エンジンが燃費改善に大貢献 プリードエア廃止の大胆な決断
機体重量は軽いほど飛ばすための燃料は少なくて済むというのが飛行機の常識
である。しかし(アルミ合金で作るよりも軽いとはいえ)決して軽いとはいえな
い787が在来機よりも20%も燃料消費を少なくできるという最大の理由はエンジンの効率のよさである。ボーイングによればそれが効率改善のほぼ3分の1を占めており、次いで空力特性の改善や複合材料の多用が4分の1ずつ、そして残りがシステムの改善によるものとされている。
787用エンジンはRRトレント1000とGEnxの2種類まで、いずれもエンジンとしての基本性能を高めたうえでノンプリードエアにしたというのが特徴だ。これまでのエンジンはそのパワーが100%推力として利用されていたわけではなく、発電機や油圧ポンプの駆動やプリードエア(高圧や空気)の供給源としても活用されていた。こうした負担を小さくできるならば、それだけ効率よく推力を発生できるだろうという考えだ。
そこで787用エンジンではブリードエアを抽出するのをやめ、それまでプリードエアに頼っていた客室の与圧には電動コンプレッサーを装備。同じくブリードエアを使っていた翼の防氷やエンジンの始動にも気を使うことにした。

その結果、エンジンの効率が高まったばかりでなくプリードエア用の配管なども
不要にすることができたのである。
もちろん電気の使用量は大幅に増えるため、発電機は強化された。787ではエンジン1基あたり250kVA発電機2基を装備(767は120kVAの発電機を1基装備)するようになったが、それでもブリードエアを抜くよりは負担が小さいのだという。またエンジン始動時には、これらの発電機にAPUや外部電源からの電気を送り込むことでスターターモーターとして使うようになっている(発電機とモーターは基本的に同じ構造にできる)。
また787では、これまで油圧を使っていたランディングギアのブレーキなども電気化されており、油圧ポンプの負担も小さくしている。さらに残った油圧系統も作動圧力を5000psiと高く設定することで、配管やアクチュエーターを小型化している。空力的にはコクビットに段のないフラッシュサーフェスが目をひくが、やはり抵抗軽減に一番大きく寄与しているのは主翼だろう。スパンは767の47・6mから60.1mに増大。しかもアスぺクト比は約8から約10に増えており(それだけでも誘導抵抗を小さくする効果がある)、さらに翼端をレイクドウイングチップのように後方に曲げることで異端渦の影響を小さくしている。

b787airintake

2012年11月26日
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787はここが違う!⑤

エアコンシステム
主翼付け付近のエアインテーク。787ではエンジンからのブリードエアを使わず、ここで吸入した外気をコンプレッサーで圧縮、温度調整する。

ランデインクギア
787初号機のメインランデイングギア。従来機では油圧を作っていたプレーキにも電気が使われている。

b787wings

2012年11月26日
by admin
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787はここが違う!④

主翼端
767-400や777-300ER/-200LRで実績のあるレイクドウイングチップを採用しているが、従来以上に滑らかな形状となっており、787の近未来性を印象付けている。なお、ANAとJALがともに発注している短距離型の787-3ではプレンデッドウイングレツトも装備することによりウィングスパンを短縮し、スポットの狭い国内線空港に対応できるようにされる。


標準型の787-8で60.1mのウィングスパンを持つ主翼。
胴体と同様に主翼、尾翼とも複合素材が多用され、主要構造部は三菱重工業が製造を担当している。主翼を複合素材とするメリットとしては軽量化のほか、一体
成型であることから、金属では難しい複雑な形状にも対応できることなどがある。

b787cfrp

2012年11月26日
by admin
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787はここが違う!③

とりわけ注目されているのがCFRP(炭素緘維強化プラスチック)などの複合材料の使用比率の高さだ。プラスチック系の複合材料は60年代から旅客機にも使われるようになったが、初期にはその耐久性が実証されていないということも
あって、万が一破損しても飛行の安全に深刻な影響を与える心配の少ないレドーム
ムやフェアリングなどに使われていたにすぎない。その使用比率も747では全体の1%程度(重量比)だった。
しかし信頼性が実証されるにつれて複合材料の使用部位や比率も高まり、757や767では約3%、777では約11%にまで増加した。ところが787では、その比率がついに約50%にも達しているのである。まだ半分と思えばたいしたことがないようだが、残り半分はほとんどがエンジンやランディングギアなど複合素材の適さない部位であり、実質的には787の機体は、ほぽ完全に複合材料(強化プラスチック)化されたといっていい。
こうしたプラスチック系複合材科のメリットは軽くて丈夫な機体を作りやすいことと、金属のように腐食しないこと、そして複雑な形状も一型で作りやすい(それだけ接合部の重量ロスや製造、整備の手間も省ける)ということなどである。
ただし公表されているスペックでは787の機体重量は決して輊くはない。
たとえば標準モデルの787-8の運航自重はほぽ同規模の767-300ERの運航自重より、約2割も重くなっているのだ(767-300ERの約90tに対して787-8は約115t)。
これは意外かもしれないが、787-8と767-300ERはほぽ同じ全長ながら、787の方がスパンが大きく、また約1.5倍もの航続距離を確保するために多くの燃料を搭載できるようにもなっている。つまり最大離陸重量が大きく、構造もそれに耐えられるよう丈夫に作られなければならない。これをもし従来通りのアルミ合金主体の材料と構造で作ろうとしたならば、2割增どころかさらに重い機体になつてしまったということなのだろう。