タフネス萩野３冠　１００メートル背　入江に勝った

　▽世界選手権（７〜８月、バルセロナ）選考会を兼ねる▽第２日▽１２日▽ダイエープロビスフェニックスプール（新潟県長岡市）▽男女１００メートル背泳ぎなど決勝８種目

　水の怪物が６冠へ大きく前進した。ロンドン五輪男子４００メートル個人メドレー銅メダリストの萩野公介（１８）＝東洋大＝が２００メートル自由形では１分４６秒２８で松田丈志（２８）＝コスモス薬品＝を、１００メートル背泳ぎでは５３秒１０で入江陵介（２３）＝イトマン東進＝を破り優勝。前日の４００メートル個人メドレーと合わせ３冠に到達した。萩野は残る２日間で４００メートル自由形、２００メートル個人メドレー、２００メートル背泳ぎの６冠に挑戦する。

　まさに水の怪物。驚異的なタフさを萩野が見せつけた。「一番タフな日を乗り切ることができてホッとしている。疲れは思ったほどないです」とケロリ。メダリストを下し、世界選手権派遣標準を突破しての２冠。そんな激闘の疲れもどこへやらだ。

　まずは２００メートル自由形。東洋大の平井伯昌監督が「前半はサボっていた」と分析するように２番手につけると１２５メートル付近から追い上げ、そのままフィニッシュ。真骨頂はここからだった。

　２１分後の１００メートル背泳ぎへ、プールでぎりぎりまでクーリングダウンすると、何事もなかったかのようにスタート台へ。あとは入江の猛追をかわし、今大会３冠目のタッチ。「憧れの入江さん、松田さんと泳げること自体がうれしかった」。１８歳らしく無邪気に喜んだ。

　あどけない怪物には歴戦のメダリストも脱帽だ。ロンドン五輪２００メートルバタフライ銅、メドレー銀の松田が「予想もしないタイムで泳ぐ。日本人の常識が通用しない、枠にはまらない選手」と言えば、同五輪１００メートル背泳ぎ銅、２００メートル背泳ぎとメドレー銀の入江も「僕が弱いターンや水中のバサロ泳法も強い。いい部分を盗みながらやっていきたい」と強さを認めた。

　「日本の選手はチャレンジする人が少ないが、小さいころからフェルプス選手（北京五輪８冠）を見て、意識を変えようと思っていた」と、日本人スイマーの概念を大きく変えようとしている萩野。３冠はまだその序章にすぎない。　（川村庸介）