選択肢です〜(´・ω・`)
笑顔で答える
(でも、ないがしろにはできないし・・・)
私はこわばった笑顔を向け、そっと足を後ろに引いた。
→ Honeyへいきましたー!
身じろぎをする
(プリンセスの役目だとわかってるけど・・・)
私は思わず身をよじって、その手から逃れようとした。
動かずに我慢する
(もう、何も考えずにいるしかないよね・・・)
私はじっと動かずに、その手の感触に耐えていた。
※以下、ネタバレご注意ください!!!
↓ ↓ ↓
レオ「プリンセス、久しぶりだね」
廊下の先にレオの姿を見つけ、私はレオの言葉を思い出して言った。
ーー回想ーー
レオ「アランがだめなら、俺にしておきなよ」
レオ「だって、俺たち双子だから」
ーーーーー
(双子・・・)
思わず立ち止まり、考える。
(レオなら何か、アランのことを知ってるのかも)
(でも、そんなこと・・・)
聞けないと思っていると、近づいてきたレオがふっと目を細める。
レオ「・・・もしかして今日、何か見た?」
「えっ」
レオに訊ねられ、私は驚いて息を飲んだ。
「どうして・・・」
レオ「やっぱりね」
ふっと笑みを浮かべたレオの顔が、少し悲しそうに見えた・・・。
・・・・
庭にでると、レオがぽつりぽつりと話を聞かせてくれた。
レオ「西の方に行くって聞いてたからね。アランは絶対に行くと思ってた」
「それは・・・お墓のこと?」
私はお墓の前に立つアランの姿を思い出す。
レオ「俺たちの、両親の墓だよ」
「ご両親?」
(亡くなってたんだ・・・)
レオ「すごく、優しい両親だったんだ・・・でも」
見上げると、遠くを見るレオの瞳が揺れていた。
「レオ?」
思わず呼びかけると、レオがはっとまつげを揺らす。
そうして静かに私を見おろすと、口元にかすかな笑みを浮かべた。
レオ「この話も、アランには内緒だよ?」
「うん・・・」
レオの言葉に頷きながらも、私は夜空を見上げ思う。
(私、まだ何も知らないんだ・・・)
(もっとアランのこと、知っていきたい・・・)
暗がりの中に、ランプだけが仄明るく手元を照らしている。
私は執務室で一人、本棚を見上げていた。
(ご両親のことは、直接訊ねるわけにはいかないし・・・)
(アランやレオの家のことについて、何かわかることはないかな)
本棚から取り出した分厚い歴史書のページをたぐっていると、
不意に後ろから声が響いてくる。
???「何を調べていらっしゃるのですか?」
「・・・!」
驚いた私の身体が、びくりと震えた。
(だ、誰・・・!?)
慌てて振り返るとそこには、
いぶかしげな表情を浮かべるジルの姿があった。
「ジル・・・!」
ジル「・・・そんな反応をするとは、何か隠し事でしょうか?」
ジルの言葉に、視線が揺れる。
「えっと・・・」
(どうしよう、何て言えば・・・?)
するとジルが迫り、本棚に手をついた。
「・・・っ」
囲われるように本棚に背中をつけた私は、おそるおそるジルを見上げる。
ジル「・・・もう一度聞きます。何を調べていらっしゃるのですか?」
ジルの顔が寄せられていき、私はたまらずに息をのんだ。
「あ、あの・・・」
そうしてアランの家のことについて調べていたと白状すると、
ジルが呆れたように息をついた。
「でも、何もわからなく・・・」
するとジルが黙ったまま私の手から本を取り上げ、本棚にしまう。
ジル「当然です。このような歴史書に載っているはずがありませんから」
「え・・・?」
(どういうこと・・・?)
ゆっくりと振り返ったジルが、私を見つめて言った。
ジル「あの方たちは、権力闘争に巻き込まれて亡くなったといわれています」
(え・・・!?)
驚き見上げる私に、ジルがゆっくりと語ってくれる。
ジル「私が知っていることは、アラン殿たちのご両親が宮廷官僚であったこと、」
ジル「権力闘争のすえ謀殺されたと噂されていること」
ジル「そして・・・」
ジルがふっと目を上げ、私を見た。
ジル「騎士として期待されていたあの兄弟の、その後くらいでしょうか・・・」
ジルの話を聞き、私の指先は微かに震えだしていた。
(アランのご両親が、謀殺された・・・)
「そんなことって・・・」
思わず呟くと、ジルがため息をつく。
そして、低い声で告げた。
ジル「倒れているご両親を見つけたのは、まだ幼かったあの兄弟です」
ジル「そしてすぐに、屋敷には火が・・・」
その言葉に、私ははっと顔を上げた。
(だからあの時、アランはああ言っていたんだ・・・)
ーー回想ーー
アラン「でも俺は・・・もう二度と、大事なもんは失えない」
アラン「俺には、そんなこと無理だ。大事なもんは、自分で守る」
ーーーーーー
苦しそうなアランの表情を思い出し、胸が痛む。
(失えないって、そういうことだったんだ・・・・)
ジル「プリンセス」
ジルに呼ばれ、私はゆっくりと視線を上げた。
ジル「・・・このようなことを調べてどうするおつもりだったのかは聞きませんが」
ジル「あまり、城内では話されないほうがいいですね」
「え・・・・?」
(どうして・・・?)
思わず呟くと、視線をそらしながらジルが呟く。
ジル「巻き込まれないためにも」
・・・・・・・
そうして執務室から部屋へと戻ると、
私はドアに背中を預けながら耳飾りに触れた。
レオや、ジルに聞いた話が脳裏をよぎっていく。
(アラン・・・)
そして、翌日・・・ー。
私はスケジュール通りに、貴族の男性たちとの約束をこなしていた。
貴族「さあ、プリンセス。こちらへ!」
「あ、はい・・・」
(この人、なんだか距離が近いみたい・・・・)
乱暴に方を抱き寄せられ、私は思わず眉をひそめる。
ーー選択肢ーー
(でも、ないがしろにはできないし・・・)
私はこわばった笑顔を向け、そっと足を後ろに引いた。
ーーーーーーー
アラン「・・・・・」
騎士として側にいるアランは、何食わぬ顔で立っていた。
(アラン、やっぱり気にならないのかな・・・)
少し寂しく思っていると、貴族の男性の手が方から離れる。
(良かった・・・)
ほっとするのもつかの間、今度は腰元をきつく寄せられた。
「・・・えっ」
貴族「さあ、あちらへ!」
貴族の男性の笑みが近づき、私は必死に顔を背けて頷いた。
(これもプリンセスの役目だと思えば、仕方ないよね・・・)
「は、はい・・・」
アラン「・・・・・」
・・・・・・・
(あれ・・・?)
ちらりと馬の止まる方を見るものの、アランの姿はない。
(アラン、どこ行っちゃったんだろう・・・)
辺りを目で探していると、私の様子に貴族の男性が気付いてしまう。
貴族「騎士など、どうでもよいでしょう!」
「え・・・?」
呟くと、そのまま乱暴に頬を挟まれた。
合意にに上向かされ見上げた貴族の男性の目に、私は思わず息をのむ。
(この人、ちょっと怖い・・・)
貴族「すぐに、気にならなくさせてさしあげますから・・・」
そうして顔を寄せてくる貴族の男性に、ついに背筋がぞくりと震えた。
「・・・やっ」
・・・・・
その頃・・・ー。
げむ子たちの姿が見えないところまで歩き、アランは立ち止まった。
貴族の男に触れられるげむ子の姿を思い出し、ぐっと眉を寄せる。
アラン「・・・・何やってんだ、俺」
小さくため息を着いた。その時・・・。
庭の方から、げむ子の短い悲鳴が聞こえてきた。
アラン「・・・!?」
貴族の男性から逃れようとした拍子に足をくじいてしまった私は、
すぐにお城へと戻る事になった。
包帯を巻き終えたユーリが、私を見上げながら訊ねる。
ユーリ「痛くない? げむ子様」
「大丈夫、ありがとう、ユーリ」
ユーリは立ち上がると、むっと眉を寄せた。
ユーリ「未遂で終わったからって、許せないよね、あの貴族」
「・・・う、うん」
(改めて言われると、恥ずかしいな・・・)
キスをされかけたことを思い出し、私の頬が赤く染まった。
そのとき、部屋のドアが開いてジルが姿を現す。
ジル「どうですか?」
ユーリ「手当は終わったよ」
そうして歩み寄ると、ため息をついて私の足を見おろした。
ジル「あなたは、私にため息ばかりつかせますね」
「すみません・・・」
そうして謝ってから、私は顔を上げて告げた。
「ジル、これは私の不注意なんです。アランには関係なくて・・・」
私は怪我をした時のことを思い出す。
(アラン、顔色が真っ青だった・・・)
アランは何も言わないまま私を抱え上げ、城へと連れ帰ってくれた。
その間も一言もしゃべらないアランの姿に、不安を感じていた。
(アランのせいじゃないのに・・・)
すると、ジルが目を細めて口を開く。
ジル「わかっていますよ。納得しないのはアラン殿のほうです」
(え・・・・?)
ジルの言葉に、私は驚いて顔を上げた。
「どういうことですか?」
ジル「謹慎処分を求められたので、仕方なく三日ほど出しましたが・・・」
(え・・・謹慎処分!?)
・・・・・・
そして、夜・・・・ー。
私はベッドに腰掛けたまま、アランのことを考えていた。
足下を見おろし、地面を軽くたたいてみる。
(アラン、気にしすぎてないかな・・・)
(こんな怪我、たいしたことないのに)
「・・・・・・・」
私はゆっくりと立ち上がると、足の様子を確かめてから歩き出した。
(アランに、心配をかけたことを謝りにいこう・・!)
部屋のドアをたたくと、顔を出したアランが驚いて声をあげた。
アラン「何・・・考えてんだよ」
怒りを抑えたような声音で言い、それから私の足下を見おろす。
アラン「そんな足で・・・・」
私はアランの言葉にめげないように身を乗り出し、言った。
(アラン、怒ってるみたい・・・でも)
「アラン、話したいことがあるの・・・」
アラン「・・・・・」
私を見おろしていたアランの視線が、下の方へと落ちて行った・・・。
・・・・・・
蝶番が微かな音を立て、アランがぽつりと呟いた。
アラン「悪い」
「え・・・?」
呟くアランを振り返り、私は静かに訊ねた。
アラン「こんなことになったのは、俺のせいだ」
アランがゆっくりと歩き、ベッドにこしかける。
そうして口元に、自嘲めいた笑みを浮かべて言った。
アラン「・・・・俺、騎士失格かもな」
「そんなことない、これは私の・・・」
アランの目が耳元に注がれていることに気づき、私ははっと言葉をのむ。
「・・・・」
(アランのせいじゃないって、どうやって伝えればいいんだろう・・・)
言葉を飲み込んだまま近づくと、
アランの指先が微かに震えていることに気付いた。
(アラン・・・)
アラン「俺が、お前が他の奴に触れられるところを見たくなかったんだよ」
アラン「だから、離れたんだ」
アランの言葉に、私は小さく息を吸い込んだ。
アランが自分の手を見おろし、呟いた。
アラン「俺はまた、大事なもんを・・・」
「・・・・っ」
私はアランの言葉を遮り、手を伸ばす。
「アラン・・・」
そうしてアランの頬を引き寄せ、胸にぐっと抱き寄せた・・・。
笑顔で答える
(でも、ないがしろにはできないし・・・)
私はこわばった笑顔を向け、そっと足を後ろに引いた。
→ Honeyへいきましたー!
身じろぎをする
(プリンセスの役目だとわかってるけど・・・)
私は思わず身をよじって、その手から逃れようとした。
動かずに我慢する
(もう、何も考えずにいるしかないよね・・・)
私はじっと動かずに、その手の感触に耐えていた。
※以下、ネタバレご注意ください!!!
↓ ↓ ↓
レオ「プリンセス、久しぶりだね」
廊下の先にレオの姿を見つけ、私はレオの言葉を思い出して言った。
ーー回想ーー
レオ「アランがだめなら、俺にしておきなよ」
レオ「だって、俺たち双子だから」
ーーーーー
(双子・・・)
思わず立ち止まり、考える。
(レオなら何か、アランのことを知ってるのかも)
(でも、そんなこと・・・)
聞けないと思っていると、近づいてきたレオがふっと目を細める。
レオ「・・・もしかして今日、何か見た?」
「えっ」
レオに訊ねられ、私は驚いて息を飲んだ。
「どうして・・・」
レオ「やっぱりね」
ふっと笑みを浮かべたレオの顔が、少し悲しそうに見えた・・・。
・・・・
庭にでると、レオがぽつりぽつりと話を聞かせてくれた。
レオ「西の方に行くって聞いてたからね。アランは絶対に行くと思ってた」
「それは・・・お墓のこと?」
私はお墓の前に立つアランの姿を思い出す。
レオ「俺たちの、両親の墓だよ」
「ご両親?」
(亡くなってたんだ・・・)
レオ「すごく、優しい両親だったんだ・・・でも」
見上げると、遠くを見るレオの瞳が揺れていた。
「レオ?」
思わず呼びかけると、レオがはっとまつげを揺らす。
そうして静かに私を見おろすと、口元にかすかな笑みを浮かべた。
レオ「この話も、アランには内緒だよ?」
「うん・・・」
レオの言葉に頷きながらも、私は夜空を見上げ思う。
(私、まだ何も知らないんだ・・・)
(もっとアランのこと、知っていきたい・・・)
暗がりの中に、ランプだけが仄明るく手元を照らしている。
私は執務室で一人、本棚を見上げていた。
(ご両親のことは、直接訊ねるわけにはいかないし・・・)
(アランやレオの家のことについて、何かわかることはないかな)
本棚から取り出した分厚い歴史書のページをたぐっていると、
不意に後ろから声が響いてくる。
???「何を調べていらっしゃるのですか?」
「・・・!」
驚いた私の身体が、びくりと震えた。
(だ、誰・・・!?)
慌てて振り返るとそこには、
いぶかしげな表情を浮かべるジルの姿があった。
「ジル・・・!」
ジル「・・・そんな反応をするとは、何か隠し事でしょうか?」
ジルの言葉に、視線が揺れる。
「えっと・・・」
(どうしよう、何て言えば・・・?)
するとジルが迫り、本棚に手をついた。
「・・・っ」
囲われるように本棚に背中をつけた私は、おそるおそるジルを見上げる。
ジル「・・・もう一度聞きます。何を調べていらっしゃるのですか?」
ジルの顔が寄せられていき、私はたまらずに息をのんだ。
「あ、あの・・・」
そうしてアランの家のことについて調べていたと白状すると、
ジルが呆れたように息をついた。
「でも、何もわからなく・・・」
するとジルが黙ったまま私の手から本を取り上げ、本棚にしまう。
ジル「当然です。このような歴史書に載っているはずがありませんから」
「え・・・?」
(どういうこと・・・?)
ゆっくりと振り返ったジルが、私を見つめて言った。
ジル「あの方たちは、権力闘争に巻き込まれて亡くなったといわれています」
(え・・・!?)
驚き見上げる私に、ジルがゆっくりと語ってくれる。
ジル「私が知っていることは、アラン殿たちのご両親が宮廷官僚であったこと、」
ジル「権力闘争のすえ謀殺されたと噂されていること」
ジル「そして・・・」
ジルがふっと目を上げ、私を見た。
ジル「騎士として期待されていたあの兄弟の、その後くらいでしょうか・・・」
ジルの話を聞き、私の指先は微かに震えだしていた。
(アランのご両親が、謀殺された・・・)
「そんなことって・・・」
思わず呟くと、ジルがため息をつく。
そして、低い声で告げた。
ジル「倒れているご両親を見つけたのは、まだ幼かったあの兄弟です」
ジル「そしてすぐに、屋敷には火が・・・」
その言葉に、私ははっと顔を上げた。
(だからあの時、アランはああ言っていたんだ・・・)
ーー回想ーー
アラン「でも俺は・・・もう二度と、大事なもんは失えない」
アラン「俺には、そんなこと無理だ。大事なもんは、自分で守る」
ーーーーーー
苦しそうなアランの表情を思い出し、胸が痛む。
(失えないって、そういうことだったんだ・・・・)
ジル「プリンセス」
ジルに呼ばれ、私はゆっくりと視線を上げた。
ジル「・・・このようなことを調べてどうするおつもりだったのかは聞きませんが」
ジル「あまり、城内では話されないほうがいいですね」
「え・・・・?」
(どうして・・・?)
思わず呟くと、視線をそらしながらジルが呟く。
ジル「巻き込まれないためにも」
・・・・・・・
そうして執務室から部屋へと戻ると、
私はドアに背中を預けながら耳飾りに触れた。
レオや、ジルに聞いた話が脳裏をよぎっていく。
(アラン・・・)
そして、翌日・・・ー。
私はスケジュール通りに、貴族の男性たちとの約束をこなしていた。
貴族「さあ、プリンセス。こちらへ!」
「あ、はい・・・」
(この人、なんだか距離が近いみたい・・・・)
乱暴に方を抱き寄せられ、私は思わず眉をひそめる。
ーー選択肢ーー
(でも、ないがしろにはできないし・・・)
私はこわばった笑顔を向け、そっと足を後ろに引いた。
ーーーーーーー
アラン「・・・・・」
騎士として側にいるアランは、何食わぬ顔で立っていた。
(アラン、やっぱり気にならないのかな・・・)
少し寂しく思っていると、貴族の男性の手が方から離れる。
(良かった・・・)
ほっとするのもつかの間、今度は腰元をきつく寄せられた。
「・・・えっ」
貴族「さあ、あちらへ!」
貴族の男性の笑みが近づき、私は必死に顔を背けて頷いた。
(これもプリンセスの役目だと思えば、仕方ないよね・・・)
「は、はい・・・」
アラン「・・・・・」
・・・・・・・
(あれ・・・?)
ちらりと馬の止まる方を見るものの、アランの姿はない。
(アラン、どこ行っちゃったんだろう・・・)
辺りを目で探していると、私の様子に貴族の男性が気付いてしまう。
貴族「騎士など、どうでもよいでしょう!」
「え・・・?」
呟くと、そのまま乱暴に頬を挟まれた。
合意にに上向かされ見上げた貴族の男性の目に、私は思わず息をのむ。
(この人、ちょっと怖い・・・)
貴族「すぐに、気にならなくさせてさしあげますから・・・」
そうして顔を寄せてくる貴族の男性に、ついに背筋がぞくりと震えた。
「・・・やっ」
・・・・・
その頃・・・ー。
げむ子たちの姿が見えないところまで歩き、アランは立ち止まった。
貴族の男に触れられるげむ子の姿を思い出し、ぐっと眉を寄せる。
アラン「・・・・何やってんだ、俺」
小さくため息を着いた。その時・・・。
庭の方から、げむ子の短い悲鳴が聞こえてきた。
アラン「・・・!?」
貴族の男性から逃れようとした拍子に足をくじいてしまった私は、
すぐにお城へと戻る事になった。
包帯を巻き終えたユーリが、私を見上げながら訊ねる。
ユーリ「痛くない? げむ子様」
「大丈夫、ありがとう、ユーリ」
ユーリは立ち上がると、むっと眉を寄せた。
ユーリ「未遂で終わったからって、許せないよね、あの貴族」
「・・・う、うん」
(改めて言われると、恥ずかしいな・・・)
キスをされかけたことを思い出し、私の頬が赤く染まった。
そのとき、部屋のドアが開いてジルが姿を現す。
ジル「どうですか?」
ユーリ「手当は終わったよ」
そうして歩み寄ると、ため息をついて私の足を見おろした。
ジル「あなたは、私にため息ばかりつかせますね」
「すみません・・・」
そうして謝ってから、私は顔を上げて告げた。
「ジル、これは私の不注意なんです。アランには関係なくて・・・」
私は怪我をした時のことを思い出す。
(アラン、顔色が真っ青だった・・・)
アランは何も言わないまま私を抱え上げ、城へと連れ帰ってくれた。
その間も一言もしゃべらないアランの姿に、不安を感じていた。
(アランのせいじゃないのに・・・)
すると、ジルが目を細めて口を開く。
ジル「わかっていますよ。納得しないのはアラン殿のほうです」
(え・・・・?)
ジルの言葉に、私は驚いて顔を上げた。
「どういうことですか?」
ジル「謹慎処分を求められたので、仕方なく三日ほど出しましたが・・・」
(え・・・謹慎処分!?)
・・・・・・
そして、夜・・・・ー。
私はベッドに腰掛けたまま、アランのことを考えていた。
足下を見おろし、地面を軽くたたいてみる。
(アラン、気にしすぎてないかな・・・)
(こんな怪我、たいしたことないのに)
「・・・・・・・」
私はゆっくりと立ち上がると、足の様子を確かめてから歩き出した。
(アランに、心配をかけたことを謝りにいこう・・!)
部屋のドアをたたくと、顔を出したアランが驚いて声をあげた。
アラン「何・・・考えてんだよ」
怒りを抑えたような声音で言い、それから私の足下を見おろす。
アラン「そんな足で・・・・」
私はアランの言葉にめげないように身を乗り出し、言った。
(アラン、怒ってるみたい・・・でも)
「アラン、話したいことがあるの・・・」
アラン「・・・・・」
私を見おろしていたアランの視線が、下の方へと落ちて行った・・・。
・・・・・・
蝶番が微かな音を立て、アランがぽつりと呟いた。
アラン「悪い」
「え・・・?」
呟くアランを振り返り、私は静かに訊ねた。
アラン「こんなことになったのは、俺のせいだ」
アランがゆっくりと歩き、ベッドにこしかける。
そうして口元に、自嘲めいた笑みを浮かべて言った。
アラン「・・・・俺、騎士失格かもな」
「そんなことない、これは私の・・・」
アランの目が耳元に注がれていることに気づき、私ははっと言葉をのむ。
「・・・・」
(アランのせいじゃないって、どうやって伝えればいいんだろう・・・)
言葉を飲み込んだまま近づくと、
アランの指先が微かに震えていることに気付いた。
(アラン・・・)
アラン「俺が、お前が他の奴に触れられるところを見たくなかったんだよ」
アラン「だから、離れたんだ」
アランの言葉に、私は小さく息を吸い込んだ。
アランが自分の手を見おろし、呟いた。
アラン「俺はまた、大事なもんを・・・」
「・・・・っ」
私はアランの言葉を遮り、手を伸ばす。
「アラン・・・」
そうしてアランの頬を引き寄せ、胸にぐっと抱き寄せた・・・。