ゼノ様かっこよすぎて困る(*ノωノ)w
Episode.2
ゼノ「…………」
「…………」
目の前に立つ男の人の姿に、私は瞬きも出来ずにいた。
夜色の髪と、右目を隠す眼帯には見覚えがある。
(まさか、この方が……)
―ジル「シュタイン王国の、ゼノ様がいらっしゃいます」―
(ゼノ様なの……?)
それは何度も繰り返し思い出しては、胸をぎゅっと掴んだ姿だった。
(でも、そんなことって……)
息を呑むと、やがてゼノ様が静かに口を開いた。
ゼノ「……ウィスタリアのプリンセスか」
「……っ」
その低い声音に、私はぴくりと肩を揺らす。
胸の奥が、じんと熱くなるのを感じた。
(この声、間違いない)
―ゼノ「どうした、立てないのか?」―
(あの時、助けてくださった方だ……)
辺りのざわめきが、遠いものに感じられる。
胸の鼓動を速めるまま何も答えられずにいると、
少し後ろに立つジルが怪訝な表情を浮かべ、小さな声で訊いた。
ジル「プリンセス、どうかされましたか?」
「あ……っ」
その言葉にはっと目を瞬かせ、私は我に返る。
(そうだ。今はウィスタリアのプリンセスとして、ゼノ国王にお会いしているんだ……)
(しっかりしなくちゃ)
ぐっとわずかに喉をならすと、私は改めてドレスの裾をつまんだ。
「はい、ゼノ様……初めまして」
ゼノ「…………」
挨拶の言葉を口にして顔を上げると、
ゼノ様の視線はじっと、私へと注がれていた。
ゼノ「……なるほどな」
ゼノ様が低く呟くと、途端にホールの片隅からダンスの曲が響いてくる。
辺りのざわめきが止み、薄らと甘い雰囲気が辺りを包んでいった。
ゼノ「今後も隣国として、期待している」
「……はい」
向けられたゼノ様の何気ない言葉にも反応し赤く染まる頬を隠すように、
私は少しだけ顔をうつむけ、返事を返す。
それだけ告げると、ゼノ様が踵を返した。
ジル「ダンスの時間ですが、よろしいのですか?」
ゼノ「…………」
ジルの声にわずかに振り返ると、ゼノ様が言う。
ゼノ「ああ。悪いが失礼する」
踊りたかった…(・ω・`)
そうして歩き出したゼノ様の後ろで、
シュタインの騎士団長であるアルバートがじっと私を見おろしていた。
アルバート「…………」
ゼノ「アル、行くぞ」
ゼノ様の声にうながされ、アルバートが静かに視線を伏せる。
アルバート「はい、ゼノ様」
そうして去っていくゼノ様の後ろ姿を見送りながら、
一歩前に出たジルがため息をついた。
ジル「プリンセス……」
ジル「ゼノ様は、あの大国を一人で治めている方です。油断しないでください」
「……はい」
私はジルの言葉に頷きながらも、胸の前でぎゅっと手を握った。
(ゼノ様はたぶん、あの時のことを覚えていないんだろうな)
(でも……)
もう隠しきれないほどに、胸の鼓動が跳ねている。
「…………」
(いつかお礼を言えればいいなって、思ってしまう……)
もう一度顔を上げるものの、ホールにはもうゼノ様の姿はない。
ゆったりとしたダンスの曲だけが、流れていた。
そして…―。
そしてセレモニーが終わった、その翌日…―。
「……え?」
いつものように食堂でジルから予定を聞いていた私は、
驚きに思わず声をあげた。
(今、何て……)
すると私の顔を見おろし、ジルがため息をつきながら言う。
ジル「シュタインからの、正式な申し出です」
ジル「プリンセスとして、あなたがゼノ様にこの国を案内してさしあげてください」
ゼノ様ーーーー好きですーーーー( 」゚Д゚)」
ジルに告げられた通り、私は仕度を整え城の外に出ていた。
(でも私なんかに、ゼノ様の案内が務まるのかな……)
不安に息をつくと、門の近くにアランの姿を見つける。
「アラン」
アラン「…………」
(騎士として、アランがついていてくれるんだよね)
なんだ二人きりじゃないのか(´д`;)
軽く駆け寄ると、アランがすっと目を細めて言った。
アラン「お前、あまり油断するなよ」
「え?」
アランの言葉に、昨夜のジルの言葉を思い出す。
―ジル「ゼノ様は、あの大国を一人で治めている方です。油断しないでください」―
(ジルも同じことを言っていた)
(……ゼノ様は、一体どんな方なんだろう)
考えていると、途端に髪を揺らす風が吹いてくる。
「…………」
その風に促されるように顔を上げると、ゼノ様の姿が見えた。
(あ……)
ゼノ「待たせたな」
馬車に乗り込むと、私は斜め前に座るゼノ様に尋ねた。
「あの……ゼノ様は、どちらに行かれたいのですか?」
私はちらりと、窓の外に馬をつけるアランとアルバートに目を向ける。
ついてきている護衛は、その二人だけだった。
二人だけか…撒けるかな(・ω・´)w
(何だか国王様にしては随分、少人数だけど……)
すると頬杖をつき、ゼノ様が私の目を見ながら言った。
ゼノ「城下を案内してくれないか」
ゼノ「ウィスタリアのプリンセスは、城下の出だと聞いたが……」
馬車の窓枠に頬杖をつきながら、ゼノ様が私を見る。
ゼノ様の頬杖萌えるうぅうぅぅううぅうぅ(*ノωノ)←落ち着け
「あ……はい」
思いがけない言葉に、私は目を瞬かせた。
(国王様が城下に興味があるなんて、意外だな……)
思いながらも、私はしっかりと頷き答えた。
「わかりました」
゚・*:.。..。.:*・゚ 選択肢 ゚・*:.。..。.:*・゚
A:市場を…
「まず市場を、ご案内してもいいですか?」
尋ねると、ゼノ様がふっと口元をほころばせた。
ゼノ「……ああ」
B:街並みを…
「まず街並みを、ご案内してもいいですか?」
私の提案に、ゼノ様が小さく頷いた。
ゼノ「……そうしてくれ」
C:教会を…
「まず教会に、ご案内してもいいですか?」
するとゼノ様が目を細め、窓の外に視線を向ける。
ゼノ「……任せる」
゚・*:.。..。.:*・゚ 選択肢End ゚・*:.。..。.:*・゚
私の言葉にわずかに目を細めると、ゼノ様が言う。
ゼノ「感謝する」
城下に着くと、私は知る限りの場所にゼノ様を案内していた。
その間にも、城下の人たちの視線が痛いほどに感じられる。
「…………」
(何だか、すごく目立つみたい)
私はため息をつき、ちらりとゼノ様の横顔を見上げた。
ゼノ「…………」
(身なりもそうだけど、顔立ちも華やかだからかな……)
考えていると不意に、後ろから声をかけられる。
アルバート「プリンセス」
「あ、はい……」
名前を呼ばれ振り返ると、アルバートが目を細めた。
アルバート「あれを説明してほしいのですが」
「あれは……」
そうして私は懸命に、アルバートの質問に答えてまわる。
ゼノ様はただ黙って、私の話を聞いていた。
なんか可愛い(・∀・`)♡←末期
ゼノ「…………」
そんなゼノ様の隣に並びながら、私は思わず笑みを浮かべる。
(何だか、おかしな一行だな……)
すると私の様子に気づき、ゼノ様が目を細めた。
ゼノ「どうした?」
「あ……」
ゼノ様の声に、私は慌てて笑みを隠した。
(失礼だったかもしれない)
考えていると、やがてゼノ様が告げる。
ゼノ「……何でも話せ。構わない」
「…………」
ゼノ様の言葉に勇気づけられるように、私は口を開いた。
「もし私が城下に住んでいたら、」
「やっぱりゼノ様を見て、びっくりするだろうなって思ったんです」
ゼノ「…………」
ゼノ様が、視線を辺りへと向ける。
そこには遠巻きに私たちを見る、城下の人たちの姿があった。
ゼノ「その通りだな」
そうして息をつくと、ゼノ様が真面目な声音で言う。
ゼノ「気がまわらなかった。次からは別に服を用意しよう」
そして私は最後に、城下を一望できる場所を案内していた。
「…………」
アランとアルバートは、馬車近くで私たちのことを待っている。
暮れ始めた空に近いこの場所で、私はゼノ様と二人きりだった。
ゼノ「……いい国だな」
ゼノ様が遠くを見つめながら、低く呟く。
その言葉に、私はしっかりと答えた。
「はい……私は、この国が好きです」
ゼノ「そうか」
沈黙が落ちるものの、何故だか居心地の悪さは感じない。
私は胸の奥がまたぎゅっと音を立てるのを感じていた。
「いつか……シュタイン王国も見てみたいです」
私の呟きに、ゼノ様が答えてくれる。
ゼノ「ああ。その時は国をあげて歓迎しよう、プリンセス」
「…………」
(今のは、国王としての言葉だとわかってる)
(自分が、ウィスタリアのプリンセスだということも)
風が下から吹き上げるように、服の裾をはためかせる。
(でも……)
「ゼノ様」
名前を呼ぶと、ゼノ様がゆっくりと視線を向けた。
「私の名は、○○といいます」
ゼノ「…………」
するとゼノ様が、眉も動かさずに口を開く。
ゼノ「それは、名を呼べということか?」
「それは……」
(そうなのかもしれない……)
(私はプリンセスとしてではなく、○○として見てもらいたいの?)
言い淀む私に、ゼノ様が何の感情も見えない低い声音で訊いた。
ゼノ「名を呼ぶことに、何か意味があるのか?」
End
最後の一言は予告で言ってたやつだね!(・ω・´)
ゼノ様かっこいい…♡そしてアル邪魔…(・∀・)w