境界を生きる:同性愛のいま/2 結婚に法の下での平等を
毎日新聞 2013年02月19日 東京朝刊
同性婚に詳しい二宮周平・立命館大教授(家族法)は「日本人は近年、少数派の人が何に困っているかに無関心になっている印象がある。価値観が対立する事柄について、政治家が臆病になり主導しようとしないのも、運動が広がらない大きな理由だ」と語る。
だが、そんな風潮にもわずかながら変化の兆しはある。
東京都中野区議の石坂わたるさん(36)は一昨年の区議選で、自身がゲイ(男性同性愛者)であることを公表して初当選した。
パートナーとともに家探しをした際、大家の理解が得られず苦労した。やっと家を見つけた後も「なぜゲイのカップルが入居した」と、住民から苦情が出たこともある。
当選後、区民から同様の悩みが多く寄せられたのを機に、区に改善を働きかけた。その結果、家探しが難しい高齢者などと業者の仲立ちをする区の支援事業の対象に、同性カップルが加わることになった。
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「同性愛の同胞が、法の下で平等に扱われるようになるまで、私たちの旅は終わらない。なぜなら、私たちが本当に平等に創造されたのだとすれば、互いの愛もまた平等でなければならないからだ」
米国のオバマ大統領は1月21日、2期目の就任演説でこう訴えた。日本の旅は、まだ始まったばかりだ。【丹野恒一】=つづく