【西川迅、香取啓介】東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れ事故で、東電は、昨年夏に開かれた国の専門家会合で地下貯水槽の建設計画を示した際、漏れたら「直ちにすべての汚染水をタンクに移す」と説明していたことが分かった。実際は発覚後にタンクの手配を検討し、いまだ汚染水の移送を始められていない。
旧原子力安全・保安院は昨年8月、福島第一原発の安全性をチェックするため専門家による意見聴取会を開いた。この場で、委員から地下貯水槽の遮水シートが破れた場合の対応を問われ、東電の担当者は「実は空のタンクを用意しておいて、検知した瞬間に、すべてそちらに移送するという計画」と説明。保安院は計画を了承していた。
東電は、5日に2号貯水槽で汚染水漏れが初めて見つかった後、原子力規制委員会の指示もあり隣の1号貯水槽への移送を決定。6日早朝から水を移し始めたが、1号貯水槽と3号貯水槽でも相次いで漏れが発覚した。このため貯水槽の使用を断念して、10日になってようやく新設する地上タンクや、ほかの用途に使うタンクに移すことを発表している。
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朝日新聞社会部