名古屋グランパスのFW矢野貴章(29)が12日、“恩返し弾”を誓った。13日に対戦する新潟には昨季まで6年近く在籍(10〜11年は独・フライブルクでプレー)。思い入れのある古巣とグランパス加入後初めて顔を合わせる。矢野は「勝つために点を取る」と強調。自らのゴールで新潟を撃破する。
慣れ親しんだオレンジのユニホームが、今度は敵として自らの前に立つ。古巣の新潟戦を前に矢野が気持ちを高ぶらせた。「非常に楽しみ。新潟には少なからず愛着があるけど、勝つために点を取る。自分の仕事に集中します」。FWの役割をまっとうすると語った。
新潟では06年からプレー。柏で伸び悩んでいた大器がここで大ブレークを果たした。矢野は「いいときも悪いときも、サポーターは最後まで応援してくれた」と思いを語る。1月に悩んだ末に名古屋への移籍を決断したものの、かつてのチームメートとは今でも近況を報告し合っている。
「(MFの)本間なんかとはよく電話します。今回は会うのが楽しみだねと話しました」
胸の内には新潟への愛情も根付いているが、もちろん勝負は別。今季の新潟は目立った補強はなく、戦い方も昨年までとそう変わらない。警戒すべきポイントは誰よりも矢野が知っている。
「きっとアグレッシブに前からプレッシャーをかけてくる。くさびに入れるようなパスは狙ってくる。奪ってから速く攻めようとするでしょう」。不用意なパスは禁物。速攻への備えは怠らず、そのうえで得点を狙うと対策を語った。
ナビスコカップを含めて3試合連続引き分け中で「最近のウチは引き分けが多い。勝ちにこだわってプレーしたい」と矢野は言う。グランパスを勝利に導くゴールが、新潟へ贈る矢野なりのメッセージだ。 (木村尚公)
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