日台漁業協定:尖閣周辺で沖縄県が抗議 「頭越し」不快感

毎日新聞 2013年04月13日 00時56分(最終更新 04月13日 01時35分)

 沖縄県の高良倉吉(たから・くらよし)副知事は12日、首相官邸で杉田和博官房副長官と会い、尖閣諸島周辺海域をめぐる日本と台湾の漁業協定について「沖縄の水産業への多大な影響は避けられない」と抗議した。10日に合意した協定は民間の取り決めという形で、日本が実効支配する尖閣周辺の排他的経済水域内で台湾の漁業権を認める水域を設定。マグロの好漁場を「日台の共同管理」とされた沖縄側は反発しており、政府は漁業補償なども検討している。【吉永康朗、井本義親】

 高良氏は杉田氏との会談後、記者団に「沖縄と台湾の漁業者の間でトラブルや混乱が避けられない。漁獲高が減少する可能性もある」と強調。沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事も12日の記者会見で「決定方法が頭越しとしか言いようがなく、極めて遺憾だ」と不快感を示した。

 日本が協定の合意を急いだのは、昨年9月の尖閣国有化以降、尖閣周辺の領海侵犯を常態化させた中国と、台湾との連携を防ぐのが狙いだ。島根県・竹島をめぐる韓国との摩擦も抱え、親日傾向が強い台湾との対立を避ける必要があった。民主党政権が昨年11月、約3年半ぶりに台湾と交渉を再開し、安倍政権も早期妥結を指示した。

 一方、中国の海洋進出を警戒する台湾は今年2月、中国との連携を公式に拒否。協定は尖閣の領有権には触れていないが、日本側は尖閣周辺の日本領海への進入を認めておらず、台湾側も自粛する方向だ。日本は漁業面で譲歩する代わりに、尖閣をめぐる台湾との対立を「棚上げ」することには成功した。

 ただ、台湾漁船は今回設定された水域で、十数年前から数百隻単位の無秩序な漁を行ってきた経緯がある。沖縄漁船の漁具が破損するなどのトラブルが多発し、沖縄は漁場から締め出され、現在は主に八重山諸島南側の海域で操業。今回の協定締結により、日本政府が台湾漁船の「占拠状態」を追認したことになり、沖縄側は不満を募らせている。

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