海賊対処法改正を検討 シー・シェパードに適用
産経新聞 4月12日(金)7時55分配信
日本の調査捕鯨船への過激な妨害を繰り返している米国の環境保護団体「シー・シェパード」(SS)の取り締まりに向け、自民党が海賊対処法改正を含めた法整備を検討していることが11日、わかった。捕鯨船に同乗させた海上保安官に公海上でも逮捕などの権限を認め、硫酸など劇薬を投げ込んだり船を航行不能にしたりするなど、特に悪質な行為に対しては武器を使用しやめさせる権限の付与も検討する。今国会中の法案提出をめざしている。
現行法では、日本の捕鯨船内にSS側が乗り込んでくれば逮捕は可能だが、公海上での暴力行為の取り締まりは認められていない。
一方、国連海洋法条約は公海上で「海賊」を逮捕することを認めているため、自民党の水産部会はSSの行為を「海上テロであり海賊行為」(幹部)と位置づけられると確認。ソマリア沖への自衛隊派遣を可能にした海賊対処法を議員立法で改正し、SSへの適用を念頭に法整備を行うことにした。
民主党政権は環境保護を主張するSSは「海賊とはいえない」との外務省の見解を採用。しかし、米連邦高裁は2月、日本の調査捕鯨船を妨害したSSを「海賊」と認定、法改正の追い風になると判断した。
政府は今月5日、ソマリア沖などの海賊対策として、日本船籍の船に小銃で武装した民間警備員が乗り込むことを認める日本船警備特別措置法案を閣議決定したが、同法案をSS対策に援用できないかどうかについても議論する。
水産庁によると、今年1月から3月までの今季の調査捕鯨には調査船4隻が参加。この間SSは調査船のスクリューを狙ったロープ投入や「体当たり」など悪質行為を続け、2月には2週間以上、調査捕鯨が実施できなかった。
最終更新:4月12日(金)8時46分