抗う:原子力発祥の地で/1 「被害」契機に反対運動 半世紀前も翻弄され /茨城

毎日新聞 2013年04月03日 地方版

 <抗(あらが)う>

 「東海第2、再稼働反対。廃炉を決めて安心させて」

 3月29日夕、水戸市内の日本原子力発電茨城総合事務所前。約30人の市民がドラムやタンバリンを鳴らしながら、東海第2原子力発電所(東海村)の廃炉を訴え、声を張り上げた。昨年7月末から毎週金曜に行われる抗議行動は33回目。歩道の桜も色づいていた。

 「こんな目に遭わせて、知らん顔をしているのはおかしいでしょ」。抗議行動の「常連」の一人、北茨城市で有機農業を営む鈴木孝夫(56)は強い口調で訴える。

 鈴木が土とともに生きて約30年。除草剤や農薬を使用しない米作りを実践してきた。その生活が、東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響で一変した。

 98年から米をインターネット販売してきたが、原発事故後、発注はほとんどなくなった。米の値段を10キロ5000円から3900円に値下げせざるを得なかった。「ウチの土地は汚れてしまった。有機栽培の利点がなくなった」。被害額は少なくとも500万円に上る。

 昨年12月に発足した安倍晋三政権は「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」という民主党政権の方針を白紙に戻し、今年2月の施政方針演説で「安全が確認された原発は再稼働する」と明言した。強まる再稼働への動きを、鈴木は批判する。「のうのうと再稼働しようとしているのは、倫理的におかしい」

 東海第2原発周辺では半世紀前にも、「被害」を契機とする反対運動があった。国営ひたち海浜公園(ひたちなか市馬渡)ができる前にあった、水戸対地射爆撃場を巡るものだ。

 第二次世界大戦後、米軍に接収され、演習場として使われるようになったが、誤射爆や流れ弾による死傷事故や爆音被害が相次いだ。71年の演習停止までに事故約160件、死者5人が確認されている。57年に超低空飛行の米軍機が通行人をはね、自転車に乗っていた母が死亡し、息子が重傷を負った「ゴードン事件」が発生。県主導の反対運動へと発展した。

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