「真名」はケルト神話の大英雄「クー・フーリン」。
生前はアルスターの王に仕える「赤枝の騎士団(レッド・ブランチ・チャンピオン)」最強の騎士であった。
様々な伝説を持つが、特に1年間の間アイルランド全軍を一人で足止めした「クーリーの牛争い」で名高い。
伝説の中でも数少ない本物の一騎当千・万夫不当の戦士であり、短い生の中でも大英雄に相応しい活躍を残した。
その戦法は、相手にあわせて剣やステゴロ、飛び道具はもちろん、戦車(チャリオット)も乗りこなし、ルーン(オガム文字)魔術も操る万能の魔法戦士である。
神秘的な出自、あまりにも若い叙任、親友との出会い、師匠からの奥義の伝授、恋多き人生、反対を押し切っての嫁取り、怒りによる力の発揮、怪物退治、万の軍を単騎で翻弄、親友との別れ、妖精郷への冒険、奸計による破滅、といった典型的な英雄譚を地でいく人物。
戦いを好むが狩り、手品、軽業、弾き語り、チェスなどにも通じており、短い生を全力で楽しんだ英雄と言える。
城を押し動かす力、馬や鳥より速い素早さ、投げ槍の穂先に飛び乗る敏捷性、鬨の声で100人を殺す恐ろしさ、縫い針を空中に投げて鎖を作る器用さ、敵を翻弄する機転、仇敵の女王の命を見逃す度量、なにより一人で死地に立ち向かう勇気を持つことで、当時のアイルランド全土で無二の英雄と広く認められていた。
ケルト神話の 光の神であるルーの実の息子であるため「光の御子」の名を冠し、
半神半人としてそれなりに高い神性スキル(神霊適正)を持つ。
まぁ、神霊適性が高くても何にも良いこと無いけどね!と思われていたが、Fate/EXTRAにて、
「信仰の加護(信心による精神と肉体の絶対性)」や「 菩提樹の悟り」といったスキルを破ることができると判明した。
コンマテ4に載っている没サーヴァントを見る限りでは、どんな神霊かによって無効にできるものが変わるようだ。
アニメ版では対神兵装の「 天の鎖」のいいカモにされました。合掌。
全身青タイツな理由は原作者がSFっぽさと豹のようなしなやかさを表現したかったため。
白く走ったラインは、アーチャー曰く「全身に帯びたルーン(直線文字)の守り」。
(巷では、古代ケルト戦士のボディペイントや裸マントをアレンジしたものという噂もあるが、それは誤り……でもなく、財産をスった雑兵は裸で戦場に出ていたらしい)
ちなみに、伝承上のクー・フーリンは戦場では赤いマント・赤い胸当て・赤い大盾と赤づくしの装備だったという。
余談だが伝承では戦闘時は額からは光線を発してあごが頭くらいの大きさに、両目の間には七つの瞳が生じ、片方の目は頭の内側に入り、
もう片方は外側へ飛び出す。手足の指は七本に増え、両頬には黄・緑・赤・青の筋が浮かぶ。
電流のように逆立った髪は根本では黒いものの先端に向かうほど赤く変色し、そこから血が滴る。
というどう見てもバケモノです、ほんとうにありがとうございましたな姿になる
「宝具」は二つあるが、どちらも因果を歪ませる必中必殺の呪いの魔槍「貫く物(ゲイボルク *1)」を使ったもの。
この槍は「宝具」としての使用は元より、通常使用においても付けた傷に回復阻害の呪い付加する強力な武器でもある。
対人宝具「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)」は槍の呪いの力を使用して因果を逆転し、「心臓に命中している」という結果を作った後に放たれる刺突。
既に心臓に命中しているという結果を持つ以上、原因である槍の軌跡は後付けでしかなく、槍にあるまじき奇妙な軌道を描いてでも、使い手が死亡していても、自動的に相手の心臓目がけて向かっていく。
そのためこの刺突は槍の魔力を上回る純粋な防壁か、決定された運命を曲げるほどの強運でないと防ぐことも回避もできない。
また心臓に命中した瞬間、千の呪いの棘となって体内を殲滅するので
「ゲーム的に言うならば、
ダメージ補正が狙った相手のHP分プラスされる
というトンデモ宝具」と解説されている。
これで燃費も非常に良く、魔力供給無しでも7回は使用可能なので驚き。
シナリオ担当によれば、判定に失敗すれば アルクェイドだろうと
敏捷EXだろうと回避できない
。
肝心の
幸運が高くても、外れることは稀
とされる。
因果逆転を幸運で防いでも攻撃自体は当然行われるため、運だけでも回避できない厄介な技。実は、急所である心臓を外れても回復阻害の呪いから、再生能力のない相手は死ぬしかない。
その厄介さは、速射可能な手札を多く持つ非常に芸達者なサーヴァントである アーチャーでも、ゲイボルクへの対策は
「必死に下がる下がる」しかない
。
もう一つの宝具である対軍宝具「突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)」は、槍の呪いの力を最大限に開放した上での投擲。
元々はこの投げ槍としての使い方こそ、ランサーが師匠であるスカサハから槍と共に授けられた正しい「ゲイボルク」であるが、
ランサーは独自技として前者の技を編み出した。放たれた槍は呪いの力により、何度回避されようと何度でも標的を襲い、
因果逆転による心臓命中効果こそ持っていないが速度・魔力・威力は「刺し穿つ死棘の槍」を遥かに凌駕し、炸裂弾の如く対象をまとめて吹き飛ばす。
その威力はアーチャーの使う「投擲武器、使い手より離れた凶器に対しての絶対の防御」という概念を持つ
結界宝具「熾天覆う七つの円環」すら完全に破壊した。また速度は、主人公によれば音速を軽く越えるらしい。
(もっとも、接近戦を得意とするサーヴァントは通常攻撃でも音速以上になるようだが)
ランサーの父親筋になると遠距離でも前者のゲイボルクのように因果逆転を起こす宝具を持つとのことだが、そこは割愛。
…だが、こういった凄く強そうな設定があるのに「『Fate』本編では
誰一人宝具で仕留めることができなかった
」という悲しい事実がある。
単純に槍として使った場合は1人(PS2版では2人)殺しているが、それにしても背後からの奇襲で自慢できない。
遂には、ミニゲームで主人公を一度も殺せなかったことをネタにされてしまった。
ゲイボルクに至っては、公式で「当たらない必中」扱いである。
『EXTRA』に出演した際も相手がターミネーターばりの半人半機なのでゲイボルクが通じるか怪しい英霊が相手で、宝具で仕留めることは出来なかった。設定上、モブを仕留めているとは思うが。
いざ主人公ペアと戦う際も、ランサー自身は確かに強いが刺し穿つ死棘の槍は前述の設定に反して
熾天覆う七つの円環で防げる
。
わかりやすい強さがあると噛ませ犬として扱われやすいという典型例であると共に、 無茶な能力はなんとかできるようにシステム上で抑えられてしまうというゲーム補正の典型例である。
宝具を除いたスキルの方は、致命傷でも闘いを可能にする「戦闘続行」、飛び道具を見切る「矢避けの加護」、技の初期化や戦闘からの離脱を行う「仕切り直し」など、戦闘能力より「生き残ること」に特化した能力の持ち主。
また、本人が槍を好むためあまり日の目を見ないが魔術にも長けており、18の原初のルーンを使いこなし、 石化の魔眼を無効化し、全ルーンを費やした守りの結界は上級宝具の一撃すら防ぐ事が可能、自身の宝具のランクをアップさせることもできる。
また、本人の資質や師匠のスカサハの業によって動物使いとしても優れているらしい。
基本的にはなんでもござれの戦士で、ランサー(槍兵)のクラスの他に、 バーサーカー(狂戦士)や キャスターのクラスに適性をもつ怪物殺しの勇者である。
他にも、実力は作中の登場人物の中でも高い方なのだが、
幸運ランクE
に違わず悲運の人。
『死力を尽くした戦い』を求め召喚に応じたが、召喚者にして最初のマスターである
バゼット・フラガ・マクレミッツ *2は聖杯戦争の監督役である言峰綺礼 *3に騙し討ちされて、あっさり退場。
新たなマスターになった言峰からは令呪(サーヴァントに対する絶対命令権)の力で
「お前は全員と戦え。だが倒すな。一度目の相手からは必ず生還しろ」
と命令された上で偵察任務を命じられたため、初戦では相手が誰であろうとも全力では戦えず、
悲しいことに本編において彼の本気が見れたのは1回のみ。
その本気を出せたシナリオでは、最終的にあんまりといえばあんまりな命令が待ち受けている。
さらに、 主人公達を庇った最後では、 ラスボスと半日以上にわたり激戦を繰り広げ、しっかりとダメージを与えたのだが、
丸々カットされている
。
また、日本ではマイナーであるため知名度補正が
ほぼゼロ
、
マスターである言峰の魔術師としての適正はあまり高くないなど、実力をフルで活かせていない。
適切なマスターに本来の力を発揮できる地元で召喚されていれば、 ヘラクレスや、 アーサー王に並ぶ輝かしい存在となるはずだったのだが……。
具体的にはステータスが上昇し、「
城
」・「戦車(チャリオット)」・「不眠の加護」etcが追加される。
特にチャリオットは伝承において「鎌の戦車」と呼ばれ、馬の王マッハとセングリウ・御者の王レーグ・戦士の王クーフーリンが揃う花形であった。
馬と車輪に戦車本体を無数の刃で武装した彼らは一回の突進で500人を刈り取り、「ムルテムニーの大虐殺」を起こしたとされる。
この他、伝承においては、鉄の館を隣の木館2建ごと貫いた光の剣「クルージーン」、悪霊の叫びを響かせる「マナナン神の紋章兜」、姿を隠す「妖精郷のマント」、太陽神ルーの黒盾「ドゥヴスギアス」など、無数の武装を保有している。
ちなみに、ランサーに限らずセイバーなども、自身の文化圏であるヨーロッパにいくとパワーアップ。
隣接する互いの故郷であるイングランドとアイルランドで戦うと、セイバーとランサーの強さがクルクルと回転するほどの影響はあるらしい。
『hollow ataraxia』では「裏の主役」である重要な立ち位置を得て、港で釣りをしたり商店街や喫茶店でアルバイトをしたりと
コミカルな姿を晒す一方、シリアスシーンや本編であるhollowパートでもしっかり登場するなどなにかと出番は多い。
私服は何故かアロハシャツの姿であり、性格も合わさってまんまヤンキーの兄ちゃんである。
主人公の姉貴分に当たる 藤村大河と交流があり、釣った魚をあげてる模様。
ランサー曰く「面白い姉ちゃん」だそうで、豪放磊落かつ大人同士、割と気が合っているのかもしれない。
ちなみに女難の相でもあるんじゃないのかというくらい、日常パートでは女性陣に酷い目に遭わせられていた。
しかも爆弾を踏んだ時に、士郎から「幸運F-に下がってるから」とまで言われる始末である。哀れ。
余談だが、ケルトの英雄は基本的に悲劇的な最期を遂げる神話が多く、彼もまた御多分に漏れない。
無二の親友や実の息子、御者の相棒、愛馬、そして最終的にも自分への致命傷を与えたのが
全部自分の愛槍
だったりとか、その他もろもろ。
最期の戦いでは仲間の救援を魔術によって封じられ、ゲッシュの戒めや呪いにより力を半減され、愛する者たちの名誉を盾に愛槍を奪われるという徹底ぶり。
この辺りが幸運Eの所以なのだろう。まあ、本人は莞爾と笑って死んだのであるが。
また、時系列としては10年前にあたる『Fate/Zero』に登場するランサー(別人だがこちらも
幸運E
)の境遇及び末路から
「ランサーとは幸運値が低く、ろくな扱いを受けないことがクラス条件」という俗説までも囁かれる。
しかし、『Fate/Extra』に登場するもう1人のランサーは、幸運が彼らより高い。……具体的に言うとD。あれ、やっぱ不幸なのも条件(ry
まぁ、英雄はその大半が非業の最期を遂げる事が多いのも事実ではあるが…それを差し引いたとしても哀れ。
そのかませ犬っぷりは同世界観の 彼女を思い起こさせる可哀想な英雄である…。
どちらも青いし。
ちなみに、上で挙げた多くの優秀さは、
本編では触れられず、コアな型月ファンしか網羅し得ないコメントによるフォローばかりで補足されている。
製作陣に愛されているのかいないのか分からないキャラクターである。
『タイガーころしあむ』では、虎聖杯でホットドッグをたらふく食わせようと画策するマーボー神父を追いかける破目になる。やっぱり哀れ。
「ホットドッグなんか食わされたくらいでどうなるんだ?」と思われるかもしれないが、ぶっちゃけ食べると呪いが降りかかる。
これは彼が「犬の肉を食べない」という誓いを立てているため。
この誓いは「ゲッシュ」などと呼ばれる「騎士が守るべき、魔術的な効果を持つ特別な誓約」であり、
誓いを守るものには祝福がもたらされるが、一度でも破ると即座に本人に呪いが降りかかり、身体が麻痺する。
更に「目下の者からの食事の誘いを断らない」と言うゲッシュまで持つランサーは
彼に恨みを持つ者の姦計により「目下の者から犬肉入りの食事を誘われた」事によりあらゆる加護と力を失った。
(実はそのまま戦場で無双しており、
詩人(現代でいうマスコミ、歴史家)によって愛する者達の恥を質に取られなければ、死にもしなかったかもしれない)
勿論ホットドッグに犬肉が使われているわけではないが、 実際に効果あるから仕方ない。
所詮、設定は二の次のギャグゲー・・・と思いがちだが、
公式であるホロウでも「何て物、食わせやがる!」と言って、軟派そっちのけで嫌がって逃げ出した。
因果も糞も無いにも関わらず降りかかってくる呪い・・・やっぱり哀れな男である・・・。
TYPE-MOON10周年記念のOVA作品『カーニバル・ファンタズム』でも当然のように悲惨な目に遭い続けている。
キャラクターコメンタリーで
「毎回死んでません?」
と言われるほどの死にっぷり。
もはや死にっぷりが芸にまで昇華されており、安心と信頼のランサー受難とまで言われる始末……本当に哀れな男である。
……ホロウで幸運がF-になったまま戻ってないんじゃなかろうか
弓「ランサーが死んだっ!!」
『EXTRA』の続編である最新作『EXTRA CCC』には凛が続投するので引き続き登場するか…と思われたが、
もう一人のランサーともども
ハブられて
違うランサーと交代させられた。 ここでも幸運Eが響いたか…
ちなみに凛の新しいランサーは自らを アイドルと称する サディスト系残念ロリっ子。
気になる幸運は
ランサー系最高のB
(表記上は更に上がいるが、そっちは自己申告なので除外)。
その幸運を少し分けてあげてください。
と思ったらまさかの隠しボスとして登板。厳密には別人とは言え、再び言峰とコンビを組んで迷宮の最深部付近で待ち構える。
当然ランサーもそんな相手をマスターに迎えて気が気でない様子。
SNでの最期をもじってからかわれたり宝具を外して嘲笑されたりする他、主人公のパートナーがギルガメッシュだった場合、撃破後に健闘の褒美と称してとんでもない仕打ちを受ける事に…。その様は、かの英雄王ですら冷や汗を流すほどであった。
因みに彼を含む隠しボスの待つエリアは微妙に分かりにくい所に入口があるため、知らずにクリアしてスタッフロールで初めて兄貴の存在を知ったと言うプレイヤーも多いと言う。やはり幸運E…
ちなみに アサシンのストーリーでは、自分の事を「引き手数多の美英雄」とのたまっていた。
神話のクー・フーリンはモテる男なので間違ってはいないが、
戦いの最中の死の女神にちょっかいをかけられたり、他国の王妃の狂言で夫のマンスター王を殺してしまったり、女難の相がありそうである。
『Fate』以外では、 「女神転生」シリーズの仲魔として有名で、使い勝手も良くシリーズ屈指の人気を持つ。
その人気は数あるメガテンのコミックの中でも頻繁に姿を現し、物によっては主人公のパートナーとして重要な役を果たすこともあるほど。漫画『 葛葉ライドウ対コドクノマレビト』では、ケルト神話の設定を生かした見事な連携を見せている。
……この優遇さが少しでも『Fate』に受け継がれてたならば…。
シナリオ担当がケルト神話に興味を持ったのは、メガテンからであるので……。
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ステータス
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筋力 B 魔力 C
耐久 C 幸運 E
敏捷 A 宝具 B
『stay night』での能力。
幸運が際立って低いほかは、マスター等に恵まれない割になかなかの数値を誇る。
「突き穿つ死翔の槍」はB+の宝具のはずだが、どういうわけかステータスには反映されない。
筋力 B 魔力 C
耐久 A 幸運 D
敏捷 A
『EXTRA』での能力。
一見強くなっているように見えるが、一部スキルが弱体化しているので実質変わらない。
もっとも一番着目するべきは
幸運がEでなくなった
ことだろうか。
宝具のランクがないのは『EXTRA』全般の仕様。
筋力 A 魔力 B
耐久 C 幸運 D
敏捷 A+ 宝具 B
OVAの特典『Prototype』(通称・旧Fate)での能力。
特に劣化設定もなく、マスターも(性格を除いて)性能はバッチリ。
本編ほど心身が大人ではなく、真っ直ぐな若い頃の姿をとって召喚された。
宝具は、作者がFateの宝具の概念同士の対決を思いついた切欠である所の、刺し穿つ死棘の槍。
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