HOME > 設立趣旨

1 レンジャー訓練

 陸上自衛隊は,2012年6月12日,レンジャー教育訓練の一環として,白昼堂々,板橋区と練馬区のまちなかで,迷彩服を着て,顔に迷彩ペイントをし,小銃や銃剣を持って,行軍する訓練を実施した。自衛隊が23区の市街地で武装して訓練を行ったのは,実に42年ぶりのことである。
 この訓練に対して,生活者として不安をおぼえた市民は,日本国憲法に明記された平和のうちに生存する権利を侵し,平穏な日常生活や生命・身体の安全を害するものとして反対運動を展開した。その成果として,大型ヘリコプターの公園への着陸を阻止し,行軍ルートの変更や各種安全対策が図られた。しかし,自衛隊は,住民の声を押し切って訓練を強行し,今後も同様の訓練を続ける意向を表明している。

2 国民監視行動と自衛官の人権

 また,2012年3月,仙台地方裁判所が自衛隊による国民監視行動を違法であると判断したにもかかわらず,現在に至るまで,自衛隊が監視行動を継続していることが判明した。
 他方,自衛隊内のパワハラやセクハラ,訓練に名を借りたいじめなど,自衛隊内の人権侵害も後を絶たない。加えて,昨今の憲法改正や集団的自衛権行使をめぐる議論をみていると,将来,日本が他国の戦争に加担する国になり,自衛官が異国の地で命を落とすことになるのではないかとの危惧感も現実味を帯びてきた。

3 自衛隊と災害対処

 さらに,陸上自衛隊は,2012年7月16日夜から17日朝にかけて,首都直下型地震で車両が使用できなくなったという想定の下,自治体との協力なしに単独で,約300名の隊員を徒歩により23区全体に展開し,各所で通信する訓練を実施した。自衛隊が23区内で大規模に部隊を展開する訓練を行ったのは初めてのことである。
 私たち市民としては,東日本大震災での自衛隊の活躍も踏まえた上で,近く発生するとされる首都直下型地震に備える上でも,災害対処における自衛隊の関わり方を考える必要がある。

4 設立趣意

 以上の事実を踏まえ,規約頭書きのとおり当会を設立する。