2010年8月6日金曜日

● 『ノマド』ワークと『クラゲ』ワーク



// ノマドワーキング //
ノマドワーキングという言葉がだいぶんポピュラーになってきました。
『ノマド』とは“遊牧民”をさす言葉であり、ノマドワーキングとは、オフィスの自席以外の外出先や自宅など、あちこちで仕事をする働き方を言いいます。丁度、遊牧民が住居を転々としていくことに似通っていたから、そう名づけられたのでしょう。
具体的には、ライターや記者やコンサルタント等のインデペンデントコントラクター(個人事業主)といった人たちのワークスタイルがこれに当てはまります。

しかし、巷で言うノマドワークは、そんなに新しい働き方ではありません。私の知る限り、ワープロ専用機の時代(1990年前後)から、記者やライターは、自宅やカフェや客先、旅先で仕事をしていました。
今日、改めて注目されたのは、『クラウド』サービスの出現の影響が大きいのではないでしょうか。『クラウド』という実態の見えにくいモノの効果やメリットをイメージさすのに『ノマド』という実態を表わす言葉を使うと好都合だったからでしょう。


// クラゲワーキング //
かれこれ10年程前、ホワイトカラーの「知」の創造をいわれた時代に、「一定レベル以上の専門ス
キルを持った者が、特に異業種の様々な人の所へ出向き、コミュニケーションすることによって、『知』を磨き、また、新たな「知」を創造していく」ようなハイパフォーマーのワークスタイルをノマドワークスタイルと言っていたように記憶しています。
  • 遊牧民は定住型の人々からは一般にあてどもなく移動しているかのようなイメージを抱かれやすいが、実際には拡大家族ごとに固有の夏営地・冬営地などの定期的に訪れる占有的牧地をもっていることが普通で、例年気候の変動や家畜の状況にあわせながら夏営地と冬営地をある程度定まったルートで巡回している。(「ウキペディア:遊牧民」より)
一方、平日の喫茶店やファーストフード店では、多くのビジネスパーソンが屯していますが、私には、この人たちの多くは、仕事の隙間時間に行き場がなく、仕方なく店舗に入り、メールでもして過ごす・・・といった人たちのように見えます。
果たして、この人たちも「ノマド」ワーキングと括って良いのでしょうか?


こんな疑問から、私は、目的を持って適時適所に「場」を活用する働き方を『ノマド』ワーキングといい、隙間時間を埋めるために仕方なく近くの喫茶店などでメール等をチェックして時を過ごす働き方
を『クラゲ』ワーキングといって区別しています。


// ノマドワーキングの現状 //
本年の春先、フジテレビの「ココ調」でノマドワークを調査したそうです。
その調査結果は、以下のようでした。
行っていることのランキングは、以下の結果だったそうです。
  • 1位: メールのチェック
  • 2位: 企画書作成
  • 3位: 打ち合わせ
その他、
  • ノマドワーキングの経費は会社で落ちないと回答した人・・・78%
  • ノマドワーキングを行っても残業時間は減らないと回答した人・・・68%
● ノマドワーキングの経費は会社で落ちないと回答した人・・・78%
企業、組織で「ワークスタイル」に関するきちんとした取り組みが必要です。
会社は、簡単に上乗せ経費を認めるはずがありません。会社経費で落とすためには、ノマドワーキングによる生産性向上の実証やオフィススペース削減しても業務効率が維持できることの実証が必要となります。
これは、まさにワークスタイリストの担当領域です。


● ノマドワーキングを行っても残業時間は減らないと回答した人・・・68%
これは、2面が考えられます。
一つは、実は「クラゲワーク」だから。実際にやれているのはメールのチラ見程度。オフィスと同等の仕事はできないから、結局、会社に戻って仕事をしなければならない。(カフェやファーストフード店では、企画書等アウトプットを作成する作業を行うには無理があります。)
もう一つは、「仕事ができる人には、仕事が寄って来る」から。“仕事の対価は仕事といった名言もあります。
しかし、大半は前者ではないでしょうか。