|
(6)こうやくんカフェ(宮城県亘理町)/仏の教え交え花で和む
 | 参加者と花の観賞会をする鈴木さん(左から2人目)=3月中旬、仙台市太白区のあすと長町仮設住宅集会所 |
|
「白は災いを払う。赤は愛情、黄色には福などの意味がある。花の組み合わせでストーリーを描いてみませんか」
<僧侶として講話> 3月中旬、仙台市太白区のあすと長町仮設住宅集会所。着物と腰衣(こしごろも)に身を包んだ鈴木隆蓮(りゅうれん)さん(42)=宮城県亘理町=が提案した。 「心穏やかに過ごして1日も早く仮設から出たい」「花で和みたい」。仮設暮らしの女性ら11人でつくる華道部のメンバーがそれぞれの思いを込め、桜やフリージアなどを花瓶に挿した。 はり・きゅうの治療院を営む鈴木さんは、高野山真言宗の僧侶でもある。宗派のキャラクターから付けた「こうやくんカフェ」の名で、華道部の月1、2回の活動日に講師役を務める。 仏教や東洋思想に基づく話を織り交ぜての花とお茶の時間。時には写経や瞑想(めいそう)も取り入れる。「自分の心と向き合ったり、無心になったりするひとときを持って」と鈴木さん。華道部の赤間順子さん(65)は「聞いたことのないお話ばかりで新鮮。活動日が待ち遠しい」と話す。
<全国から支援も> 鈴木さんは震災後、自宅近くに開設された遺体安置所などでの読経から支援を始めた。亘理町や山元町でボランティアに従事する一方、鎮魂の願いを込めて避難所や仮設で花を生けてきた。 あすと長町には、集会所の管理人を一時務めた縁で昨年春から通っている。集まった住民と即席の「教室」になることが続き、8月に住民有志が華道部をつくった。その後、名取市の仮設でも同様に華道部が誕生した。 一人で動きだしたが、現在は全国の高野山真言宗の寺院から支援の茶菓が届く。他団体に自分の活動を支えてもらったり、逆にお手伝いしたりする機会も増えた。 「資金や人数、企画のアイデアなど団体にはそれぞれ得手不得手がある。足りない部分を補い合って支援を長続きさせたい」と鈴木さんは語る。
<メモ>こうやくんカフェは、高野山真言宗のネットワークを生かした鈴木隆蓮さんの被災者支援のプロジェクト名。華道部のサポートのほか、お茶飲みと創作活動を組み合わせたサロンなども開いている。連絡先はメールkouyakun.cafe.ren@gmail.com
2013年04月11日木曜日
|