マイクロ波で脳内に音を発生させる装置のしくみ:ストックリン特許 part 4
マイクロ波を頭部に照射して、
脳内に音を発生させる装置のしくみを紹介します。
米国特許4858612号(以下、ストックリン米国特許という)は、
可聴性電波を頭部の聴覚野(側頭葉であり、耳の近く)に照射して、
人の脳内に音声を送信する装置について特許を取得しています。
ここでは発明の名称は、聴覚機器と翻訳していますが、
補聴器と翻訳している文献、ウェブサイトもあります。
特許権者、発明者:フィリップ・L・ストックリン(フロリダ州サテライト・ビーチ)
出願番号:562742
出願日:1983年12月19日
特許番号:4858612号
特許日:1989年8月22日
発明の名称:聴覚機器
聴覚機器の概要は、図1と図2に分かれて記載されています。
図1の10がマイクであり、音声をマイクに入力し、
マイクが音声を音声信号に変換します。
この音声信号は、周波数帯により分類され、
N個ある音響フィルターに分配されます。
1番低い音(周波数帯)が1番目の音響フィルターに分配され、
1番高い音(周波数帯)がN番目の音響フィルターに分配されます。
N個の音響フィルターの集合が、音響フィルターバンク12です。 図1では、右側というか、上部にあるP1、P2、PNの矢印が
図2の左側にあるP1、P2、PNの矢印につながっています。
図1における、
1番目の音響フィルターの周波数F1、
2番目の音響フィルターの周波数F2、
N番目の音響フィルターの周波数FNの出力が、
それぞれ、図2のN個のアンプ20に入力されるということです。
周波数帯ごとに異なるアンプ20に接続されているので、
周波数帯ごとに出力を調整することができます。
図2の可変抵抗23、25により、
マイクロ波パルスの出力を調整します。
図2のアンテナ24からマイクロ波パルスを、
ターゲットの頭部の聴覚中枢26に照射します。
発振器が、パルス波形のマイクロ波を発生させ、これが可聴性電波になります。
パルス波形のマイクロ波は珍しく、
レーダーに使われるぐらいです。
高出力レーダーが発射するマイクロ波パルスは、頭部に当たると、
人が直接、聞くことができることは、
レーダーが戦場に使われた第二次世界大戦の時代から観測されています。 マイクロ波パルスの可聴は軍事機密に指定されていました。
ちなみに、ラジオ、テレビ、アマチュア無線などに使われる電波の波形は、
パルスでなく、サイン波(高校の数学で習った三角関数、サインの波形)又は
複数のサイン波を重ね合わせた形状です。
ストックリン特許については、下記のブログ記事でも解説されています。
図2のマイクロ波発生器の代わりに、
図2aのマイクロ波発生器を使うこともできます。
この場合、図1では、右側というか、上部にあるP1、P2、PNの矢印が
図2aの左側にあるP1、P2、PNの矢印につながっています。
図1における、周波数F1、周波数F2、周波数FNの出力が、
それぞれ、図2aのアンプ20に入力されるということです。 図6は、電波暗室で、この装置の調整をするときを示しています。
この装置を使って聞いた音と、ヘッドホンで聞いた音が
一致するように調整します。
トピックが変わりますが、内耳の蝸牛の拡大図を示します。
内耳の蝸牛の一部の拡大図は下記の通りです。
蝸牛が内毛細胞(inner hair cells)を経由して聴覚神経(cochlear nerve)に
電気信号を伝達する部分を拡大しています。
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