バルサ４強　メッシが救った

　【バルセロナ（スペイン）工藤拓】欧州チャンピオンズリーグ（ＣＬ）は１０日、準々決勝第２戦２試合を行い、バルセロナはホームでパリ・サンジェルマン（フランス）と１−１で引き分け、２戦合計３−３で並んだがアウェーゴール数で上回り、大会記録となる６季連続のベスト４進出を果たした。前回準優勝のバイエルン・ミュンヘンはアウェーでユベントス（イタリア）に２−０で快勝し、２戦合計４−０で勝ち抜けた。準決勝の組み合わせは１２日の抽選で決定する。

　手負いのメッシがワンプレーでバルサを窮地から救いだした。０−１で迎えた後半２６分、ドリブルでＤＦ２人をスルリとかわしたメッシがゴール前のビリャへ絶妙なスルーパス。ＤＦ３人を引きつけたビリャがボールを後ろに落とすと、最後はペドロが左足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。

　「できれば前半で３−０としてメッシの起用は避けたかった」。試合後のロウラ監督代行が認めた通り、１週間前の第１戦で痛めた太もも裏は完治していなかった。だがチームは枠内シュートを１本も打てないまま、後半５分にカウンターから失点。「状況が悪くなったらすぐに投入すると決めていた」という指揮官は同１７分にリスクを承知でエースを投入。起死回生の同点弾はその９分後に生まれた。

　ほどなく痛めた太ももの違和感を訴えたメッシはほとんど動けなくなった。しかし、存在自体が味方に勇気を、相手に恐怖を与える、その影響力を重視した指揮官は最後までエースをピッチに残し、他の１０人で１点を守りきった。ゴールを決めたペドロが「メッシはこの試合に間に合わせるために最大限の努力をしてきた。彼には感謝しないとね」と話せば、ビリャは「メッシはピッチに立つだけで試合を変えてしまった」とその存在感をたたえた。ダニエウアウベスは「健康な選手より負傷中のメッシの方がいいね」と冗談を飛ばした。

　幸いケガは重傷ではなく、２週間後の準決勝には間に合う見込みだ。２年ぶり５度目の欧州ＣＬ制覇まであと３試合。メッシがいればバルサに不可能はない。