元Ｊリーガー卑劣　「黄金の足」で教え子両腕折った

　岐阜県警は１１日、サッカークラブの教え子の男子中学生（１３）に暴行し、重傷を負わせたとする傷害容疑でＪリーグ「ジェフユナイテッド市原」（現市原・千葉）元選手の西脇良平容疑者（３３）＝岐阜県大垣市＝を逮捕した。犯行は、サッカー選手の“命”である足で、被害生徒の両腕を骨折させる体罰行為だった。

　今も語り草になっている「黄金世代」の一角に名を刻んだ元Ｊリーガーは、かつて輝きを放った自らの足をボールではなく、教え子の肉体に向けてしまった。

　県警各務原署によると、西脇容疑者は４日午後０時半頃、同県各務原市の陸上競技場の施設内で教え子の男子中学生を足で蹴り、両腕の骨を折る全治３か月のけがを負わせた疑い。調べに対し「指導の一環でやってしまった。けがをさせてしまったことは間違いない」と容疑を認めている。

　事件当日は、西脇容疑者が代表を務めるクラブチーム「ＦＣ　Ａｌｍａ（アルマ）大垣」の合宿中。午前中に練習試合を終えた後の休憩中、競技場脇の松林の陰に隠れて犯行に及んだ模様だ。合宿に参加していた約２０人のメンバーの一部が暴行を目撃していた。

　被害生徒は両腕を折った状態で午後の試合にも出場しており、西脇容疑者が強要した可能性もある。当日夜、生徒が保護者に訴えて発覚。翌５日には、保護者が容疑者を同行させて同署に届け出た。保護者は８日、日本サッカー協会にも被害を訴えた。

　西脇容疑者は大垣市出身。中学卒業後、ジェフ市原のユースに加入し、９８年にＦＷとしてＪリーグデビュー。翌年には小笠原満男、小野伸二、高原直泰、遠藤保仁、稲本潤一、曽ケ端準らを擁し、同年のワールドユースで準優勝の快挙を成し遂げたＵ―２０（２０歳以下）日本代表の候補に選出された。最終メンバーからは漏れたが、合宿中にフィリップ・トルシエ監督からマンツーマン指導を受けるなど期待を集めていた。

　その後は度重なるけがに苦しみ、ドイツ３部リーグ、山形、静岡とクラブを転々。０５年にＦＣ岐阜を最後にプロとしての現役を引退した。０６年にＮＰＯ法人「ＦＣ　Ａｌｍａ大垣」を設立。小中学生を対象に指導を行い、０９年には全日本少年サッカー大会岐阜県大会で初優勝に導いた。

（2013年4月12日06時02分スポーツ報知）