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<ネット選挙>地方は冷ややか…都市部より利用低く

毎日新聞 4月11日(木)22時34分配信

<ネット選挙>地方は冷ややか…都市部より利用低く

インターネット選挙の具体例

 夏の参院選からインターネットを活用した選挙運動が解禁されそうだ。ツイッターやフェイスブック(FB)などのソーシャルメディアを使って立候補者と有権者の交流が進むと期待されているが、都市部に比べネット利用率が低い地方からは冷ややかな声も聞かれる。解禁で盛り上がるのは限られた有権者だけなのか。

【ネット選挙】夏の参院選から 誹謗中傷、なりすましへの対策残る

 ◇参院選で解禁

 総務省が全国約4万世帯を対象に11年末現在のインターネット利用率を調べたところ、都道府県別で高かったのは、神奈川県87.5%▽東京都84.1%▽愛知県83.3%。低かったのは青森県65.7%▽秋田県68.0%▽宮崎県68.3%などで、都市と地方の格差が顕著だった。ソーシャルメディアの利用率について公的な調査結果はないが、さらに格差が開くとみられる。

 「メールはともかく、ソーシャルメディアがどこまで有権者に浸透しているかは不明で得票につながるか分からない。投票を直接お願いする戦法が重要なのは変わらない」。自民党福島県連の幹部はそうみる。原発事故が起きた同県は今も約5万7000人が県外避難し「訴えが届きにくい県外避難者はネットに慣れた若い世代が多い。必要なら(ネットの)専従者を置くことも検討する」とも話した。

 参院選新潟選挙区の現職陣営は「マイナスの影響が出る懸念を払拭(ふっしょく)できない」として、現時点ではFBやツイッターなどを利用する予定はないという。千葉選挙区の自民党現職、石井準一氏(55)の秘書も「ツイッターなどのやりとりは人手がないとできないし、炎上(ネット上で批判的な書き込みが集中すること)するリスクがある。静観も一つの手。ネットで発信しても自分の選挙区の有権者に届くのか分からない。直接足を運ぶ方が効果があるのは今までと変わらないだろう」とみる。

 一方、同選挙区から立候補予定の日本維新の会の新人、久野晋作氏(40)は動画サイト「ユーチューブ」に演説の動画を投稿したり、ブログやFBなどで遊説日程を知らせる予定だ。「選挙資金や人手が足りない新人なので、少しでも知名度が上がるようフル活用したい」と話す。【蓬田正志、小林多美子、田中裕之】

 ◇「得票の実感ない」…選挙プランナー

 インターネットの活用を含めた選挙戦略の立案や指導を手がけている選挙プランナーの松田馨さん(32)は「ネットを活用したから票につながったと実感したことは、あまりありません」と話す。

 06年の滋賀県知事選で、新人の嘉田由紀子氏の陣営を手伝った。HPで嘉田氏が演説した場所を地図に写真付きで示し、県内を精力的に回っていることが一目で分かるようにするなど、選挙期間に入るまで更新を重ねた。投票前のHPへのアクセス数は累計約3万。ところが嘉田氏が初当選すると、1日で17万に達した。政策集のダウンロード数も投票前の3000から2万へ急増した。

 「当選が決まってから県職員が見ていたようです」

 ただ、12年7月の山口県知事選で新人候補(落選)を手伝った際はFBの活用が成果を上げた。「山口はネット普及率やFBのユーザー数は少ない」とみて、県外の支援者に向けてFBで寄付や山口の有権者の紹介を呼びかけた。寄付は目標の500万円を上回る1000万円が集まり、同窓会名簿を送ってくれた人もいたという。

 今夏の参院選を「比例代表ではネット選挙戦略が結果に影響を与えるかもしれない」とみる。衆院選の比例代表と違い全国単位で、政党名を書いても候補者名を書いても有効なため、陣営はネット利用者が多い都市部に支持を呼びかけることもできるからだ。「ネット上の有名人が立候補したら、支持を集めるかもしれませんね」 【苅田伸宏】

最終更新:4月11日(木)23時5分

毎日新聞

 

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