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「いくつかの色価の集まり──」
モチーフ(対象となる像)の色調の全体を基づけているのは、二つの基色、つまり画像としてみればN1(黒)とN9(白)です。これがバルールの大枠です。
したがって全体の色調は、N1にはじまる暗い部類と、N9を頂点とする明るい色調の部類とになっています。
そこで画像に形成した基準値によって、暗い系統、明るい系統の各部を系統別に面とり形成していきます。これは形の場合に、垂直・水平の系統別にその分量関係を測定したのと同じです。
●まず基色(N1)に類する部分を面とりし、基準値(左図)によって形成します。
次いでN2,N3,N4と暗い方からそれぞれの基準値に列する色価を面とりし、形成します。無論どの色価も基準値とまったく等価とは限りませんから、あくまでもそれに類する、ということであるし、面とりするということはそこでくゝるということですから概括です。
この図の対象は低明度系の部分が少なく、ほとんどが高明度系で占められていますから、N1,2,3とすゝめていくとしだいに中明度系にうつっていきます。
○次は高明度系列です。基色(N9)の基準値からN8,N7と順序的に、それぞれの基準値によってそれに類する明るい部分を面とりし、形成していきます。
こうして、暗い色調と、明るい色調からの展開とによって、やがて低明度域と高明度域が結ばれ、交わっていき、対象を構成しているバルールの全体が綜合されていきます。
色価とともに「面とり」がしっかりしていれば、画像は多面の統一体となって一つの形態(フォルム)をなしていくのです。 |