まず、比例法で学んだ基準値のN1・N9を像に選び形成しておきます。次に主題の場の明暗を代表するような対照的な色調の主要部を大らかに面とりし、N1とN9によって価値づけます。全体の色調の相対性を基づけるこの短調(暗), 長調(明)の二つを基調といいます。この基調はあくまでもトーンとしての色価ですから対象の最低明度(N1), 最高明度(N9)となることは希です。 このモチーフでは暗調は、N1となる右上部の暗さを除けばほとんど中明度に近い暗さであり、高明度調もN8程度が主となっています。 二つの基調(A, C)を規準として、暗・明それぞれ系統別に各部のトーンを形成していきます。 まず暗調に類すると見られる各部を基調に近いものから面とりし、端的に形成していきます。 次いで明るい色調の系列を面とり形成していって全体の明暗のバランスを大づかみにします。二つの基調からの展開によって、その対象となるトーンの場がしだいにそれらの中間に進んでいきます。 この方法1)と次の2)ではあくまでも全体のトーンの概括です。したがって要素的な細部の色価(バルール)にとらわれず、大らかに面とりしその色調を形成していきます。いわば全体場の明暗の対比を大づかみにとらえるのです。 例えば図にみるように像の胸部は高明度調のやわらかい色調の集まりですが、それらを一括したバルールで形成していきます。
第10回;<線関係法>形象 第11回;<線関係法>色価 第12回;<面関係法>形象 第13回;<面関係法>色価 第14回;<体制法;概観> 第15回;<線体制法> 第16回;<面体制法> 第17回;<構成法;概観> 第18回;<点構成法>