外装変速機のディレイラーの調整 2009/12/1
<目次>
「インデックス」と「ストローク」
適正位置
インデックスに問題がある場合
ストロークに問題がある場合
ディレイラーとシフトワイヤーの動作確認
トップギア側ストロークの設定
インデックス調整
ローギア側ストロークの設定
ストローク調整ネジの仕組み
アジャスターねじの仕組み
変速が安定しない場合
Bテンション調整

フロントディレイラーの調整
1.取り付け位置
2.ストロークの下限
3.ストロークの上限
4.インデックス

ギアチェンジ方法について
<参考にさせて頂いたサイト>
Shimano取扱説明書コーナー
サイクルベースあさひ > メンテナンスマニュアル > リアディレイラーの調整方法
サイクルベースあさひ > サイズに迷ったら > フロントディレイラーの選び方 / リアディレイラーの選び方
Be.BIKE > 後変速機のローとトップを調整する
自転車ツーリング再生計画 > リアディレイラーの調整
O-Trick(オートリック) > メンテナンスについて > シフトワイヤーの調整(SISの調整)
Park Tool > Repair Help and Education > Rear Derailleur Adjustment
Derailer Adjustment (Sheldon Brown)
サイクルボックス > コラム > 変速機の使い方のコツ

<参考にさせて頂いたYouTube動画>
How to Adjust Bicycle Gears (Intown Bicycles)
Gear Adjustment
2-Adjusting a Rear Derailleur
6-Adcanced Rear Derailleur Adjustment

<参考文献>
飯倉清 (2006) 『MTB・クロスバイクトラブルシューティング』圭文社
大竹雅一 (1997) 『MTBパーフェクトメンテナンス』 山海堂
クリス・シドウェルズ (2007) 『バイクリペアマニュアル』山と渓谷社
丹羽隆志 (2004) 『初心者のためのMTBメンテナンスBOOK』成美堂出版
永井隆正 (2008) 『改訂版MTBメンテナンス』竢o版社
永井隆正 (1997) 『MTBメンテナンス』竢o版社
森 幸春 監修 (2007) 『ロードバイクビギナーズ2実践編』八重洲出版
外装6段変速のリアディレイラーを調整してみましょう。

シフターを操作しても指定のギアに変速せず、ガチャガチャという音が出たままになる状態を想定します。
最も歯数の少ない(小さい)スプロケットを「トップギア」(1段目)、その隣りを「セカンド」(2段目)、さらにその隣を「サード」(3段目)と表記しています。また、最も歯数の多い(大きい)スプロケットを「ローギア」としています。

これはシフター上の表記と正反対になりますのでご注意下さい。
トップからロー、ローからトップへシフターを操作した様子です。
リアディレイラーの基本的な動きをアニメーションにまとめました。
SRAM(スラム) グリップシフト7速の場合です。

後輪とペダルを回せるような整備スタンドを用意すると、ディレイラーを実際に動かしながら調整することができます。

<関連リンク>
自転車用メンテナンススタンド2号製作(2007年)
サイクルベースあさひ > オリジナルディスプレイスタンド
リアディレイラーには2つのプーリーがあります。ひとつは「テンションプーリー」、もうひとつは「ガイドプーリー」です。

変速で重要な役割を果たすのが「ガイドプーリー」です。ガイドプーリーが一定の範囲で左右に動き、チェーンは所定のスプロケットに誘導されます。
リアディレイラーにワイヤーを張っていない状態です。チェーンは最小ギアの「トップ」に位置します。

この状態からディレイラーに内蔵されたバネを巻き上げるようにシフターを操作し、チェーンを大ギアへ持ち上げていきます。

大ギアから小ギアに戻るときはディレイラーに蓄(たくわ)えられたバネの力で落ちていきます。

※MTB用上級ディレイラーで一部採用されているローノーマル(シマノ ラピッドライズ)は省略させて頂きます。
フロントディレイラーにワイヤーを張っていない状態です。チェーンは最小ギアの「インナー」に位置します。

この状態からディレイラーに内蔵されたバネを巻き上げるようにシフターを操作し、チェーンを大ギアへ持ち上げていきます。

大ギアから小ギアに戻るときはディレイラーに蓄(たくわ)えられたバネの力で落ちていきます。
ワイヤーを張っていない状態を後方から見た様子です。
ディレイラー調整には大きく2つの要素があります。
・シフターのインデックス
・ガイドプーリーの振り幅(ストローク)
インデックスの調整はシフトワイヤーの末端にあるアジャスターで行います。
振り幅(ストローク)の調整は、ディレイラーにある調整ネジで行います。
左は「インデックス」と「振り幅」が適正な位置にある場合です。

"index"を英和辞書で調べると、「索引、見出し」と書かれています。

1980年代中頃までのシフターは「フリクションタイプ」と呼ばれるものでした。これには1速、2速という指標もなければクリックストップもありません。無段階に動くシフトレバーを「勘」と「経験」によって素早く最適な位置に操作するものでした。

しかし、1980年代後半になると「インデックスタイプ」が普及してきます。シフターを「1」と表示された位置に操作すれば1速に、「2」と表示された位置にすれば2速に変速します。シフターは各段の最適な位置でクリックストップするため、以前のように変速する度にシフターを手探りで微調整する必要がなくなりました。

<参考リンク>
ウィキペディア 変速機(自転車)
Wikipedia Shifter(bicycle part)
インデックスの位置に問題がある場合
シフトワイヤーがゆるんでいる場合です。とくに新品のワイヤーは馴染んで落ち着くまでの間に一定の伸びが生じる傾向にあり、「初期伸び」と呼ばれています。

ガイドプーリーの「振り幅」は適正な範囲にあるものの、「インデックス」は右にずれています。

シフターをロー(大ギア 1速)に操作してもチェーンはローに掛からず、5段目(2速)に入ったままカチャカチャと音を立て続けます

トップ(小ギア 6速)からセカンド(5速)にシフターを操作してもカチャカチャという音を立てるだけで変速しません。さらにサード(4速)へシフターを操作すると、ようやくチェーンがセカンド(5速)に掛かり、再びカチャカチャと音を立て続けます。

振り幅調整によってガイドプーリーがトップギアより右に動かないよう制限されているので、インデックスがずれていてもチェーンが外れてしまうということは起こりにくくなっています。

サイクルベースあさひ > 自転車のススメ > メンテナンスマニュアル > 新車時のなじみ(初期伸び)調整
ワイヤーを張り過ぎている場合です。

ガイドプーリーの振り幅は適正な範囲にあるものの、シフターのインデックスが左にずれています。

この状態では、トップギア(6速)に入れようとしても、ガチャガチャと音鳴りがするばかりでセカンドから落ちていきません。また、ローギア(1速)に入れようとしても、シフターがカチッとロー(1速)の位置に入る前にガイドプーリーのリミットに達してしまいます。すると、手でシフターを押さえ続けていればチェーンはトップの位置に掛かりますが、手を離すと再び5段目(2速)に落ちてしまうという状態になります。
ガイドプーリーの振り幅に問題がある場合
ローギアを越えてチェーンが落ちる場合です。

ワイヤーの張り具合は適切で、インデックスは適切な位置にあります。ところが、ローギア側の振り幅リミットが左側にずれています。

この場合、ローギア(1速)に向かってシフターが止まるまで操作してしまうと、シフターはロー(1速)を越えてワイヤーを引っ張ってしまいます。すると、チェーンがローギアを越えて落ちてしまいます。

本来ならば、ガイドプーリーは振り幅が制限されているので、シフターはローの位置で止まり、それ以上は動かなくなります。
チェーンがローギアを越えて落ちた状態です。
トップギア(6速)を越えてチェーンが落ちる場合です。

ガイドプーリーの振り幅がトップギア側にずれており、さらにシフトワイヤーが緩んでインデックスもずれているという、2つの要因が重なった状態です。
チェーンがトップギアを越えて外れ、噛み込んでしまった状態です。
ガイドプーリーのローギア側振り幅が狭い場合です。

ローギアにシフトしようとしても、シフターのレバーはローギアに届かない位置で止まってしまいます。
トップギア側のガイドプーリー振り幅が狭い場合です。

セカンドからトップに変速しようとした場合、シフターはトップの位置に落ちるものの、ガイドプーリーは途中で止まってしまいます。
アニメーションに一連の状態をまとめてみました。
ディレイラー調整
はじめにリアディレイラーが正常に動いているかを確認します。ディレイラーを指で動かし、途中で引っかかったり動きの渋い箇所があるかどうかをチェックします。
ディレイラーの動きが渋い場合は可動部分に油を注して再びチェックしてみます。

また、ディレイラーのみならず、シフトワイヤーに問題がないかどうかも確認します。
ディレイラーやシフトワイヤーの動作自体に問題がなければ、調整作業に移ります。
ガイドプーリーのトップギア側リミットを設定するには、ディレイラーがワイヤーで引っ張られていない状態にする必要があります。

アジャスターネジを突き当たるまで時計回りに回し、ワイヤーを最大までゆるめます。もしくはアジャスターネジを中間位置にしてワイヤーを固定部分から外します。
振り幅(ストローク)調整はガイドプーリーの動く幅を一定の範囲に制限することです。
ディレイラー本体にある2つの調整ネジで設定します。

小さく"L"と書かれているのがローギア側の調整ネジです。また、"H"と書かれているのがトップギア側の調整ネジです。
トップ側調整ネジを時計回りに締め込んでいくと、ガイドプーリーのトップギア側のリミットが左へ移動します。

逆に、調整ネジを反時計回りにゆるめていくと、トップギア側のリミットが右へ移動します。

調整ネジの回転方向とリミットの移動方向は車種により異なる可能性があります。
トップギアとガイドプーリーが一直線になっている状態です。
ガイドプーリーのリミットが右過ぎる場合です。ワイヤーが劣化して伸びてくると、チェーンがトップギアを越えて外れてしまう恐れもあります。
ガイドプーリーのリミットが左過ぎる場合です。トップギアの状態でチリチリという小さな音が発生してしまいます。
<厳密な調整方法>
シマノの取扱説明書によると、「ガイドプーリーの中心線」が「トップギアの右側面」と重なるように指示しています。
ガイドプーリーのトップギア側リミットを適正な位置に調整した後、緩めていたり外していたシフトワイヤーをセットします。

アジャスターの調整範囲は限られているので、シフトワイヤーを再度取付ける際にはアジャスターを中間位置、もしくはもっとも締め込んだ状態から1〜2回転戻した位置にしておきます。
このディレイラーのワイヤー固定ネジは2面幅9mmという、やや珍しいサイズでした。
クランクを回しながらシフターをトップから2段目(セカンド)へ操作します。カチャカチャと音が鳴り続けて2段目(セカンド)にチェーンが掛からない場合は、アジャスターを張る側に1/2回転ずつ回して様子を見ていきます。アジャスターでシフトワイヤーを張っていくと、「ガチャン」という音とともにチェーンが2段目(セカンド)に掛かります。

トップと2段目(セカンド)がスムーズに変速できることを確認した後、他のギアに変速してみます。
アジャスター(バレルアジャスター)とインデックスの位置関係をアニメーションにまとめました。

アジャスターを左回り(反時計回り)に回していくとワイヤーが張っていき、仮想的なインデックスの位置は大ギア側に移っていきます。

アジャスターを右回り(時計回り)に回していくとワイヤーがゆるんでいき、仮想的なインデックスの位置は小ギア側へ移っていきます。
シフターを操作してチェーンを2段目(セカンドギア)に掛けます。そしてシフトワイヤーのアジャスターを操作し、2段目(セカンドギア)とガイドプーリーが一直線に並ぶように調整します。

トップと2段目(セカンド)が合えば、最も大きいギア(ロー)までだいたい変速していくはずです。各段にシフトして「チリチリチリ」という音がする場合は、1/4回転ずつアジャスターを前後させて調整を追い込んでいきます。
<シフターのインデックスをセカンドギアで調整する理由>
チェーンを2段目(セカンドギア)に掛け、後方から目視で調整するという方法は、永井隆正監修 月刊バイシクルクラブ編『MTBメンテナンス』竢o版社 1997 78頁で紹介されています。

ガイドプーリーは振り幅調整によって、トップギアよりも右に動かないよう制限されています。このため、トップギアの位置ではワイヤーの張り具合が適正なのか緩んでいるのかが区別しにくいという問題があります。

セカンドギアならば、ガイドプーリーは適正位置から右にも左にも動けるので、「張りすぎ」、「適正」、「ゆるみすぎ」の判断が出来ます。
<シマノの調整方法>
シフターを操作して2段目(セカンドギア)にチェーンを掛けます。そこから3段目(サードギア)に向かってシフトレバーを遊び分だけ操作したとき、チェーンが3段目(サードギア)に接触して音鳴りがする状態が最適な状態とされています。
最後にローギア側リミットを調整していきます。ローギアとガイドプーリーが一直線に並んだ状態が適正です。

ローギア側調整ネジを時計回りに回すとガイドプーリーのリミットは右へ移動します。逆に、反時計回りに回すとリミットは左に移動します。

シフターを操作してローギアにチェーンを掛けます。このとき、ガイドプーリーがローギアよりも右に位置している場合は調整ネジを回して修正します。

すでにガイドプーリーとローギアが一直線に並んでいる場合でも、手でディレイラーを横から押してみます。ガイドプーリーがローギアを越えて左に動いてしまう場合、調整ネジを時計回りに回して修正します。
ストローク調整ネジの仕組み
RD-4400 TIAGRA リアディレイラーです。

HIGH側調整ネジ、LOW側調整ネジが後ろ向きに備わっています。
調整ネジの先端がストッパーに当たることでディレイラーの動く範囲(ストローク)を制限しています。

<トップノーマルRディレイラーの場合>
【HIGH側】変速ワイヤーを外すと、ディレイラー本体に内蔵されたスプリングの力により、「HIGH側調整ネジ先端」と「ストッパー」が当たる位置まで戻ります。

【LOW側】スプリングの力に反する方向に力を加えることで「LOW側調整ネジ先端」と「ストッパー」が当たります。

つまり、LOW側(大ギヤ側)のストロークを調整する際は、ディレイラー本体をLOW側に向かって手で押し込み、調整ネジとストッパーが当たった状態にした上で確認する必要があります。
ストローク調整ネジの機能をアニメーションにまとめました。
調整ねじを緩(ゆる)めていくと、調整ねじの先端部分は本体内部で後退していきます。すると、調整ねじの先端とストッパーの間にあるディレイラーの可動範囲が広がることになります。

ロー側調整ねじ(ローアジャストボルト)を緩めればロー側に可動範囲が広がります。反対に、トップ側調整ねじ(トップアジャストボルト)を緩めればトップ側に可動範囲が広がります。
調整ねじを締めていくと、調整ねじの先端部分は本体内部で前進していきます。すると、調整ねじの先端とストッパーの間にあるディレイラーの可動範囲が狭(せば)まることになります。

ロー側調整ねじ(ローアジャストボルト)を締めればロー側の可動範囲が狭(せば)まります。反対に、トップ側調整ねじ(トップアジャストボルト)を締めればトップ側の可動範囲が狭(せば)まります。
アニメーションにまとめました。
アジャスター(アジャスティングバレル Adjusting Barrel)の仕組み
シマノALTUS(アルタス)リアディレイラーです。
アジャスター(アジャスティングバレル Adjusting Barrel)には8つの山が刻まれています。1回転360°を8で割ると45°、つまり1クリックあたり45度となります。

Weblio辞書 > Barrel (機械の)円筒
アジャスターはM5×0.8 一条ねじでした。

つまり、アジャスターを1回転緩めるとシフトワイヤーは0.8mm引かれることになります。

・ 1回転(360°) 8クリック 0.8mm
・1/2回転(180°) 4クリック 0.4mm
・1/4回転(90°) 2クリック 0.2mm
・1/8回転(45°) 1クリック 0.1mm
変速が安定しない場合
アウターケーブルのキャップが折れ曲がった場合です。

このように、シフターからディレイラーに至る経路に不具合がある場合、ディレイラーのみを調整しても動作が一向に安定しない場合があります。
ディレイラーハンガー(derailleur hanger)が曲がっている場合です。ディレイラーを吊(つる)す(hang)場所という意です。
リアディレイラーは車体から出っ張っているため、転倒した時などにぶつかりやすく、取り付け部分(ディレイラーハンガー)から内側に曲がってしまう場合があります。
左はアルミフレームの自転車に採用される別体式ディレイラーハンガーです。フレーム、ハンガーともにアルミ合金製です。
まっすぐな定規(じょうぎ)を当ててみます。すると、隙間が生じ、曲がっていることが分かります。
正常な状態です。スプロケットとディレイラーのガイドプーリー、テンションプーリーが一直線に位置しています。
ガイドプーリー軸の摩耗とガタ、テンションプーリー軸の摩耗とガタなどが生じていると変速が安定しない場合があります。

また、プーリーケージを支える軸にガタが生じていると、プーリーケージが傾いてしまい、変速が安定しなかったり、異音が発生したりします。
Bテンション調整
同じ7速カセットスプロケットでも異なる歯数が用意されています。

・13-21T (Teeth ティース 歯車の歯数)
・13-23T
・12-28T

小さいギアから大きいギアに至る曲線の角度にご注目下さい。

※MTB用スプロケットはMTB用ディレイラーと組み合わせて使用します。ロード用カセットスプロケットは基本的にロード用ディレイラーと組み合わせて使用します。
例えば13-21T【左】から13-23T【中】にスプロケットを交換した場合、大ギア側の直径が大きくなります。ディレイラーのBテンション調整を変更しなかった場合、ロー(大ギア)にしたときにスプロケットとガイドプーリーの間隔が接近し過ぎる可能性があります。

接近し過ぎた場合、ガイドプーリーとスプロケットが接触してしまったり、クランクを逆回転させるとチェーンが詰まってしまうような状態になります。
スプロケットとガイドプーリーの間隔を調整するのがBテンションアジャストボルトの役割です。
Bテンションアジャストボルトを締め込んでいく(時計回り)と、ガイドプーリーは離れていきます。
Bテンションアジャストボルトをゆるめていく(反時計回り)と、ガイドプーリーは近づいていきます。
Bテンションアジャストボルトを調整範囲内で最もゆるめた状態です。
調整範囲中央の場合です。
Bテンションアジャストボルトの調整範囲で最も締めた状態です。
アニメーションにまとめました。

チェーンがインナー x ローの位置になるようギアチェンジし、クランクを逆回転させます。Bテンションアジャストボルトを回し、チェーンづまりしない位置までガイドプーリーをスプロケットに近づけます。

次に、チェーンがインナー(小ギア) x トップ(小ギア)の位置になるようにギアチェンジし、チェーンづまりしないかを念のため確認します。
スプロケットとガイドプーリーが離れ過ぎている場合です。
スプロケットとガイドプーリーが適正な間隔にある場合です。
フロントディレイラーの調整 2010/2/12
フロントディレイラーの調整に関しては以下の4点がポイントとなります。
1.取り付け位置
2.ストロークの下限
3.ストロークの上限
4.インデックス

【1.取り付け位置】
ディレイラーが適正な位置に取り付けられているかを確認します。ガイドプレート外側とアウターギヤ歯先の間隔が1〜3mmとなるように調整します。
ディレイラーの位置を調整するには、固定バンドの取り付けねじを緩めて行います。

なお、取り付けねじの締め付けトルクにご注意下さい。シマノTourney(ターニー)グレードのフロントディレイラー"FD-C051"の場合、取扱説明書によると5-7Nm(50-70kg/cm、0.5-0.7kg/m)と指定されています。

また、二面幅9mmという比較的珍しいサイズのねじが使われているディレイラーもありますので事前にご確認下さい。
フロントディレイラーのチェーンガイド(ガイドプレート)内側を「内プレート」、外側を「外プレート」と表現します。
【2.ストロークの下限】
チェーンをチェーンリングのインナー(小)、スプロケットのロー(大)の位置にします。これはチェーンが最も内側に入った状態です。

ディレイラーに設けられている振り幅(ストローク)制限ネジの"L"(LOW)側を調整します。

ディレイラーのガイドプレート内側とチェーンの隙間が0.5mmほどになるように調整します。
【3.ストローク上限】
チェーンをチェーンリングのアウター(大)、スプロケットのトップ(小)の位置にします。これはチェーンが最も外側にある状態です。

ディレイラーに設けられている振り幅(ストローク)制限ネジの"H"(HIGH)側を調整します。

ディレイラーのガイドプレート外側と、チェーンの隙間が0.5mmほどになるように調整します。

ポイントはシフトワイヤーを引っ張りながら調整するという点です。これはシフターを親指で押したままにしてもかまいませんし、シフトワイヤーが露出している部分を引っ張り上げてもかまいません。

ワイヤーを引いた状態でないと、ガイドプレートがシフターのインデックス(クリックストップ)で停止しているのか、それとも振り幅の上限に達して停止しているのかが分からないからです。
シフトワイヤーを引っ張っても、ガイドプレートがこの位置よりも外側に動かないようにします。これより外側に動いてしまうと、チェーンがアウターを乗り越えて落ちかねません。
シマノ FD-C051 TOURNY フロントディレイラーです。
LOW側調整ねじ、HIGH側調整ねじは、ディレイラーの可動範囲を制限するストッパの役割をしています。
【4.インデックス】
最も外側にある状態と、最も内側にある状態を設定すれば、原則的にはチェーンがチェーンリングから外れてしまうことはなくなります。

上限と下限を設定した後は、シフターのカチッ、カチッというクリックストップの位置と、実際のチェンリングの位置を合わせる「インデックス調整」を行います。

チェーンは「センター - ロー」(ミドル - ロー)の位置にします。操作するのはシフターにあるアジャスターです。

ディレイラーのガイドプレート内側とチェーンの隙間を0〜0.5mmほどにします。


ディレイラーやシフターの故障、シフトワイヤー(インナー・アウター)の不良、不適切な部品同士を組み合わせた場合などを除けば、「ディレイラー取り付け位置」、「ストロークの下限」、「ストロークの上限」、「インデックス」の4点が主な調整のポイントとなります。
別の角度から見た様子です。

前ギアを中央の「ミドル」、後ギアを歯数の最も大きい「ロー」にします。このとき、前ディレイラーのチェーンガイド内側とチェーンが0〜0.5mmの間隔となるようにシフトワイヤーの張りを調整します。

ハンドル左側に装着されている前シフターのワイヤーアジャスターを回して張り具合を調整します。
前ギアを中央の「ミドル」、後ギアを歯数の最も小さい「トップ」にします。このとき、前ディレイラーのチェーンガイド外側とチェーンが接触しないかどうかを確認します。

上記の「ミドル-ロー」状態で前ディレイラー内プレートとチェーンの間隔を過剰にあけた場合、「ミドル-トップ」状態にしたときに前ディレイラー外プレートとチェーンが接触してしまいます。
「ミドル-ロー」と「ミドル-トップ」をアニメーションにしてみました。

・「ミドル-ロー」ではチェーンが前ディレイラー内プレート側に寄っています。
・「ミドル-トップ」ではチェーンが前ディレイラー外プレート側に寄っています。
3つの画像をアニメーションにしました。
ギアチェンジについて
前3段 後7段変速の自転車を想定します。

前ギアは内側の小ギアを「インナー」、中央の中ギアを「ミドル」、外側の大ギアを「アウター」と呼びます。

後ギアはシフターの表記に従い、大ギア(ロー)を1速、小ギア(トップ)を7速とします。

前3x後7=21段変速となります。しかしながら、チェーンはなるべくまっすぐに近い状態で使うことが好ましく、前ギアの位置によって、有効に利用できる後ギアの位置は限られてきます。
【左】はアウターxロー、【右】はインナーxトップの状態です。チェーンは斜めになっており、いずれも負担が掛かった状態となっています。

アウター、ミドル、インナーの各ギアには重複があり、ほぼ同じギア比でも複数のポジションが存在します。

例えば、【左】のアウター x ローの「1.5」というギア比は、ミドルx3速(32-21)、インナーx6速(22-14)にもあります。この中でミドルx3速がチェーンラインの上では好ましい位置にあります。

【右】インナーxトップの「1.8」というギア比は、ミドルx4速(32-18)、アウターx2速(42-24)にもあります。この中でミドルx4速がチェーンラインの上では好ましい位置にあります。
ゆるやかな上り坂から次第に傾斜が増してきた場合です。

ミドルの4速から3速、2速、1速と低速ギアに変速していきますが、それでもペダルの重さは増していきます。ペダルを回せなくなる寸前に前ギアをミドルからインナーに変速するというパターンです。

外装変速機の場合、クランクが適度な回転数で回り、チェーンが流れている状態で初めて変速が可能になります。ペダルが重く回せなくなる寸前に強く踏み込みながらミドルからインナーへ変速すると、スムーズな変速ができないばかりか、部品に無理な力を与えてしまいます。
左のアニメーションのように、インナーを飛び越えてチェーンが落ちてしまう場合もあります。

たとえ正常にシフトできたとしても、ギア比が「1.1」から「0.8」まで大きく変動し、ペダルが急に軽くなって失速してしまいがちです。
そこで、ミドルx2速(32-24)からいったんミドルx4速(32-18)に変速し、すぐに前ギアをミドルからインナーへ変速します。インナーx4速からインナーx3速、インナーx2速、インナーx1速とシフトしていきます。

このようにシフトすることでチェーンラインをなるべくまっすぐに保つことができ、なおかつギア比が大きく変化して失速することを防ぐことができます。
ミドル→アウター→ミドルの変速操作をアニメーションにまとめました。
<目次>
「インデックス」と「ストローク」
適正位置
インデックスに問題がある場合
ストロークに問題がある場合
ディレイラーとシフトワイヤーの動作確認
トップギア側ストロークの設定
インデックス調整
ローギア側ストロークの設定
ストローク調整ネジの仕組み
アジャスターねじの仕組み
変速が安定しない場合
Bテンション調整

フロントディレイラーの調整
1.取り付け位置
2.ストロークの下限
3.ストロークの上限
4.インデックス

ギアチェンジ方法について
<参考にさせて頂いたサイト>
Shimano取扱説明書コーナー
サイクルベースあさひ > メンテナンスマニュアル > リアディレイラーの調整方法
サイクルベースあさひ > サイズに迷ったら > フロントディレイラーの選び方 / リアディレイラーの選び方
Be.BIKE > 後変速機のローとトップを調整する
自転車ツーリング再生計画 > リアディレイラーの調整
O-Trick(オートリック) > メンテナンスについて > シフトワイヤーの調整(SISの調整)
Park Tool > Repair Help and Education > Rear Derailleur Adjustment
Derailer Adjustment (Sheldon Brown)
サイクルボックス > コラム > 変速機の使い方のコツ

<参考にさせて頂いたYouTube動画>
How to Adjust Bicycle Gears (Intown Bicycles)
Gear Adjustment
2-Adjusting a Rear Derailleur
6-Adcanced Rear Derailleur Adjustment

<参考文献>
飯倉清 (2006) 『MTB・クロスバイクトラブルシューティング』圭文社
大竹雅一 (1997) 『MTBパーフェクトメンテナンス』 山海堂
クリス・シドウェルズ (2007) 『バイクリペアマニュアル』山と渓谷社
丹羽隆志 (2004) 『初心者のためのMTBメンテナンスBOOK』成美堂出版
永井隆正 (2008) 『改訂版MTBメンテナンス』竢o版社
永井隆正 (1997) 『MTBメンテナンス』竢o版社
森 幸春 監修 (2007) 『ロードバイクビギナーズ2実践編』八重洲出版
TAKAよろず研究所
http://www.geocities.jp/taka_laboratory/
2009/12/1製作 2010/2/12更新 2010/12/1補足 2011/3/25補足 2011/6/18補足 2011/8/5補足 2012/4/25補足 2012/5/30補足 2012/6/27補足
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