GOD EATER ~RED・GODDESS~ (真王)
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連続投稿しますぜ



スミカとソーマ

スミカがリーダーになってから五日が経った。

スミカはミッションにおいて、すでにメンバーを統率する程にまで成長したのだが…やはり、日に日に増していく精神的な疲労感は否めない。

「ふう…」

エントランスへ向かうために待っていたエレベーターの前で溜め息をつくと…。

「どうだ?調子の方は」
「あ、ツバキさん…」
「ああ、皆まで言うな。その顔を見れば、だいたい分かるさ…」

そう言ったツバキは右手を伸ばし、スミカの頬にそっと添える。
スミカはツバキの突然の行為にどぎまぎしていたが、やがてツバキは口を開く。

「リーダーになりたてだったリンドウそっくりの…テンパった顔つきだ」

そしてツバキは手を戻し、続けてスミカに言う。

「まずは肩の力を抜くことだな。お前が全てをこなすことはないんだ…仲間を使い…自分を使え。それが信頼を生む」

スミカは、リンドウの歩んできた道を思い浮かべる。

長い歳月を戦い抜いた、生き残るための秘訣…そして、リーダーのすべきことを…。

「お前ならきっといいリーダーになれる」

ツバキはスミカを見つめながら励ましの言葉を贈る。

「…さあ、任務に戻れ!これからもよろしく頼むぞ!」
「…ハイ!」

スミカの表情は明るさを取り戻し、声には疲れなど微塵も感じさせないものになっていた。









「なんかさ〜…最近支給品の質が目に見えて落ちてない?いや、贅沢言ってらんないのはわかるんだけどさ〜…」

ツバキの激励を受けたスミカは、コウタ、ソーマとともに鎮魂の廃寺に来ていた。

そして、ミッションが始まるまでの暇な時間に、世間話をしていたコウタが支給品に対する不満を漏らし出した。

「プリンのレーションとかモロに体に悪そうな味でさ〜…あのザラッとした甘い食感、耐えらんないんだよね…」
「食べれるだけましでしょ?」

と、スミカがそう返した時に物音がして振り返るとソーマが立っていた。

「あ!ソーマ!今度の休みに全員でスミカのリーダー就任祝いでもやろうかと思ってるんだけど、どう?」

スミカには初耳のコウタの提案を聞いたソーマは…。

「…断る」

あっさり切り捨てた。

「えー、そう言わずにさあ…」

コウタはあまりに無関心過ぎるソーマに交渉する。

しかし…。

「馴れ合いたいなら、お友達同士で勝手にやれ」

またもあっさり切り捨てたソーマは、神機を肩に担いで待機ポイントからフィールドに降りて行ってしまった。

「くっそー、ちょっと腕が立つからってエリート気取りかよ!遅れて来て偉そうにすんなよな!だからアンタは友達が少ないんだよ、ヴァーカ!!」
(子供っぽいわね・・・)

コウタのクラスでやたらとバーカ、バーカとか言ういじめっ子みたいな言動を見て、苦笑い。

「んだよー…人がせっかくさぁ…暗すぎだろアイツ…」

コウタの声が何だかしょげているように感じた。一応ショックは受けているようだ。

「ああっと!作戦開始時刻だ!よし、行こうぜ!」

コウタもフィールドに降りて行ったのを見て、スミカも降り立つ。

「グオォォォォォ!!」

その瞬間、アラガミの声が辺りに響き、複数の爆発音が聞こえてきた。

…どうやらソーマがもう交戦しているようだ。

「行くよコウタ君!」
「おう!」

二人は素早く走り出し、寺院の階段を駆け上がる。

登りきって辺りをスミカが見回すと、すぐに3つの影を確認した。

降りしきる雪で鮮明には見えないが、近寄っていくと一つはソーマ、後二つは今日の討伐目標「グボロ・グボロ」「シユウ」だとわかった。

「コウタ君!いつも通りフォロー!」
「了解!」

スミカが先にグボロ・グボロに斬りかかり、コウタは頭を狙ってバレットを撃ち込む。

別の獲物を見つけたグボロ・グボロは頭の砲台でスミカ達を狙う。

「これはプレゼントよ」

スミカは銃形態でグボロ・グボロの頭を狙う。
正確には砲台の発射口。

スポッ、ドガーン!!

「ウギャアアアアアアアアア!!」

グボロ・グボロが悲鳴を上げた。
砲台が完全にぶっ壊れている。

「すげーなスミカおい!」
「コウタ君もやれば出来ると思うよ?」
「いや、それ難易度高いから」

確かに正論だ。
残りはシユウだが、もうソーマが止めをさそうとしている。

「目障りだ…」

シユウの正面に立ったソーマが、神機を構え力を溜め込む。

「消えろ!!」

ズガン!!

堅い装甲などものともせず、ソーマはノコギリ状の巨大な刃を振り下ろした。

無慈悲な一撃を受けたシユウは、その体を一刀両断されて生命活動を停止させた。

「いや〜、終わった終わった!」
「お疲れさん…でも、まだ気を抜かないで?」

と言いながらスミカはグボロ・グボロとシユウを捕喰する。

「よし、ミッション完了!帰投す…ってあれ?ソーマ?」

辺りを見渡してもソーマの姿が見当たらなかった。

「あれ?そういえば…」

コウタも気づいて見渡す。

「またかってにほつき歩いてるの?」








ソーマは崩れた寺の一角で、神機を構えながら歩みを進めていた。

調べたいことがあって一人やってきたのだ………当然軍規違反である。

ソーマはやがて仏像が並ぶ本堂にたどり着き、中へゆっくりと侵入していく。

木で造られた床がギシギシと音を立て続けるが、ソーマが本堂の中央まで来ると、それも止まった。

「誰だ…姿を見せろ」

戦っている最中にずっと感じていた視線がソーマは気になっていた。

それ以前にも、似たような視線や気配を感じていたことは何度かあった。

確かめたい…アラガミの殺気がこもった視線を浴びつづけた自分に違和感を与える、人間のものとは思えない不思議な視線の正体を…。

「いるのはわかってるんだ!」

試しに脅してみる。しかし、仏像の影に隠れて、ソーマを見つめていた白い人影は出てこなかった。

ソーマがキョロキョロ見回していると、後ろから突然物音がした。

素早く神機を後ろに向けて、刃を突き付ける。

「ちょ、ちょっと待った!!俺だって!!」

神機を向けた先にはコウタとスミカがいた。刃を向けられたコウタは、自分の神機を盾がわりに構えていた。

「ちっ…なんだ、お前か…」

ソーマが苛立たしげに言う。

「なんだじゃねーよ!帰投する時間を過ぎても来ないから探してたんだぞ!」

コウタはソーマの行動に対して文句を言う。

「余計なお世話だ…俺は俺の好きにさせてもらう」
「俺たち、同じ部隊の仲間だろうが!勝手ばっかり言うなよ!」

コウタは若干声を荒げてソーマに詰め寄るが…。

「フ…『仲間』か…少し小突かれたくらいで死んじまう…おちおち背中も預けられないような仲間なら、いない方がずっとマシだ…」

冷た過ぎる言葉を放ってソーマはそっぽを向いた。

「コイツっ…ああ、わかったよ!アンタは『特別』だよ!大したヤツだよ!………お高くとまりやがって…好きにしろよ!俺は先に帰るからな!」

コウタはソーマの態度に苛立ち、散々言い散らかした後、背を向けて帰投ヘリのもとへ向かった。

「…お前も、俺みたいなバケモノに関わるな…」

ソーマにそう言われたスミカは、頭をポリポリと掻いて…。

「そういわれてもリーダーとしてかかわらないわけにはいかないよ?」
「…あ?」

スミカが微笑みながらソーマを見て言った。それにソーマは意味が分からず聞き返す。

「それに、ソーマの言ったこと…『背中を預けられない仲間はいらない』ってことは、『背中を預けられる仲間は大歓迎』…ってことだよね?」

(何言ってやがる、コイツ…)

ソーマはスミカの返してきた意外な返答にいらつき、またわずかに困惑する。

「今はまだ無理でも、いつかソーマの背中を預けられる日が来るよ。いずれね」

なおもスミカは、微笑みながらソーマを見つめて宣言する。

(俺を支えられるようになるだと………笑わせやがる………)

ソーマはスミカにそれ以上何も言わなかった。ただ、言い合うのが面倒なだけだったのだが。

「そんなに死にたいなら…好きにしろ…」

物騒なことを言ってソーマはスミカの横をすり抜け、ヘリの待機地点へと向かった。

「死ぬつもりはないよ。ただあなたを守りたいから」

チラッと仏像を見た後スミカは待機地点へ向かった。

スミカとソーマのやり取りを見ていた白い人影は、その場を離れ、雪景色の中に姿を消した。