GOD EATER ~RED・GODDESS~ (真王)
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新リーダーとして

ミッションを終えて、スミカ達はエントランスに戻ってきた。

カウンターへ行くとスミカにヒバリが話しかけた。

「スミカさん、支部長がお呼びです」
「あ、はい」

スミカはエレベーターに乗り、役員区画へと向かった。








目的の部屋に到着したスミカは、支部長室に入るのは始めてだっけ?と身なりを整える。(別に乱れているわけではないが)

コンコンとノックすると、中から久しぶりの声が聞こえてきた。

「誰だ?」
「スミカ=グレンです」
「君か……入りたまえ」
「失礼します」

バシュっとドアが開き、部屋の中に入ると、シックザールが椅子に深々と腰掛けていた。

スミカが近づくと、シックザールが口を開く。

「期待通り、滞りなく任務を完遂してくれたようだね…まずは祝辞を述べさせてもらおう。リーダー就任、おめでとう」
「ありがとうございます…」

スミカは軽く頭を下げて礼を言った。

「さて…君にわざわざ足を運んでもらったのは他でもない。リーダーの権限と、義務について…触れておこうと思ってね」

シックザールはいつものように机に肘をつき、両手を口の前で組みながら話した。

「まずは権限の強化だ。君には、リーダー専用の個室が与えられる。前リーダーであるリンドウ君が使用していた部屋だ…」
「・・・・・・」

リンドウの部屋に移り住むと聞いて、スミカはピクリと反応する。

「その際…ターミナルにアクセスして、使用者権限を更新しておくように。今まで閲覧が許可されていなかった資料が、確認できるようになっているハズだ…。情報を開示、共有することを我々が決断した…この意味を、よく理解しておいてくれ。そう…これは我々、フェンリルからの信頼の証…願わくば、裏切らないでほしいものだ…」

シックザールの意味深な言葉を聞いたとき、リンドウの姿を思い浮かぶ。

「さて、次は義務の方についてだが…君には通常の任務の他に、リンドウ君が遂行していた『特務』を引き継いでもらう…………」

次の言葉が続かず、シックザールが考え込むような仕種をしたので、スミカは首を傾げた。

「………細かい話は、追って伝える。今日は君も、疲れていることだろう。ご苦労だった、これからもよろしく頼むよ」
「はい」

シックザールの話が終わったようなので、スミカは執務室を出る。







「………」

食堂での食事を終えたスミカは、リンドウの部屋の前に来ていた。

(今日からここが……)

スミカはゆっくり手を伸ばし、ドアの開閉スイッチを押す。

リンドウの部屋は予想に反して綺麗に整頓されていて、窓には夕焼けの海が映しだされていた。

そして、部屋と同じく綺麗なベッドの脇の棚には、今の世界では希少となった酒瓶がズラリと並んでいる。…どうやら封を開けてはいないようだ。リンドウがミッションの報酬として貰ったのだろうか…。
・・・すごく酒の匂いが漂っている・・・。

スミカはしばらく部屋に見入っていたが、ドアを閉じてロックをかけた後、自分の荷物が入った鞄を床に置く。

「チームリーダー・・・ねぇ」

昔一人で世界を回ってきたスミカ。
だが今はゴッドイーターとして、チームリーダーとして、その責任を背負うことになる。

「・・・そうと決まれば・・・師匠流の訓練を思い出そう」

みんなに頼れる強いリーダーになるためにも。
そしてリンドウを救うためにも。