GOD EATER ~RED・GODDESS~ (真王)
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敵より味方が怖い?

今日は防衛班の仕事がある。

暇なので私はそこに参加することにした。

「まったく、アリサはもっと素直になればいいのにね」
「まぁたしかにそうだが・・・っと付いたぞ」

やってきたのは『鉄塔の森』。
そこで討伐するのはグボロ・グボロといわれる魚のアラガミだ。

メンバーは私を含めてタツミ、カノン、そしてアリサである。

「きたよ」

その視線の先には――アラガミが一体。

魚類の頭部とヒレを、そのまま大きくしたような身体。

背中には楕円型の盾のような背ビレを持ち、額には砲塔のような突起が。

このアラガミこそグボロ・グボロ、アラガミの中で唯一の水上でも行動できるアラガミだ。

今は捕喰中なのか、壁などをバリバリ食べている。この分なら奇襲は充分可能だろう。

「それじゃあ、まずは銃撃で奇襲して、私とアリサちゃんとタツミが前衛で戦うから、カノンさんは後方で――」
「いきます!!」

スミカの作戦が全て話される前に、アリサは神機を剣形態に変形させグボロ・グボロへと向かっていく。

「アリサちゃん!?」
「あ、あの……勝手な行動は」

少し遠慮がちに言うするカノンだったが、時既に遅くアリサは奇襲の一撃をグボロ・グボロの背ビレに叩き込んだ。

「ググッ……」

くぐもった声を漏らすグボロ・グボロ、その隙にアリサは間合いを広げる。

「はぁ……」

気づかれた、こうなってしまえば奇襲などできるわけがない。
ため息をつきつつ、スミカは神機を握りしめアラガミの元へ。

「アリサちゃん、1人で勝手な事をしちゃダメじゃないか」
「こんな程度のアラガミなら、私1人で充分だと判断したまでです」
「たとえそうだとしても、仲間が居るんだから勝手な行動は厳禁だよ。1人で戦ってるんじゃない、私達はチームなんだから」

ちょっと強めの口調でそう言うと、アリサはあからさまに不満そうな表情を返してくる。

と、後ろから殺気を感じた。

「おっと」
「どわぁぁ!」

スミカは紙一重で避けたが、タツミは巻き添えを食らう。

「――射線上に入るなって、わたし言わなかったっけ?」

いつものおどおどさがなくなり強気になったカノンが、口元に小さな笑みを浮かべて立っていた。
銃口から煙が出ているが、

「な、な、な……何するんですかあなたは!?」
「勝手な行動に出たくせに、よくそんな事が言えるわね」

普段の弱々しさなど欠片もなく、冷ややかな目をアリサに向けるカノン。
これには、アリサも黙ってはいなかった。
任務に行く前にタツミが心配していたことを理解したよ。
カノンさんは腕はいいけど誤射しまくるんだね。

「ふ、普段は弱々しくて鬱陶しいくらいなのに、何で急に強気になってるんですか!!大体、誤射率が一番高いくせに偉そうな事言わないでください!!」
「それはわたしが悪いんじゃない、射線上に立つ方が悪いのよ」
「そういうの開き直りって言うんですよ!!」
「あなただって、新型だからって無駄に高圧的だし、スミカに迷惑掛け過ぎなのよ」
(呼び捨て……)
「そういうあなたこそ、誤射ばかりでスミカさんも迷惑だって思ってますよ!!」
「何ですって!?」
「何ですか!?」

アラガミそっちのけで、口喧嘩を続けるアリサとカノン。
スミカはにっこりと『いい笑顔』で近づき、

ガッ!

「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!」
「2人とも?今戦闘中だってこと覚えてる?」

けんかしている二人に鼻フックデストロイヤーを浴びせる。

「喧嘩してる暇があんなら、さっさと戦え!!」
「うぐろばぁ!?」

近くの壁にぶん投げた。







で・・・

「私が仕留める。援護して!」
「「わかりました!」」
「俺もフォローする!」

体勢を立て直したスミカ達は残ったグボロ・グボロと戦っていた。

「食べちゃえ!」

捕食形態に変えてグボロ・グボロを喰らい、バースト状態になる。

「はあああああああ!!」

スミカが身を屈んで構えると神機から紫色の刀身が出現した。
『チャージクラッシュ』という神機の特性の一つだ。

だがスミカはこれだけでは終わらない。

「紅蓮術・三痕双!」

チャージクラッシュ状態で3回グボロ・グボロをたたき伏せた。

「グギャアアアア!!」

グボロ・グボロは耐え切れず行動を停止した。

「ふう、本番でも活躍できそうね」
「すげーなおい、今のどうやったんだ!?」

タツミが興味ありげに聞いてきた。

「チャージクラッシュを当てる瞬間にすばやく横に移動させ、一回転した後またきりつけて最後に一回転した後思いっきりたたきつける。師匠の技を見よう見真似で編み出した私なりの必殺技なんだ」
「・・・へぇ~、お前の師匠はすごいんだな」
「うん、師匠はすごいよ!なんたって師匠は私の倍ぐらい強いもの!」

スミカの師匠のことを元気よく語るスミカ。

「いつか私は師匠を超えて見せるわ。・・・そしてあいつを見つけるために」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないわ」

最後の言葉が聞き取れなかったが、わかったとタツミはいう。

「さてと、アナグラに帰還する・・・の前に・・・」

こっそり逃げ出そうとしてたカノンとアリサを捕まえた。

「ちょっとO☆HA☆NA☆SHIしてくるわ」
「お・・・おう・・・」

タツミはほほを引きつらせて応えた。
空耳でドナドナが聞こえ、

「いやあああああああああああああああ!!!」

そんな悲鳴が聞こえたそうな。





アナグラ

「な、なぁ?あれなんなんだ?」
「二人の反省会だよ?」

ニコニコ笑うスミカとあるものを指差して疑問するコウタ。
そのあるものとは、

ズタボロ状態で泣き泣き見世物にされているカノンとアリサ。
二人にはそれぞれ『私は誤射して怒られました』『私は勝手なことして怒られました』と看板が飾られていました。