GOD EATER ~RED・GODDESS~ (真王)
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コウタとコンゴウだ
猿の癖に生意気だ!
鎮魂の廃寺
神仏に縋る人々が静かに暮らしていた隠れ里であったが、アラガミにより壊滅的な被害を受け、今では入り組んだ地形に冷たい風と雪が降り注ぐ廃墟となっている。
縋るべき神に命を奪われた人々の叫びが、風に乗って聞こえてきそうだ。
今回の任務はここにいる中型アラガミ・コンゴウの討伐だ。
時刻は夜、視界が限定される中――スミカを先頭にコウタ君とコンゴウを探すために探索を開始した。
「しっかし……さみぃな」
「当たり前だよ……そんな寒そうなかっこうして・・・」
半袖にへそ出し、そんな軽装では寒いのも当然だ。
「そういうお前も薄着じゃねぇか」
「まぁコウタ君よりかはね。これでも我慢してるのよ」
そういう自分もコウタ君より露出の高い衣装だ。
胸元が開いた赤い胸巻きとミニスカートという露出の高いものである。
やれやれと思いつつ――彼女は足を止める。
「スミカ、どうし――」
「しっ!」
喋ろうとするコウタ君を制し、スミカは壁に背を預け……ある場所へと視線を向ける。
そこは神仏が置いてある御堂の中、そこを蹂躙するように――コンゴウが座り込んでいた。
「……あれが、コンゴウか」
実物を見るのは初めてなコウタ君は、口調の中に若干の緊張を走らせる。
幸いにもコンゴウはこちらに気づいた様子はないが、あのアラガミは聴力に優れている。下手に近づけば気づかれる可能性が高い。
「………コウタ君、まずはここから銃撃で奇襲してダメージを与えるよ。その後は、コンゴウを外に誘き出して」
「おぅ、わかった」
「せーのでいくよ?」
互いに頷き合い、そして。
『せーの!!』
同時に飛び出し、コンゴウの背中に銃撃を浴びせる―――!
「グェァッ!!」
背中に衝撃を受け、コンゴウがようやくスミカ達に気づく。
すぐさまスミカは銃から剣形態に神機を変形、地を蹴って踏み込み――上段から斬撃を繰り出した。
太刀の刃がコンゴウの頭部に食い込み、鮮血が舞う。
だが、コンゴウは攻撃を受けながらも丸太のような太い腕でスミカを殴り飛ばそうと振るった。
「よっと!」
すんでのところで、スミカはコンゴウの攻撃をイナバウワーのごとく避けた。
「スミカ!!」
「―――っ」
背後からの声に反応し、その場で右側に跳躍。
すると、コンゴウの全身に雷属性の弾丸が降り注ぎ、悲鳴が辺りに響き渡った。
「は―――っ!!」
怯むコンゴウに右足で大きく踏み込み、横薙ぎに剣を振るうスミカ。
遠心力と全身のバネを用いた斬撃は、コンゴウの皮膚を貫通し右腕を斬り落とす。
「ギィィヤァァァッ!!」
「―――うるさい」
聞くに耐えない絶叫に舌打ちしつつ、スミカは神機を銃形態に変形。なんとそのまま砲身をコンゴウの口へとねじり込む。
「うぇ―――!?」
後ろに居るコウタも、コンゴウですら一瞬彼の行動を理解できず。
スミカはそのまま、コンゴウの体内に連続で銃撃を撃ち込んだ―――!
一発撃つごとにコンゴウの身体からは血が噴き出し、悲鳴も小さくなっていく。
そして、銃撃を行うのに必要なオラクル細胞が空になった頃には。
首から上を完全に無くし、とうの昔に事切れたコンゴウが、地に伏していた……。
「…………」
それを冷たく見下ろしながら、スミカは一度剣形態にしてから、捕喰形態に変形させコンゴウに喰らいつく。
「――コアの捕喰完了、終わったよコウタ君」
「………すげぇ」
スミカの戦い方に、コウタ君はおもわずそう呟く。
新型としての柔軟な戦い方もそうだが……何の躊躇いもなくあんな攻撃ができるスミカに、コウタ君は心底感嘆した。
「さあ、ミッションも完了したし戻るとしようかな?」
「お、おぉ……」
いつもの柔らかい微笑、だが……顔に血が付着したままなので、少し不気味だ。
――こうして、ミッションを終えた2人は車で廃寺を後にする
「あちゃー……さっきので銃身パーツが壊れちゃったな……」
「そりゃああんな使い方したら壊れるって……」
アラガミの口に直接銃身を入れて撃ったのだ、この破損は至極当然の事である。
「帰ったら整備士の娘・・・リッカちゃんだっけ?その子に頼んで新しい銃身パーツ、作って貰おうかな……」
「えっ、スミカって整備班のあの子とも仲良いのか?」
「一回話した程度だけど」
「ああ、そう・・・」
コウタ君が乾いた笑みを浮かべた。
「………あっ、そういえば今日は家に帰れる日だったな」
「コウタ君は、外部居住区に実家があるんだっけ?」
「ああ、母さんと妹が居てさ。母さんは心配性で、帰る度に「大丈夫?」なんて言ってくるんだよ、気持ちはわかるけどちょっと親バカだよな?」
「…………」
放つ言葉とは裏腹に、コウタ君の口調には嬉しさが滲み出ている。
「……妹さんのお母さんの事、大事にしてるんだね」
「あったり前だろ、スミカは兄妹とか居ないのか?」
「いないよ?というか私生みの親知らないし」
「え?」
スミカの言葉に理解できないコウタ君。
「私を育ててくれたのは師匠だけ。実の両親は私を生んですぐアラガミに食われたって師匠から聞いただけなんだけどね」
「あ、ごめんオレ……」
生まれてすぐスミカの両親が死に、スミカだけが生き残った。
そしてスミカの師匠という人が育て親として今のスミカとなっているのだ。
「気にしなくて良いよコウタ君、むしろ家族を大事にしてる事がわかって私も嬉しいな。コウタ君が、優しくて良い人だって」
「スミカ……」
あははと笑うスミカに、コウタ君は何故か真剣な表情を彼に向けた。
「――スミカ、オレもっと母さんと妹を大事にする。絶対に」
「コウタ君……」
「オレ、お前の家族の事が知れてよかったと思う。だから……ありがとう」
「…………うん」
ああ、やはり彼は優しい人だ。
知る意味などない自分の過去を聞いてくれただけでなく、それを無意味なものにしなかったのだから。
「――よーし、これからもジャンジャンアラガミを倒して、みんなを安心させるぞー!!」
「おー」
2人して手を上げる、そうしてる間にアナグラへと到着した。
「スミカ、さっさと報告書提出して何か食いに行こうぜ!!」
「そうだね、私も少しお腹がすいたから」
「よっしゃ、そうと決まれば善は急げだ!!」
「ははっ……」
元気すぎるコウタ君に苦笑を浮かべつつ、スミカも後に続く。
――その後、スミカはコウタ君と共に残りの1日を過ごした
後日
「くらえ!男のこぶしで宇宙までぶん殴りぱ~んち!」
「ぎゃあああああああああ!!」
コウタが見せたバガラリーのあるシーンにはまったスミカはぶっ飛ばすシーンを真似してコウタに被害を出したのは言うまでもない。