GOD EATER ~RED・GODDESS~ (真王)
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身体検査

中に入ると、モニタやキーボードなど、機械に囲まれてせわしなく指を走らせる狐目の男、そしてその隣に白いロングコートを着た、端整な顔立ちの男がいた。

「ふむ…予想より726秒も早い…よく来たね、スミカ=グレン君!私は『ペイラー・榊』…アラガミ技術開発の統括責任者だ」

榊はスミカに名乗ると、休めていた指を再び走らせる。

「さてと…見ての通り、まだ準備中なんだ。ヨハン、先に君の用事を済ませたらどうだい?」

彼はそう言って隣の男を見た。

「榊博士…そろそろ、公私のけじめを覚えていただきたい。先程の適合テストではご苦労だった…私の名は『ヨハネス・フォン・シックザール』…この地域一帯のフェンリル支部を統括している」

シックザールは名乗った後も、後ろで手を組んだまま話を続ける。

「…さて、我々フェンリルの目標を改めて説明しよう。君に課せられた責務は、この地域周辺のアラガミの撃退と、その素材を持ち帰ることだ」

キーボードを叩く音と共に説明が続く。

「そして、それらは全てここ…前線基地の維持と、来るべきエイジス計画の資源として使われる…」
「この数値はっ…!」

突然榊の声が横から割ってきて説明が中断される。
スミカはちらっと顔を榊に一瞬向けるが、すぐに姿勢を正しシックザールと向き合う。

「エイジス計画…外部居住区のメディアでもよく取り上げられているあの…」
「そう…『人類の楽園を作る』という理念のもとに進められている計画だ。正確には、旧日本海付近に…外部居住区のものとは比べものにならないほど強固な、対アラガミ装甲壁を展開した人工の島を作り、そこに人々を住まわせるというものだ」
「ほほーー!!」

また榊の声が割って入るがシックザールは無視する。

「この計画が成就すれば…少なくとも人類は当面の間、絶滅の危機を遠ざけることが出来るはずだ」
「すごいっ!!!これが新型かぁ〜!!」
「ペイラー…説明の邪魔だ」

ついに堪えられなくなり、シックザールが榊に注意する。

「ああ、ゴメンゴメン!ちょっと予想以上の数値に舞い上がっちゃったんだ〜」

榊の様子にため息を漏らすシックザール。

「…ともあれ、人類のためだ。尽力してくれ。では、私はこれで失礼する…ペイラーは検査が終わったら、私にデータを送っておいてくれ」

シックザールはそう言って、部屋を出て行った。

「よし!準備は完了だ!そこのベッドに横になってくれ。少し眠くなるけど心配はいらない…次に目が覚めたときは自分の部屋だ!戦士のつかの間の休息というやつだね〜…予定では10800秒だ…ゆっくりおやすみ…」
「セクハラしたら訴えますよ?」
「ははは、僕はそんなことすると思うかい?」
「思う」
「・・・ばっさりと断言したね」
「まぁ冗談です。検査を始めてください」

スミカはそういいながら横になり検査が始まった。




眠ったスミカを部屋へ送った後、榊は自分専用のターミナルにアクセスし、スミカの計測データを見ていた。

(ふむ…ただでさえ適合しにくい新型神機に選ばれ、なおかつソーマ並の適合率の高さ…間違いないなく即戦力となる逸材だね…)

現在世界に新型神機使いは数えるほどしかいない…その中でもスミカの潜在能力の高さは群を抜いていた。

「指導方法や成長次第では世界最強のゴッドイーターになるかもしれないな…」

そう呟いた彼は、比較的まずいコーヒーを口にした。






やがてスミカは、新人区画の一室で目が覚めた。
ぼやけている視界が鮮明になってくると、自分がいる部屋を見回す。

「私の部屋か~」

まだ新しいのか、小綺麗な部屋だった。外部居住区にいた頃とはえらい違いである。
おもむろにベッドから起きて伸びをしたあと、クローゼットに向かって歩いていく。

中にはやはり、昨日着ていたフェンリル支給の隊員服が掛けられていた。(それも同じデザイン、同じ色が何着も)

この服あまり好きじゃないなと思いつつ服を着替える。まず右手を通して…。

「…んっ?…あれ?」

やはりというか…右手についている大きくて無骨な腕輪が引っ掛かっていた。

「ん!この……!入りずらいよこのサイズっ!」

ひたすら腕輪と格闘するスミカ。10分ほど時間をかけてようやく袖が通った。

「っはぁ〜……早く慣れないと…」

着替えられなくて遅刻など洒落にならない。

とりあえず服を着替えることができたスミカは、部屋の外に出た。すると、正面のエレベーターの近くにシュンが立っていた。隣にコウタもいる。

「おう、やっと目覚めたか」

シュンは待ちくたびれたぞ、といった口調でスミカに言う。

「小川さん?どうしたんですか?」
「俺達を迎えに来てくれたらしいよ?今日から訓練が始まるからさ」

スミカの問いにコウタが答える。

「おら、さっさと行くぞ!早くしないと俺がツバキさんにどやされるんだからな!」

シュンの呼びかけで二人はエレベーターに乗り、エントランスへと向かった。