京都府医大:幹細胞移植、動物実験経ず臨床
毎日新聞 2013年04月11日 02時30分
松原元教授は10日、毎日新聞に対し「データを訂正した論文が(学内の)倫理委員会に受理されており、問題はない。類似の方法で臨床的に問題ないことが海外の論文で証明されていた」などとする文書を寄せた。
◇解説 「人体実験」の批判免れず
ヒトへの臨床試験は通常、効果や安全性を動物実験で十分に確認した後に実施される。今回のケースは、その動物実験を経ていなかっただけでなく、改ざんの疑いがもたれるような論文を参考にしていたという二つの側面から、「人体実験」と批判されてもおかしくない。
ある循環器の専門家は、「急性」と「慢性」の心筋梗塞の違いについて、「発症からの経過時間に大きな差があり、心筋の状態が明らかに違う。急性心筋梗塞のヒトで臨床試験するのであれば、前段階の動物実験でも急性のモデルを使うのが当然だ」と指摘する。
臨床試験は、国の指針に基づいて手順を計画し、実施機関の倫理審査委員会の審査・承認を経なければならない。疑惑を招くような「世界初の試験」を、どうして許してしまったのか。大学側には、当時の審査や被験者(患者)への事前説明の方法を検証し、説明する責任がある。【河内敏康】