府立医大元教授、論文画像を改ざん、捏造 調査委が不正認定
京都府立医科大の元男性教授が関わった複数の論文に不正の疑いがある問題で、大学の調査委員会は10日までに、論文に掲載された多数の画像に流用や加工があり、一部で捏造(ねつぞう)や改ざんがあったとして不正を認めた。元教授は「捏造の事実はない」と不正を否定している。
大学は調査結果を11日に開く教授会と教育研究評議会に報告する。臨床研究を申請する資料となった論文も含まれており、医療倫理面で問題となる可能性もある。
調査結果に対し、元教授側から不服申し立てがあったが、調査委は再調査の必要性はないと判断した。元教授は2月末に依願退職しており、大学は今後、元教授の処分について検討する。
大学は、元教授が共著者として米国や国内の学会誌に発表した論文に対し、外部から「不正がある」と指摘を受け、2011年12月に外部委員を含む調査委員会を設置、元教授への聞き取りを含む検証を行った。
関係者によると、2001年~11年に発表された血管再生などに関する複数の論文を調査したところ、実験で観察した組織や物質の発現を表している画像で流用や加工が多数あり、一部は反転や切り貼りなど意図的に加工され別の画像に見せかけていたとした。
元教授は京都新聞の取材に対し、「捏造、改ざんなどした事実は絶対にない。論文には多数の執筆者が関わっているが、調査報告書は誰がデータを捏造、改ざんしたかについて全く触れておらず、私に研究活動上の不正行為があったと結論付けることはできない」とした上で、「(疑惑については)十分に監督責任を果たさなかった結果であると言わざるを得ず、この点は、十分反省している」と文書で回答した。
【 2013年04月11日 08時48分 】