トップページ科学・医療ニュース一覧土器で魚を料理 世界最古の痕跡か
ニュース詳細

土器で魚を料理 世界最古の痕跡か
4月11日 7時5分

土器で魚を料理 世界最古の痕跡か
K10038335911_1304110705_1304110711.mp4

日本国内で見つかったおよそ1万4000年前の縄文時代草創期の土器に付いていた「おこげ」に、魚などの水産物の成分が含まれていたことが分かり、その時代の人たちが何を煮炊きしていたかが分かる世界で最も古い痕跡として研究者の注目を集めています。

この研究成果は、日本やイギリスの専門家のチームが、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」の電子版で発表したものです。
研究チームは、日本国内にあるおよそ1万5000年前から1万2000年前の、縄文時代草創期の13か所の遺跡から出土した土器について、表面に付いていた炭化物「おこげ」の成分を分析しました。
その結果、およそ1万4000年前の北海道の「大正3遺跡」と、およそ1万2000年前の福井県の「鳥浜貝塚」で見つかった土器の「おこげ」に、魚などの水産物に含まれる脂質が見つかったということです。
このうち、大正3遺跡の土器は、遺跡が内陸にあることなどから、川をそ上したサケを調理した可能性があるということです。
土器を使って煮炊きをしていたことを示す資料は、中国の江西省で見つかった土器が、世界で最も古いおよそ2万年前のものとして去年6月に発表されていますが、今回の発表は、何を煮炊きしていたのか、成分まで分析したものとしては世界で最も古い痕跡だということです。
研究チームの新潟県立歴史博物館の西田泰民専門研究員は、「縄文土器は主にドングリなどの煮炊きに使われていたと考えられていたので、土器が登場したころから水産物も調理していたという結果は、縄文時代の食生活を考えるうえで貴重な資料になる」と話しています。
縄文時代の考古学に詳しい中央大学の小林謙一教授は、「土器が出現した時期から水産物を煮炊きしていたのではないかという説はこれまでも指摘されていたが、自然科学的な手法で初めて確認されたという意味で非常に大きな成果だ。今後、こうした分析を進めることで、人類が土器を発明し、どのように普及していったのか、歴史的な背景が明らかになっていくと思う」と話しています。

[関連ニュース]
k10013833591000.html

[関連ニュース]

  自動検索

このページの先頭へ