十一回も阿部の抜けそうなフライを背走キャッチ(撮影・白鳥恵)【拡大】
延長十二回死闘ドロー、4時間14分。どれだけ攻められても、ホームプレートに鉄のシャッターを設置した。西岡が福留が藤井彰が死にものぐるいで守った。
西岡が2度飛んだ。「先頭だったので捕れてよかったです」
0-0で迎えた延長十一回の守り。先頭打者の阿部が放った二塁後方への小フライを無我夢中で追った。背走しながらグラブを差し出し、捕球。勢いのまま芝生の上に転がった。抜けていれば、試合の流れが巨人に傾く場面だった。マウンド上の4番手・安藤が何度も手をたたいた。
美技はこれだけじゃなかった。六回二死走者なしの場面でも阿部の一、二塁間を破りそうな鋭いゴロに横っ飛び。立ち上がると華麗に一塁へ送球した。軽やかな身のこなしでファインプレーを連発。巨人の攻撃を寸断した。
カクテル光線を浴びながら、牛若丸のように躍動する西岡に福留も負けていなかった。七回一死。6番・ボウカーが右翼線に放った当たりに強肩発動。矢を射るような送球を放ち、ワンバウンドで打者走者の二進を阻止した。「たまたま走っていたので勝負した」。マートンが右翼を守っていた昨年までなら二塁打確実の危機を救った。
無傷の7連勝で甲子園に乗り込んできた巨人に前夜は完封勝ち。この日は引き分けで21イニング連続で「0」。甲子園ではまだ1点も相手に与えていないことになる。