もはや見過ごせないということか。WBA世界バンタム級タイトルマッチ(7日、大阪・ボディメーカーコロシアム)で王者の亀田興毅(26=亀田)は同級8位パノムルンレック・カイヤンハーダオジム(29=タイ)を判定2―1で下し、6度目の防衛に成功した。ただ、試合内容はというと世界戦初体験の無名ボクサー相手に派手な打ち合いもなく低調のひと言。興毅も試合後に悔し泣きしながら土下座で観衆にわびたほどだ。あまりの体たらくに、ボクシング界の大御所からついに批判の声が上がった。
前日(6日)の計量後に世界戦では初めての「KO予告」をした勢いはどこへやら。苦手のサウスポー相手に、序盤からなかなか手が出ない。11Rには挑戦者の連打に腰を落としかけ、クリンチで逃げた。何とか通算11度目という世界戦の経験値の違いで競り勝ったが、あと一つ決定打をもらっていたら、勝敗はひっくり返っただろう。
興毅も自身のふがいなさを分かっている。勝利者インタビューで「せっかく見に来ていただいたのに、申し訳ないです」と謝罪し、リング上から四方に土下座。控室に引き揚げる際にはタオルで悔し涙をぬぐった。
この後、シャワーを浴びながら心の整理をしていたのか、会見開始まで報道陣を待たせること30分。悔し泣きの理由を聞かれると「何なんやろな。目にホコリが入っただけと違うかな?」とトボけたものの、日本初の3階級制覇王者が大きく評価を下げたのは間違いない。ただ、これは試合前から予測されたことではあった。
何より問題視されたのが今回のマッチメーク。当初の発表から「ビジネス上のトラブル」と「パスポートの不備」を理由に、なんと2度も対戦相手が変更された。しかも、ようやく決まった相手が29歳で世界初挑戦の無名ボクサーとは…。興毅は6度防衛のうちランク1位との「指名試合」はV5戦だけ。“亀田流”ともやゆされるマッチメークだが、さすがに今回は“やり過ぎ”ということだろう。
元世界フライ&バンタム級王者「ファイティング原田」こと原田政彦氏(70)も、「こんな時代だからこそ、亀田は誰もが名前を知ってるような強い選手と戦わないとダメだよ」と異を唱える。
今月1日からWBOとIBFが認可され、世界タイトルが4団体になった。これにより王者が増えて盛り上がることと、乱立による価値低下の両方の可能性がある。
原田氏はかつて世界王座を管轄する団体が1つしかない時代に、「黄金のバンタム」と呼ばれたエデル・ジョフレを破って同じバンタム級のベルトを手にした。それだけに「誰がチャンピオンなのか分からなくなる」と、ベルトの価値低下を危惧。これまで表立って不満を口にするようなことはなかったが、ボクシング界の大御所もさすがに今回のマッチメークには堪忍袋の緒が切れたようだ。
興毅は何だかんだ言っても知名度では他のボクサーを圧倒する「日本ボクシングの顔」。試合運びのうまさにも定評がある。それなのに、どこの馬の骨かも分からない無名選手を呼び苦戦しているようでは、ボクシング全体の地盤沈下の元凶となりかねない。興毅は「早いとこ、自分を納得させる試合をしないと」と話したが、まずは世間が納得する相手と戦うしかない。
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