B組の名古屋グランパスは大分と1−1で引き分けた。C大阪は柿谷の得点などでFC東京に2−1で競り勝ち、勝ち点7で首位に浮上した。A組は磐田が前田のゴールで湘南を1−0で下し、同9でトップを守った。甲府は河本の2得点などで大宮を3−1で破り初勝利。川崎−清水は無得点で引き分けた。
◆名古屋1−1大分
大きな拍手と歓声に迎えられ、グランパスのキングが帰ってきた。後半22分、FW田中輝に替わり、腰の手術とリハビリのために長期離脱していたFWケネディがピッチに立つ。「長い間貢献できていなかったのに、ああいう応援を受けられてうれしかった」。昨年9月29日のリーグ新潟戦以来193日ぶりとなった公式戦復帰に、感慨がこみ上げた。
試運転のはずだった。前日には「4−0になったら出場するかもね」と冗談めかして話していたが、実際は1・5軍の大分相手に大苦戦中の投入。その期待に、点取り屋のボルテージも上がった。投入3分後の後半25分、小川の右クロスにヘディングシュート。足元のポストプレーも無難にこなし、果敢なドリブル突破も試みた。「ひとつふたつできないこともあったが、だいたいのことはできた。ただ実戦はもっとやっていかないと」。まだ100%ではないが、復帰と離脱を繰り返した昨年の状態に比べれば雲泥の差だ。
9日、W杯最終予選で苦しむオーストラリア代表のオジェック監督の特命を受け、代表チームトレーナーであるジェリス氏がグランパスのクラブハウスを訪問した。6月4日の日本戦(埼玉)での招集に向け、状態をチェックするためだ。しかし、ケネディは言った。「代表のことは考えられない。まずはグランパスでしっかりフィットしなければ」。一歩一歩、辛抱強く歩んできたからこそ、たどり着けたピッチ。今、2カ月先を見据えることはできない。
「我慢強く待ってくれていたグランパスの関係者とサポーターに感謝したい。それに、今日は試合をして帰るので奥さんも喜んで迎えてくれるんじゃないかな」。ウイットに富んだコメントが出てくれば、状態が上向いている証拠。10、11年の2年連続得点王の帰還は、何よりもチームを勢いづけるはずだ。 (宮崎厚志)
◆闘莉王、PK決めドロー
闘莉王が気迫の同点PKを決めた。後半16分、阿部のクロスに飛び込んだ瞬間、空中で大分のGK丹野と激しく接触。「競り勝ったと思ったら、頭に(ボクシングの)ストレートが入った」
このプレーでPKを得ると、闘莉王はキッカーに名乗りを上げていたヤキモフスキーを制してボールをセット。真ん中にけり込んだ。「(ヤキモフスキーは)順番をわかってないね」と笑った。
前半には大分のロングパスに対する処理を誤り、先制点を献上していた。「あれはオレと増川のコミュニケーション不足が招いた失点」と闘莉王は言う。名誉挽回のPKにもなった。 (木村尚公)
この記事を印刷する