男性上司は、なぜデリカシーがないのか

2009年9月8日

Q.男性の上司に分かってもらうのは無理なのでしょうか
ちの男性上司は私の気持ちをなかなか理解してくれません。先日も「キミはよく頑張ってくれているし、このままいけば課長になるのも夢じゃないよ」なんて、ご機嫌でした。本人にはその意識はないのかもしれませんが、働き続けろと言われているようで、デリカシーに欠けるなあとさえ思ってしまいます。正直、私は出世なんてしたくありません。先輩女性で管理職になっているアラフォーの方たちを見ると、女性として憧れを感じないんです。確かに仕事は出来るし、そういう意味では尊敬できる方もいます。でも独身のままだったり、結婚して子育てしている人は本当に大変そう。正直なところ、経済力のある素敵な男性と出逢えれば、無理に今の仕事を続けなくてもいいかなと思うことすらあります。こんな気持ちを男性上司にわかってもらおうとするのって、そもそも無理なんですよね……。
A.男性上司のホンネを知って、あなたの気持ちもぶつけてみよう

 あなたの悩みは正しいと思いますよ。僕がこの連載を引き受けたのは、企業の人材育成や組織活性化のコンサルティングをする中で、多くの働く女性の悩みや戸惑いを聞いてきたから。あなたの先輩にあたるアラフォー女性たちはいろんな悔しさを乗り越えて、キャリアを積み、女性の活躍の場を広げてきましたね。そして男性の仕事と思われてきたフィールドに大きく進出してきたわけです。

 本来これは喜ばしいことなんだけど、一方で、女性にとっては新しい悩みや戸惑いも生まれてきてしまいました。それは、恋愛や結婚・出産など女性の幸せを犠牲にしなければならない場面が増えてきたこと。でも、それを上司や会社に言うのは個人的なわがままなようで憚(はばか)られる。あなたのような真面目な人ほど、自分をごまかしながら、目の前の仕事に一生懸命取り組む。しかし、年齢を重ねるごとに悩みは消えず、むしろ重たくなっていく。

 それに比べて男性はどうでしょう。男性上司は男性社会にどっぷり浸かって働いてきました。おじさんになるほど、出世がサラリーマンとしての成功を意味する。出世して、人事権や決裁権などより大きなパワーを手にすることが、充実感や喜びにつながっていくという人がほとんどです。そうなると、男性社会に進出してきた女性も当然、出世することに喜びを感じると思ってしまう。男性は、女性のように恋愛や結婚で働き方が大きく変わったり、出産で物理的にキャリアが断線することのリアリティはないんです。残念だけど、ある意味ではあなたが男性上司はデリカシーがないと感じるのは、仕方ないことでもあります。

 とはいえ、男性側は男性側で自分たちのフィールドに進出してきた女性をどう扱っていいのかがわからず困っているんですよ。特に年配の男性上司はそう。「女性社員をどうマネジメントすればよいのでしょうか」。数年前から、こういった相談が経営者セミナーや管理職研修でよく出てくるようになってきましたし。男性上司は、男性が作ってきた会社という仕組みの暗黙のルールを伝えようと思うものの、どこまで女性に伝えるべきか、どう教えるべきか見当もつかないという人すらいるのです。

 そもそも、会社の暗黙のルールは、男同士の飲み会や先輩の背中を見ながら代々学んできたものでもあるから。女性部下相手だと、簡単に飲みに誘えないし、男同士の飲み方や遊び方を押しつけることもできないですよね。そこに、最近はちょっとしたことでセクハラやパワハラ扱いになるんじゃないかという風潮もあるから、男性側も余計に困っています。「面倒だから女性部下にはあまり関わらないでおきたい」という切ない声もあるほど。でも、これは男性の本音でしょう。

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Profile
前川 孝雄
前川 孝雄
(株)FeelWorks 代表取締役/人材活性化コンサルタント
リクルートで「リクナビ」「ケイコとマナブ」などの編集長を歴任後、起業。コミュニケーションを鍵に人材育成支援を行う。働く女性を応援するセミナーも開講。部下を育てる「上司力」を提唱し、親しみやすい人柄にファンも多い。主著に『勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい』『女性社員のトリセツ』『上司力100本ノック』など。
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