サムスンディスプレー家宅捜索、有機EL技術盗んだ疑い

 ソウル地方警察庁の国際犯罪捜査隊は9日、サムスンディスプレーの本社(忠清南道牙山市)と地方事業所など3カ所を家宅捜索した。

 同社はテレビやモニターなどのディスプレー素子を製造するサムスングループの系列会社。4-5年前からLGディスプレーの協力会社などを介して同社の有機EL(OLED)テレビ用のパネル製造技術を盗んだ疑いが持たれている。

 有機ELディスプレーは画質が優れ、液晶ディスプレーに代わる「夢のディスプレー」と呼ばれる。液晶ディスプレーに比べ色再現性が高く、応答速度も1000倍速い。警察は、サムスンディスプレーが長年にわたりLGディスプレーの有機EL関連技術を流出させ、不正競争防止法に違反したとみて、押収した資料を基に技術流出の経緯などを調べている。

 サムスンとLGはこれまで、次世代テレビ市場の主導権を左右する有機EL技術をめぐり神経戦を続けてきた。今年1月、LG電子は世界初の55型有機ELテレビを発売し、一方のサムスン電子は先月19日、業界で初めて米国の製品安全試験・認証機関「UL」から有機ELテレビの画質認証を受けた。

 一部では、今回の家宅捜索を機に有機ELテレビと液晶関連の特許をめぐるサムスンディスプレーとLGディスプレーの法廷闘争が新たな局面を迎える、との見方も出ている。昨年7月、水原地検はサムスンディスプレーの有機ELテレビ技術を流出させた罪で、LGディスプレーの社員とサムスンディスプレーの前職・現職研究員らを起訴した。これを受け、サムスンディスプレーは2カ月後の9月、同技術をLGディスプレーが使用できないよう、技術・資料の使用禁止仮処分をソウル中央地裁に申請した。一方のLGディスプレーは、有機ELディスプレー設計技術など自社の特許7件を侵害したとして、サムスン電子とサムスンディスプレーを提訴した。

 サムスンディスプレー側は「警察が他社の技術流出事件を捜査する中で、自社を家宅捜索したものと把握している。自社の有機EL関連技術は世界最高レベルで、他社の技術を盗む理由がない」と話している。

金城敏(キム・ソンミン)記者
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