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【経済Q&A】

米国債71兆円保有 日本は大丈夫?

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 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が「世界一安全な金融資産」とされてきた米国債を史上初めて格下げしたことで、世界の金融市場が動揺している。米国債を約七十一兆円も保有する日本は、このまま持ち続けても大丈夫なのか。 (西尾玄司)

 Q 日本や主要国の米国債保有状況は。

 A 米財務省によると、日本の五月末時点の保有額は九千百二十四億ドル(約七十一兆円)で二位だ。海外で保有される米国債の総額(四兆五千百四十億ドル)の約二割に当たる。

 一位は中国の一兆一千五百九十八億ドル。原油取引で豊富なドルを持つ産油国や、ヘッジファンドなどが本社を置くことが多いタックスヘイブン(租税回避地)のカリブ諸国も米国債の運用が多い。

 Q なぜ日本は大量に保有しているのか。

 A 円高を是正するため、政府はこれまで円売りドル買いの為替介入を繰り返し、その際に手に入れたドルを米国債で運用してきたからだ。米国債で運用するのは、世界一の経済大国が発行する債券で安全性が高く、いつでも売却できる流動性もあるためだ。

 Q 仮に米国債が大量に売却されたらどうなるか。

 A 米国債が暴落して長期金利が上昇し、金融市場が混乱する。為替相場でも信用を失ったドルが売られ円高が一層進みかねない。

 Q そういう可能性があるのに、日本政府は米国債を持ち続けても大丈夫なのか。

 A 日米当局とも、現時点で米国債が大量売却される事態は想定しておらず、市場の動揺を抑えるのに躍起だ。野田佳彦財務相は八日、記者団に「米国債の信認は揺らいでいないし、魅力的な商品だ」と述べ、保有し続ける姿勢を強調。米連邦準備制度理事会(FRB)も、監督する金融機関に対し、今回の格下げで米国債や政府機関債のリスク評価を変える必要はないとする通達を出した。

 さらに、米国の主要同盟国である日本が、米国債の信認を落とすことはできないとの見方が大勢だ。つまり対米関係を考えれば「売るに売れない」ということ。日本にすれば、米国の財政再建が行き詰まり、一段の米国債格下げに至る事態は何としても避けてほしいというのが本音だ。

 

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