アメリカは「安倍外交」を歓迎するのか?

スタンフォード大学・ダニエル・スナイダー氏に聞く(上)

米国の国益にかなわない日本とは

こうした考えの根底には、「戦後秩序は容認できない」とする世界観がある。

このような見方が日本政府の政策として表明されると、当然の成り行きとして、日中間および日韓の間で緊張が高まることになる。それはわかりきったこ とだ。安倍氏はこの危険性を理解しており、政権に返り咲くとかなり早い段階で、極めてはっきりと、「これらの緊張を回避しようとしている」というシグナルを送った。

しかし、もし万一これらの見解が表明されることがあれば、たとえそれが個々の閣僚によるものであったとしても、緊張を高めるおそれがある。

そしてこれは、日米同盟にも問題を引き起こしかねない。もちろん私は、安倍政権は、日米の同盟関係をアップグレードとは言わないまでも改善しようとしている、とは思っている。日本には、台頭する中国に対処するためには、米国とできるだけ緊密な関係を築くことが重要だ、という考え方が根付いているし、 小泉元首相はしっかりとこの路線をとってきた。

これは、ある程度道理にかなった考え方であり、米国は日本にとって当然のパートナーと言える。だが、日本がアジアで極端に孤立するようになれば、そんな日本を米国は歓迎しない。もし日本が、ベトナムやフィリピンなどいくつかの国々と良好な関係を維持できたとしても、日韓関係が緊張すれば、米国にとっては厄介なことになる。日本と韓国は、ともに米国の同盟国だからだ。

中国と不必要に緊張を高める日本、もしくは、中国の国際舞台における台頭に対処するうえで役に立たない日本は、米国の国益にかなわない。

もし日本のリーダーたちが、歴史見直しによりアジア諸国との緊張を高めてしまった場合にも、日本は米国を頼りにできると考えているとしたら、それは誤りだ。

※ 続きは2月14日(木)に掲載します

Topic Board トピックボード
バックナンバー
アメリカから見た世界のバックナンバー
関連記事
このページのトップへ
Trend Library トレンドライブラリー
Access Ranking
  • 今日
  • 週間
  • いいね!
Must Check! 話題の情報
良い値上げ 悪い値上げ

良い値上げ 悪い値上げ

2%の物価上昇という政府目標が達成されるには、企業の値上げが欠かせない。消費者がナットクする、良い値上げを成功させる方法を探る。

第2特集:
NPOでメシを食う!

MORE