東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

東電 予兆問題視せず 別貯水池も汚染水漏出

写真

 東京電力福島第一原発の地下貯水池から、高濃度汚染水を処理した水が漏れた事故で、東電は先月二十日ごろには、貯水池の水位がじりじり下がり、池の遮水シートの近くで微量の放射性物質も計測しながら、水漏れの予兆を見逃していたことが分かった。 

 早期に水漏れを疑って対応していれば、漏出量は最小限にとどめられた可能性が高い。東電の危機管理のあり方が問われる。

 東電の資料によると、問題の貯水池の水位は三月十日前後から不安定になり、二十日ごろには明らかな下降線をたどった。今月五日の公表時には、最高値だった時より0・5%下がっていた。

 東電は遮水シートの内外で放射性物質の濃度も測っている。これまで計測されなかったのに、二十日には、微量ながら放射性物質を計測していた。

 二つの小さな異変を「水漏れの予兆」と疑うべきだが、東電は逆に、水漏れを否定する方向で調査を進めていた。その根拠としたのが塩素濃度だ。

 シートの外側では、処理水に含まれる塩分を検知する塩素濃度も常時、計測している。水が外に漏れていれば上昇するはずの外側の値が、二十日の時点では大きな変化はなかったことから、このときは「水漏れはない」という判断に傾いたという。

 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は七日の会見で「あらためて整理すると(水位の低下を)確認できるが、日々の作業で認識するのは難しい。危機意識が足りなかった」と述べた。

 一方、東電は水漏れがあった貯水池の東側に隣接する別の貯水池でも、処理水が漏れていると明らかにした。

 この貯水池にも処理水約一万一千トンが貯蔵されている。シート外側で採取した水から一立方センチメートル当たり二〇〇〇ベクレル前後の放射性物質と塩素が計測された。東電は、漏えい量は〇・三〜三リットルとみている。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo