劇場型犯罪おける笑い男事件のもとへ
2010-03-18 15:19:35
主に資料で作ったレポートだったけど、転載をお断りします。
劇場型犯罪おける笑い男事件のもとへ
by yakumo
▪ 劇場型犯罪とは?
劇場型犯罪(げきじょうがたはんざい)とは、あたかも演劇の一部であるかのような犯罪のこと。世間、企業などを舞台とし、実行犯が主役、警察が脇役、マスメディアの人間や一般人が観客、という構造になっているものが多い。犯罪が行われているにも関わらず、人々がそれを見世物として楽しむという行動が見受けられるのが特徴である。
▪ 劇場型犯罪の代表例
劇場型犯罪の元祖は、ロンドンの切り裂きジャック事件であるといわれる。
日本での代表例としてグリコ・森永事件*がある。「劇場型犯罪」の語はこの事件を評して、評論家の赤塚行雄が命名したとされる。犯人らはマスメディアに犯行声明などを送り付けて、捜査を撹乱した。マスメディアは事件を煽情的に報道したが、一部からは「メディアが騒げばさわぐだけ、犯人の思惑に加担している」との非難の声もあった。
メディアが報道するなか犯罪行為が繰り返された事例としては、毒物入り飲料による無差別殺人である青酸コーラ無差別殺人事件、パラコート連続毒殺事件などがある。またマスメディアが大々的に取り上げるなかで犯罪捜査が進行してゆくものを劇場型犯罪と呼ぶ場合もあり、三浦和義事件や神戸連続児童殺傷事件などが著名である。よく最近の秋葉原無差別殺人事件も劇場型犯罪とはいえるだろう。
▪ フィクションにおける劇場型犯罪
劇場型犯罪は、人々を惹きつけやすいという点から、しばしばサスペンスやミステリーなどのフィクション作品の題材となる。例として、アニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」における笑い男事件*、雫井脩介の小説「犯人に告ぐ」、宮部みゆきの小説「模倣犯」などが挙げられる。あと、08年本屋大賞の伊坂幸太郎の小説、「ゴールデンスランバー」もアメリカのあの有名なJFK暗殺事件を基づいて作られた劇場型犯罪作品である。
▪ 笑い男事件
笑い男事件とは、押井塾出身の神山健治監督が作ったSFアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」中のある独特な社会事件である。フィクションですがいわゆる現実よりリアリティーの部分もあった。
1.事件の推移
2024年2月1日に発生した、セラノゲノミクス社社長アーネスト瀬良野氏誘拐と、その後のウイルスプログラムをばら撒くという手口を使った、マイクロマシンメーカー6社に対する脅迫、もしくはこのサイバーテロによる事件を指す。正式名称は「広域重要081号事件」。
特筆すべきなのは第一の犯行時である、身代金100億円、金塊100kgを要求した日の数日後。
2024年2月3日、警察庁会談直前の天気予報のTV生中継現場に、灰色の帽子と青いフード付ジャンパーを着た青年が現れ、瀬良野を拳銃で脅迫した。その時点で犯人の顔は、その場にいた全ての人に見えていたはずなのだが、リアルタイムで現場にいた全ての人々や駆けつけた警察官の電脳、AIつきのUSBタイプのロボットカメラなどの画像機械の記録にいたる、インターネットなどの全てのネットワークにつながるものに記録された自分の顔を、過去にさかのぼってまで、のちに「笑い男(ホップ=ラッフィングマン)」とよばれるマークで上書きをしてしまった。また、被害にあったメーカーへ政府が公的資金を導入したことをきっかけに、笑い男は事件の収束宣言を出した。その後笑い男事件は迷宮入りとなり、真相は一般には不明のままになった。
また、これ以後犯人である「笑い男」の模倣者が数多くの事件を起こしている。
2.STAND ALONE COMPLEX現象
STAND ALONE COMPLEXとは作中における電脳技術という新たな情報ネットワークにより、独立した個人が、結果的に集団的な振る舞いを見せる社会現象。孤立した個人(STAND ALONE)でありながらも全体として集団的な行動(COMPLEX)をとることからこう呼ばれる。これは個人の無意識が電脳を介してネットを通じ不特定多数と接触することにより、ゆるやかな全体の総意が形成され、またその全体の総意が個人を規定するために発生するという、高度ネットワーク社会が舞台であるが故に起こり得る現象である。
時にはある事件において実質的な真犯人が存在しない状態が、全体の総意において架空の犯人像を生み出し、一部の人々がその架空の犯人像の模倣者(模倣犯)がその総意を強化・達成するような行動を見せるという独特の社会現象が起こる。
▪ グリコ・森永事件
この事件は、笑い男事件のモデルとしている。グリコ・森永事件は、1984年関西地域を舞台として食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件である。警察庁広域重要指定第114号事件。犯人グループが江戸川乱歩の「怪人二十面相」をもじった「かい人21面相」と名乗ったことから、かい人21面相事件などとも呼ぶ。
1.誘拐事件
1984年3月18日午後9時30分頃、江崎グリコの江崎勝久社長が兵庫県西宮市の自宅で入浴中、侵入してきた犯行グループの男3人に全裸のまま誘拐され、身代金10億円と金塊100キログラムを要求する脅迫文が高槻市内の電話ボックスで見つかったが、犯人は姿を現さなかった。
江崎社長は、3日後の3月21日午後2時30分ごろ警察に保護された。大阪府摂津市の東海道新幹線車両基地近くを流れる、安威川沿いにある治水組合の作業小屋から、自力で抜け出したとされ、大阪貨物ターミナル駅構内で保護された。
2.脅迫状・挑戦状
事件は収まったかのように思われたが、4月7日になって犯人グループは、「かい人21面相」名で「けいさつの あほども え」との書き出しで始まる、和文タイプライターで記された挑戦状を新聞社に送りつけてきた。マスメディアや捜査本部では企業へ脅迫目的で送られた手紙を脅迫状、新聞社やテレビ局、週刊誌などに送って社会へ公表することを前提に書かれた手紙を挑戦状として区別している。
このマスコミに当てた挑戦状をそのまま紙面に載せることについては、朝日新聞社内でも犯人の意図に沿うことになるのではないかと異論も出たが、結果的に載せることになり、マスメディアを通じて犯人から国民へ向けた情報発信がなされることになった。これをもって、社会評論家の赤塚行雄はグリコ・森永事件を劇場型犯罪と名付けて、同時期にマスメディアを騒がせていたロス疑惑と共にこの表現は使われた。
5月10日に送られてきた脅迫状の文面には「青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)入りのグリコ製品を置いた」とあったが、その時には青酸ソーダ入りのグリコ製品は発見されていない。その後、10月7日に江崎社長の自宅がある兵庫県西宮市内のコンビニから「どくいり きけん たべたら しぬで かい人21面相」と関西弁で書かれた紙が張られた森永製菓製品の菓子が発見され、実際にシアン化ナトリウムが検出された。防犯カメラに犯人とおぼしき男(野球帽の男)が映っていた為、警察はその男の写真を公開、幅広く情報収集に乗り出したが、有力な手がかりは無かった。
その後、かい人21面相と書かれた脅迫状が丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋に次々と送りつけられ現金を要求。江崎グリコに対する休戦宣言の裏で、丸大食品を脅迫したが実際失敗している。
9月18日には森永製菓に脅迫状が送りつけられ、2ヵ月後の11月14日にはハウス食品に脅迫状が届いた。ハウス食品は犯人の指示どおり車に1億円を積み名神高速道路の指定された大津サービスエリア内で待機したが、その前後に以前から犯人グループの一人と目されていた「キツネ目の男」が一般道から進入できる同サービスエリアで複数回目撃されている。
3.不審車
また、同時間帯に警邏中の滋賀県警の警察官が、名神高速道路の栗東インターチェンジ付近で不審者の乗った自動車を発見した。地元の人しか知らないと言われている高速道路と一般道が交差する場所であり、エンジンをかけてヘッドライトは消している状態であった。警察官が職務質問をしようと近づくとその車は急発進し、市街地へと巧みなテクニックで逃走した。
その後の捜査で、車が停まっていた頭上の高速道路には白い布がフェンスに巻き付けられており、不審車の存在を考えると現金の投下場所であった可能性が高いと報道された。また、この際使用された逃走車から特殊な工場廃棄物が発見されている。
この逃亡事件に関わった滋賀県警は一連のグリコ森永事件の広域捜査には参加しておらず、捜査網を敷いていることなどの捜査に関する情報自体が現場の警察官にもたらされていなかったことから、せっかくの逮捕のチャンスを逃す結果となった。マスコミにより、広域犯罪に対して、警察の縦割り組織の弊害と各都道府県警とのつながりの悪さなど、警察組織の甘さが批判された。その後、マスコミによる滋賀県警批判や、結果的に重要事案の被疑者を取り逃がした可能性が高い点を警察内からも問題視されたことから、当時の滋賀県警本部長が焼身自殺する。
4.事件の終息
翌年の1985年の新年早々、前年の12月に犯人グループが「不二家」を脅迫していた事実を新聞が公表し、不二家脅迫が発覚。2月には「駿河屋」にも届くなど、食品業界の狼狽は続いた。
1985年8月12日、犯人側から「くいもんの 会社 いびるの もお やめや…悪党人生 おもろいで」との終息宣言が送りつけられた。理由は自殺した滋賀県警本部長への香典代わりというものであった。
この終息宣言の後完全に犯人の動きがなくなり、2000年に公訴時効が成立した。犯人(かい人21面相こと、キツネ目の男たち)の正体及び動機は不明のままである。
5.その後
結果として毒入り食品による死者は発生せず、また誘拐放火等により命を落とした人もいなかった。そのため、凶悪な事件であるにもかかわらず、市民の中には「かいじん21面相は憎めない奴」と共感する人も少なからずいた。犯人がキャリア警官を嘲笑したり、アフリカ飢餓への募金を呼びかけるなどしたことも、「義賊」の印象を与えた。
この後、この事件を真似た事件が頻発した(1984年だけでも31件発生)が、現在までに全て解決している。
▪ 後書き
「笑い男事件」をきっかけとして、劇場型犯罪を調べ始めた。「グリコ・森永事件」の資料を初めて見た時、現実にはこんな事があったということに驚いた。小説より現実の方はフィクションみたいなものだ。劇場型犯罪はいずれも世間、企業などを舞台とし、実行犯が主役、警察が脇役、マスメディアの人間や一般人が観客、という構造になっている。犯罪が行われているにも関わらず、人々はそれを見世物として楽しむという行動が見受けられる。これはなかなか不思議だと思う。JFK暗殺事件とか911事件とか、最近の秋葉原無差別殺人事件に至っても、どちらでも劇場型犯罪ともいえるだろう。
社会の発展に伴って、グリコ・森永事件のような大きな事件はだんだんなくなっていて、マスメディアを舞台にした劇場型犯罪が難しくなってきている。でも、人々は劇場は欲しいわけだ。共通のなにかでわっと盛り上がる、誰かさんがいう「カーニヴァル化」というか「祭り」が欲しいわけだ。
これからも、劇場型犯罪について調べ続けようと考えている。
2008.7.1
▪ 参考文献
wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 公式サイト http://www.kokaku-s.com/
攻殻機動隊S.A.C Production I.G内ページhttp://www.production-ig.co.jp/contents/works_sp/1590_/
一橋文哉『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』新潮社・新潮文庫、2000年
など
劇場型犯罪おける笑い男事件のもとへ
by yakumo
▪ 劇場型犯罪とは?
劇場型犯罪(げきじょうがたはんざい)とは、あたかも演劇の一部であるかのような犯罪のこと。世間、企業などを舞台とし、実行犯が主役、警察が脇役、マスメディアの人間や一般人が観客、という構造になっているものが多い。犯罪が行われているにも関わらず、人々がそれを見世物として楽しむという行動が見受けられるのが特徴である。
▪ 劇場型犯罪の代表例
劇場型犯罪の元祖は、ロンドンの切り裂きジャック事件であるといわれる。
日本での代表例としてグリコ・森永事件*がある。「劇場型犯罪」の語はこの事件を評して、評論家の赤塚行雄が命名したとされる。犯人らはマスメディアに犯行声明などを送り付けて、捜査を撹乱した。マスメディアは事件を煽情的に報道したが、一部からは「メディアが騒げばさわぐだけ、犯人の思惑に加担している」との非難の声もあった。
メディアが報道するなか犯罪行為が繰り返された事例としては、毒物入り飲料による無差別殺人である青酸コーラ無差別殺人事件、パラコート連続毒殺事件などがある。またマスメディアが大々的に取り上げるなかで犯罪捜査が進行してゆくものを劇場型犯罪と呼ぶ場合もあり、三浦和義事件や神戸連続児童殺傷事件などが著名である。よく最近の秋葉原無差別殺人事件も劇場型犯罪とはいえるだろう。
▪ フィクションにおける劇場型犯罪
劇場型犯罪は、人々を惹きつけやすいという点から、しばしばサスペンスやミステリーなどのフィクション作品の題材となる。例として、アニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」における笑い男事件*、雫井脩介の小説「犯人に告ぐ」、宮部みゆきの小説「模倣犯」などが挙げられる。あと、08年本屋大賞の伊坂幸太郎の小説、「ゴールデンスランバー」もアメリカのあの有名なJFK暗殺事件を基づいて作られた劇場型犯罪作品である。
▪ 笑い男事件
笑い男事件とは、押井塾出身の神山健治監督が作ったSFアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」中のある独特な社会事件である。フィクションですがいわゆる現実よりリアリティーの部分もあった。
1.事件の推移
2024年2月1日に発生した、セラノゲノミクス社社長アーネスト瀬良野氏誘拐と、その後のウイルスプログラムをばら撒くという手口を使った、マイクロマシンメーカー6社に対する脅迫、もしくはこのサイバーテロによる事件を指す。正式名称は「広域重要081号事件」。
特筆すべきなのは第一の犯行時である、身代金100億円、金塊100kgを要求した日の数日後。
2024年2月3日、警察庁会談直前の天気予報のTV生中継現場に、灰色の帽子と青いフード付ジャンパーを着た青年が現れ、瀬良野を拳銃で脅迫した。その時点で犯人の顔は、その場にいた全ての人に見えていたはずなのだが、リアルタイムで現場にいた全ての人々や駆けつけた警察官の電脳、AIつきのUSBタイプのロボットカメラなどの画像機械の記録にいたる、インターネットなどの全てのネットワークにつながるものに記録された自分の顔を、過去にさかのぼってまで、のちに「笑い男(ホップ=ラッフィングマン)」とよばれるマークで上書きをしてしまった。また、被害にあったメーカーへ政府が公的資金を導入したことをきっかけに、笑い男は事件の収束宣言を出した。その後笑い男事件は迷宮入りとなり、真相は一般には不明のままになった。
また、これ以後犯人である「笑い男」の模倣者が数多くの事件を起こしている。
2.STAND ALONE COMPLEX現象
STAND ALONE COMPLEXとは作中における電脳技術という新たな情報ネットワークにより、独立した個人が、結果的に集団的な振る舞いを見せる社会現象。孤立した個人(STAND ALONE)でありながらも全体として集団的な行動(COMPLEX)をとることからこう呼ばれる。これは個人の無意識が電脳を介してネットを通じ不特定多数と接触することにより、ゆるやかな全体の総意が形成され、またその全体の総意が個人を規定するために発生するという、高度ネットワーク社会が舞台であるが故に起こり得る現象である。
時にはある事件において実質的な真犯人が存在しない状態が、全体の総意において架空の犯人像を生み出し、一部の人々がその架空の犯人像の模倣者(模倣犯)がその総意を強化・達成するような行動を見せるという独特の社会現象が起こる。
▪ グリコ・森永事件
この事件は、笑い男事件のモデルとしている。グリコ・森永事件は、1984年関西地域を舞台として食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件である。警察庁広域重要指定第114号事件。犯人グループが江戸川乱歩の「怪人二十面相」をもじった「かい人21面相」と名乗ったことから、かい人21面相事件などとも呼ぶ。
1.誘拐事件
1984年3月18日午後9時30分頃、江崎グリコの江崎勝久社長が兵庫県西宮市の自宅で入浴中、侵入してきた犯行グループの男3人に全裸のまま誘拐され、身代金10億円と金塊100キログラムを要求する脅迫文が高槻市内の電話ボックスで見つかったが、犯人は姿を現さなかった。
江崎社長は、3日後の3月21日午後2時30分ごろ警察に保護された。大阪府摂津市の東海道新幹線車両基地近くを流れる、安威川沿いにある治水組合の作業小屋から、自力で抜け出したとされ、大阪貨物ターミナル駅構内で保護された。
2.脅迫状・挑戦状
事件は収まったかのように思われたが、4月7日になって犯人グループは、「かい人21面相」名で「けいさつの あほども え」との書き出しで始まる、和文タイプライターで記された挑戦状を新聞社に送りつけてきた。マスメディアや捜査本部では企業へ脅迫目的で送られた手紙を脅迫状、新聞社やテレビ局、週刊誌などに送って社会へ公表することを前提に書かれた手紙を挑戦状として区別している。
このマスコミに当てた挑戦状をそのまま紙面に載せることについては、朝日新聞社内でも犯人の意図に沿うことになるのではないかと異論も出たが、結果的に載せることになり、マスメディアを通じて犯人から国民へ向けた情報発信がなされることになった。これをもって、社会評論家の赤塚行雄はグリコ・森永事件を劇場型犯罪と名付けて、同時期にマスメディアを騒がせていたロス疑惑と共にこの表現は使われた。
5月10日に送られてきた脅迫状の文面には「青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)入りのグリコ製品を置いた」とあったが、その時には青酸ソーダ入りのグリコ製品は発見されていない。その後、10月7日に江崎社長の自宅がある兵庫県西宮市内のコンビニから「どくいり きけん たべたら しぬで かい人21面相」と関西弁で書かれた紙が張られた森永製菓製品の菓子が発見され、実際にシアン化ナトリウムが検出された。防犯カメラに犯人とおぼしき男(野球帽の男)が映っていた為、警察はその男の写真を公開、幅広く情報収集に乗り出したが、有力な手がかりは無かった。
その後、かい人21面相と書かれた脅迫状が丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋に次々と送りつけられ現金を要求。江崎グリコに対する休戦宣言の裏で、丸大食品を脅迫したが実際失敗している。
9月18日には森永製菓に脅迫状が送りつけられ、2ヵ月後の11月14日にはハウス食品に脅迫状が届いた。ハウス食品は犯人の指示どおり車に1億円を積み名神高速道路の指定された大津サービスエリア内で待機したが、その前後に以前から犯人グループの一人と目されていた「キツネ目の男」が一般道から進入できる同サービスエリアで複数回目撃されている。
3.不審車
また、同時間帯に警邏中の滋賀県警の警察官が、名神高速道路の栗東インターチェンジ付近で不審者の乗った自動車を発見した。地元の人しか知らないと言われている高速道路と一般道が交差する場所であり、エンジンをかけてヘッドライトは消している状態であった。警察官が職務質問をしようと近づくとその車は急発進し、市街地へと巧みなテクニックで逃走した。
その後の捜査で、車が停まっていた頭上の高速道路には白い布がフェンスに巻き付けられており、不審車の存在を考えると現金の投下場所であった可能性が高いと報道された。また、この際使用された逃走車から特殊な工場廃棄物が発見されている。
この逃亡事件に関わった滋賀県警は一連のグリコ森永事件の広域捜査には参加しておらず、捜査網を敷いていることなどの捜査に関する情報自体が現場の警察官にもたらされていなかったことから、せっかくの逮捕のチャンスを逃す結果となった。マスコミにより、広域犯罪に対して、警察の縦割り組織の弊害と各都道府県警とのつながりの悪さなど、警察組織の甘さが批判された。その後、マスコミによる滋賀県警批判や、結果的に重要事案の被疑者を取り逃がした可能性が高い点を警察内からも問題視されたことから、当時の滋賀県警本部長が焼身自殺する。
4.事件の終息
翌年の1985年の新年早々、前年の12月に犯人グループが「不二家」を脅迫していた事実を新聞が公表し、不二家脅迫が発覚。2月には「駿河屋」にも届くなど、食品業界の狼狽は続いた。
1985年8月12日、犯人側から「くいもんの 会社 いびるの もお やめや…悪党人生 おもろいで」との終息宣言が送りつけられた。理由は自殺した滋賀県警本部長への香典代わりというものであった。
この終息宣言の後完全に犯人の動きがなくなり、2000年に公訴時効が成立した。犯人(かい人21面相こと、キツネ目の男たち)の正体及び動機は不明のままである。
5.その後
結果として毒入り食品による死者は発生せず、また誘拐放火等により命を落とした人もいなかった。そのため、凶悪な事件であるにもかかわらず、市民の中には「かいじん21面相は憎めない奴」と共感する人も少なからずいた。犯人がキャリア警官を嘲笑したり、アフリカ飢餓への募金を呼びかけるなどしたことも、「義賊」の印象を与えた。
この後、この事件を真似た事件が頻発した(1984年だけでも31件発生)が、現在までに全て解決している。
▪ 後書き
「笑い男事件」をきっかけとして、劇場型犯罪を調べ始めた。「グリコ・森永事件」の資料を初めて見た時、現実にはこんな事があったということに驚いた。小説より現実の方はフィクションみたいなものだ。劇場型犯罪はいずれも世間、企業などを舞台とし、実行犯が主役、警察が脇役、マスメディアの人間や一般人が観客、という構造になっている。犯罪が行われているにも関わらず、人々はそれを見世物として楽しむという行動が見受けられる。これはなかなか不思議だと思う。JFK暗殺事件とか911事件とか、最近の秋葉原無差別殺人事件に至っても、どちらでも劇場型犯罪ともいえるだろう。
社会の発展に伴って、グリコ・森永事件のような大きな事件はだんだんなくなっていて、マスメディアを舞台にした劇場型犯罪が難しくなってきている。でも、人々は劇場は欲しいわけだ。共通のなにかでわっと盛り上がる、誰かさんがいう「カーニヴァル化」というか「祭り」が欲しいわけだ。
これからも、劇場型犯罪について調べ続けようと考えている。
2008.7.1
▪ 参考文献
wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 公式サイト http://www.kokaku-s.com/
攻殻機動隊S.A.C Production I.G内ページhttp://www.production-ig.co.jp/contents/works_sp/1590_/
一橋文哉『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』新潮社・新潮文庫、2000年
など
猜字游戏么…………虽然看标题大概能猜出说的是啥
讲剧场型犯罪的一些东西
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