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新基準案で原発再開の行方は
4月10日 17時50分

新基準案で原発再開の行方は
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東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、深刻な事故への対策を初めて電力会社に義務付ける新たな規制基準の案が、原子力規制委員会で了承されました。
この基準は、原発の運転再開の前提になっていて、規制委員会が、ことし7月以降の新基準に基づく原発の審査で、どのような判断をするのか注目されます。

新たな規制基準は、電力会社の自主的な取り組みに任されてきた福島第一原発事故のような深刻な事故への対策や、地震や津波の想定をこれまでより厳格に行うことを電力会社に義務づけるもので、そのほとんどが停止中の原発の運転再開の前提になります。
10日の会合では、規制委員会が専門家と共におよそ半年間かけてまとめた基準の案が示され、了承されました。

新たな対策

基準案では、運転再開の前提になるものとして、古い原発では電源ケーブルを原則、燃えない材質に交換することや、緊急時に原子炉を冷却する配管などを多重化するよう求めています。
また、原発事故での前線基地「免震重要棟」のような設備を整備し、必要な装備や支援なく1週間活動できる食料などを備蓄することを要求するほか、福島第一原発と同じ沸騰水型と呼ばれる原発では、放射性物質の放出を抑えながら格納容器の圧力を下げる「フィルターベント」の設置を求めるとしています。
一方で、航空機によるテロや大規模な地震や津波によって、大量の放射性物質が放出するのを防ぐ対策として新たに設置を義務づける「特定安全施設」と呼ばれる設備については、5年間の猶予期間を設けるとしています。
具体的には、中央制御室が使えない場合に原子炉を停止できる「緊急時制御室」や溶け落ちた核燃料などに原子炉建屋の外から注水できる設備で、建屋から100メートル離れた場所などに作るよう要求しています。

地震や津波などへの対応

続いて、地震や津波など自然災害への対応です。
地震への対策では、活断層について、これまでどおり「12万年前から13万年前以降に活動したかどうか」で評価しますが、明確に判断できない場合には、「40万年前以降」にさかのぼって評価することや、原子炉の近くを通る活断層や地下の構造を詳しく分析し、施設への影響を調べることが盛り込まれました。
活断層を巡っては、敷地内の断層の調査が行われている6か所の原発については、規制委員会が見解をまとめるまでは、新たな規制基準による運転再開の審査を行わないことになっています。
また、これまで国の基準がなかった津波については、発生の可能性がある最大規模を「基準津波」として想定し、原発を守る防潮堤や施設に水が入らない「水密化」などの対策を求めています。
さらに、火山の大規模な噴火による火砕流や火山灰などの影響や、竜巻による被害なども新たに評価するよう要求しています。

古い原発への対応

古い原発を巡っては、今回の規制基準とは別に、40年を超えて運転する場合に、原子炉や格納容器などの劣化を詳しく調べて評価する「特別点検」が導入されることから、電力会社によっては、経営上の判断として、対応に時間や経費がかかる原発の運転を再開させずに、廃炉を選択する可能性もあります。

新基準で原発運転再開判断へ

新基準の案は、11日から30日間、国民の意見を聞いたうえで最終的な修正を行い、ことし7月18日までに施行されます。
政府は、規制委員会が安全性を確認した原発を運転再開させる方針で、規制委員会が、ことし7月以降の新基準に基づく審査でどのような判断をするのか注目されます。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は記者会見で、「最も重要なことは過酷事故を起こさないことだが、世界のレベルに負けないような規制基準になったと思っている。電力会社には、きちんと私たちの意図をくんでもらい、規制基準の要求を上回るような安全対策に取り組んでいただきたい」と述べました。

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