■手話落語一門
大阪市阿倍野区にある上方落語家・桂福団治さん(72)の稽古場は、自分の練習や弟子たちへの指導で常に言葉が響き渡っている。だが月2回、無言の時間帯がある。
集まった人たちは、身ぶり手ぶりで何か表現している。耳の聞こえない人に落語を楽しんでもらおうと、福団治さんを中心に手話落語に取り組む「宇宙亭」一門の面々だ。メンバーは聴覚障害者ら22人。アマチュアながら年1回、ホールを借りて発表会を開き、他の手話落語サークルの活動も支援している。
福団治さんが手話落語を始めたのは、1975年の映画「鬼の詩(うた)」の主演がきっかけだった。原作は故・藤本義一さんの直木賞受賞作。映画公開後、福団治さんの落語を聞きたいという出演依頼が急増した。ところが各地の高座に出ているうちに、声帯にポリープができて声が出なくなってしまった。
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朝日新聞放送取材班