再生の原風景 渡良瀬
ラムサール条約への登録候補地、渡良瀬遊水地の魅力を写真で紹介
【社会】生活扶助費、削り過ぎ 300億円 識者試算生活保護世帯への生活扶助費引き下げ問題で、法律家や生活困窮者の支援者らでつくる「生活保護問題対策全国会議」が九日、厚生労働省で記者会見し、独自の調査結果を発表した。厚労省が物価下落による引き下げ分とする五百八十億円のうち、三百億円が過剰に削られている可能性を指摘した。 調査は日本福祉大の山田壮志郎准教授を中心に行われた。本紙との調査により、引き下げ分の算出で過大に計算された可能性が浮上している電気製品の支出割合について、全国百七十五の生活保護世帯にアンケートした。 その結果、生活扶助費に対する電気製品の支出割合は平均0・56%。これに対し、扶助費引き下げの根拠となった厚労省による生活保護世帯の消費者物価指数(CPI)は、その支出割合を4・2%としていたことが山田准教授の試算で分かった。 一般世帯は2・7%だが、厚労省は生活保護世帯も一般並みに電気製品を買うと仮定。生活保護世帯は家賃など除外費目も多く、相対的に電気製品の支出割合が高くなった。電気製品の物価下落幅は大きく、その支出割合を実際の七倍以上も高くしたために、算出されたCPI下落率が過大となり、生活扶助費の引き下げ幅を広げた可能性が高い。 一方、食料品は値上がりした品も多い。山田准教授は低所得者の消費傾向を踏まえた筑紫女学園大の池田和彦教授による試算も紹介。厚労省が4・78%とした生活保護世帯のCPI下落率は、教授らの支出割合に基づいて計算し直すと1・67〜2・81%ほどにとどまるとした。 山田准教授は「これは下位20%の所得者のデータに基づくもので、実際の下落率はもっと小さくなるだろう。三百億円は不必要な削減ではないか」と分析している。 同席した反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は「円安による物価上昇、アベノミクスによる2%の物価上昇、消費税増税など、これから上がることはまるで議論されていない」と指摘した。 <生活扶助費> 生活保護法に基づき、生活困窮者に支給される扶助のひとつ。食費や衣料費、光熱費、日用品費など、暮らしに必要な費用を給付する。同法で生活扶助に加え、住宅扶助、医療扶助、教育扶助など8種類の扶助を定めている。 PR情報
|