<記者リポート>
「午前10時過ぎです。大阪府警の捜査員が美容師法違反などの疑いで家宅捜索に入ります」

家宅捜索を受けたのは、大阪市中央区の「まつげエクステ店」で、去年12月、この店のオーナーが美容師免許を持っていないにも関わらず、客に対して「エクステ」をつけた疑いが持たれています。
関西地方に住む斉藤さん(仮名)は、この店でオーナーに「まつげエクステ」をつけてもらいましたが、その後すぐに眼に違和感を覚えました。
<斉藤さん(仮名)>
「もう眼が痛いです。いま、この瞬間も眼が痛くて」
「まつげエクステ」とは、長さ8ミリから16ミリほどの人工まつ毛に専用の接着剤をつけて、地毛に装着していきます。
高度な技術が求められ、美容師免許が必要です。
つけまつ毛のように毎日取り外す必要はなく、1度つければ3週間ぐらいはもつといわれています。
「エクステ」を装着する前と後を比べてみると・・・
その違いは歴然です。
ところが、この店での施術方法がずさんだったといいます。
<斉藤さん>
「ちょっとめくったら、つけまつ毛よりも分厚い、接着剤のような荒っぽい」
塗り込まれた、大量の白い接着剤。
さらには、はみ出してしまった人工のまつ毛まで・・・

痛みは収まらず5日後、眼科に駆け込んだところ、角膜炎と診断されました。
斉藤さんを治療した眼科医によると・・・
<眼科医 高見滝子院長>
「1本に1本つけるというのが原則なんですが、10本ぐらいが束になったものが、べたっと貼り付けられていて、自まつ毛が何本も一緒になってとめられていました。つけかたも、根本からの距離が非常にまちまちで、近すぎるもの、遠すぎるもの、それ同士がからまってしまったものも混じっていました」
人工まつげを装着する時に大量の接着剤を使ったため、その重みでまつ毛がたるんで切れてしまい、先端が角膜を傷つけてしまったというのです。
<高見滝子院長>
「角膜に傷がついた状態で放置していると、最悪視力低下を招くこともあります」
「まつげエクステ」を巡る健康被害は急増しています。
国民生活センターなどに寄せられた相談件数は、2004年は2件でしたが、ここ数年は100件近くに及んでいます。

こうした現状を受け、厚労省は5年前、「『まつげエクステ』の施術には美容師免許が必要」との見解を示しました。
斉藤さんはこの店に抗議しましたが、オーナー側からは耳を疑うような反論が・・・
<斉藤さん・電話>
「眼科の方にも行って、ちゃんと診断書ももらってるし」
<オーナー・電話>
「それはね、うちには関係ないんで。一応ね、その日はすごくきれいな目して帰られてるんで、何日も経ってから、うちには関係ないです」
さらに、オーナーが免許を持っているのか尋ねると・・・
<斉藤さん・電話>
「美容師免許も見せて頂きたいのと」
<オーナー・電話>
「あー、もちろんもちろん。あなた、なんの権利があって、免許みせなきゃけないんですか。あなた何の権利があるんですか」
<斉藤さん・電話>
「ない人にやってもらったと思ったら、困るじゃないですか」
<オーナー・電話>
「あなたは見る権利ないです」
免許は持っているものの、見せる必要はないと主張するオーナー。
斉藤さんの被害相談を受け、大阪市は先月8日、店の立ち入り調査を実施。
オーナーは「まつげエクステ」をするのに必要な、美容師免許を持っていなかったことが分かりました。
また、料金表に記されている「オーナーによる施術、追加1,500円」について、オーナーは「横で指示していただけ」と反論したといいます。
そこで取材班は、直接オーナーに話を聞くことにしました。

ところが・・・
<記者>
「毎日放送なんですけど」
<オーナー>
「あななたちは面白いわね、訴えてやる」
<記者>
「ちょっとお伺いしたいんですけど」
<オーナー>
「意味分かりませんよ」
美容師免許について、尋ねようとするも・・・
<記者>
「美容師の免許はお持ちですか?美容師の免許持ってないと違反になるんですけど、その当たりのご認識ありますか?」
<オーナー>
「・・・・」
オーナーは答えることなく、その場を立ち去って行きました。
警察は、21日の家宅捜索で、顧客リストなどを押収しました。

オーナーが免許を持たないまま、日常的に施術を行っていたのか調べるとともに、客の目にケガをさせた業務上過失傷害容疑での立件も視野に捜査する方針です。
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