
産業能率大学客員教授 西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は産業能率大学の客員教授として教鞭をとるとともに、新聞・雑誌などで執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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ファーストリテイリングの数字へのこだわり
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』という本が気になり、書店で「この本、ありますか?」と聞くと、「あー、切らしていますね。」と3軒とも言われてしまった。アマゾンで最初から買えば良いのだか、中身を少し見てからと思ったのと、どれくらい売れているのか知りたかった。大きな書店を回った訳ではないので、たぶん在庫は数冊だったのだろう。初版部数がめちゃくちゃ多いわけではなさそうだ。
しかし、私を含め、ネットで東洋経済オンラインの「ユニクロ社員が不幸になる“合理的な”理由」という記事を見た方は、同時期に発売されたこの本が気になったのではないだろうか? 「なぜ、1年で辞めてしまったのか?」「正社員・アソシエイト社員・準社員・アルバイト社員では何が違うのか?」など、気になる要素がいくつかあった。という訳で、書店で手に入らなかった私は、結局アマゾンで購入した。この本の中身が面白いか面白くないかで本を買った訳ではない。この本に関するメタ情報(付随情報)で、私は本を購入したのだ。つまり、必ずしも「売れている本=面白い本」ではない。
しかし、手に取ってもらうことがまず大事で、更に中身が面白ければ、著者が新刊を出したらまた買おうと思うだろう。どの業界も、商売の基本は同じような気がする。この本を読んでみて、ファーストリテイリングが数字にこだわっていることが分かった。そこで最新号のメルマガでは、「どう数字にこだわっているのか?」を分析している。
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