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「危機意識ない」首長・住民、怒りと諦め 福島第1トラブル

 使用済み燃料プールの冷却停止に続き、次々と明らかになる放射能汚染水の漏出。東京電力福島第1原発の度重なるトラブルに、福島県の原発周辺自治体や住民からは9日、怒りの声が上がった。全域で住民が避難を強いられている浪江町の馬場有町長は「これから復旧復興というところで水を差される。(東電は)危機意識がない」と憤りをあらわにした。

 浪江町は1日に避難指示区域が再編され、住宅が密集する地域への立ち入りが可能になったばかり。福島市の仮設住宅に避難している農家の志賀元治さん(65)は「不安を感じるが、東電の体質だと思っている」とあきれ顔。「死ぬときは自分の家でと思っていたが、もう帰れないと思う」と諦めたように話した。

 同じく避難中の無職田村サキコさん(83)も「家に帰って草むしりなどしたいが、(放射能への不安で)帰れない」と語った。

 昨年8月に立ち入り禁止の警戒区域が解除された楢葉町の松本幸英町長は、「帰還は原発の安定が前提。住民の不安が高まる」と復興への影響を危惧する。
 福島県は9日午後、地下貯水槽の新たな汚染水漏れ発覚を受け、東電の担当者を県庁に呼び、汚染水処理計画を見直すよう強く求めた。

 県による同様の申し入れは3月の停電事故以来、現地調査を含め10回目。古市正二県生活環境部次長は、東電のこれまでの対応を「場当たり的で先が見えない」と厳しく批判した。

 申し入れ後、古市次長は報道陣に「原発の安定に向け積み上げてきたものが崩れてしまう」と話し、県民の不信感増大を懸念した。


2013年04月10日水曜日


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