六回、右翼へのポテンヒットで二塁を陥れた西岡(撮影・中川春佳)【拡大】
(セ・リーグ、阪神2-0巨人、1回戦、阪神1勝、9日、甲子園)エースと4番だけではない。虎が誇るトップバッターのG倒への貢献度は計り知れない。西岡の足が、宿敵を混乱に陥れた。
「僅差の展開だったんで、1アウト一塁より二塁の方がいい。そのあとの鳥谷さん、マートンもやりやすいからね」
0-0で迎えた六回。2打席凡退で迎えた第3打席。先頭で宮国のスライダーに体は泳がされたが、打球は右翼・矢野の前にポトリ。その間に二塁まで奪う隙のない走塁を見せた。
だが、振り返ったのは次の場面。大和が犠打を試みるも投手の目の前に転がり、スタートを切っていた西岡は二、三塁間で挟まれる形に。だが、大和が二塁に到達するまで、粘ってからアウトに。走者設定が変わらない状況を作る隠れた頭脳プレーだった。
昨年11月の入団会見で「(巨人は)1番チーム力というか、常に優勝争いをするチームだと思う」。大リーグ・ツインズから日本に戻り、初めてタテジマに袖を通したと時から、ライバル心が芽生えた。経験の少ない甲子園での戦いにも「左中間、右中間が広い球場なので二塁打を三塁打にできるようなプレーをしたい。一つでも前の塁を狙いたい」とイメージを膨らませてきた。
発した言葉を力源とできる背番号7は「これまで初戦をとって負け越しが続いてきたんで、あしたしっかり勝ちたい」と言い切った。この男が言うのなら10日も勝つ…。そんな予感がする。(栃山 直樹)
(紙面から)