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旅ノート・散歩ノートのつくりかた
【最終回】 2013年3月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
奥野宣之

旅ノート・散歩ノートに
「学び」と「楽しさ」をどう加えるか?

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テーマ年表から昔のシーンが見える

 史跡や人物記念館のパンフレットには、よく年表が載っています。これをノートに貼って、たまに読み返したりしていると発見があっておもしろいものです。「もともとは今とは別の場所に建っていた」とか「有名な武将がお参りした」とか、イマジネーションをかき立てる記述があったりします。

 また、このようなテーマ年表は、日本史年表と組み合わせたりしてみると、いろんなことが見えてきます。たとえば、僕の好きな人物に幕末の探検家、松浦武四郎がいます。彼は大塩平八郎や吉田松陰、勝海舟など、有名人とたくさん交流したことでも知られています。

 三重県松坂市の松浦武四郎記念館でもらった彼の年譜には、1834年、17歳のころ「全国各地を巡る放浪の旅」と書いてあります。このとき大阪で大塩平八郎に会っているわけですが、ところで「大塩の乱」っていつだったっけ?と日本史年表を見てみると、1837年。なんと、大塩の乱が起こるわずか3年前に17歳の松浦が会っているわけです。その後、松浦は26歳まで放浪を重ねているから、きっと旅の途中で大塩の乱の話を知ったのでしょう。

 大塩が貧民救済のため反乱を起こして死んだ、と聞いたとき、20歳そこそこの彼は何を思っただろう?その後、彼が北海道に渡り、アイヌ民族を助けたことにも大塩の生き方が影響しているのではないか?こういうことを考えたりできるわけです。

 これが正しいかどうかは、誰にもわかりません。ただ、正しい歴史を学ぶより、昔の人の姿を生き生きと思い浮かべたり、自分だけの仮説を立てたりして「歴史学ごっこ」をするほうが、ずっと自由で、おもしろいと思います。

記念館でもらったパンフレットから年表を切り抜いてノートに貼る。縁遠い歴史上の出来事でもさまざまに想像が広がる。
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奥野宣之

1981年大阪府生まれ。同志社大学文学部でジャーナリズムを専攻後、雑誌や新聞の記者を経て、独自の情報整理術を公開した『情報は1冊のノートにまとめなさい』で著作デビュー。同書はシリーズ累計50万部以上のベストセラーになり、ノート本ブームをつくり出した。趣味は(できればクルマのいない静かな道をのんびりと)歩き回ること。近所の散歩に加えて、関西の史跡や古墳めぐり、出張ついでの日本各地の博物館、人物記念館めぐりを続けている。たまに野鳥観察や山歩き、鉄道旅行、街での写真撮影、食べ歩きなどもする。ノートに人生を記録する「ライフログノート」の提唱者としても注目を集め、NHK「クローズアップ現代」やTBS「はなまるマーケット」など、さまざまなメディアでも紹介されている。

 


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