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旅ノート・散歩ノートのつくりかた
【最終回】 2013年3月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
奥野宣之

旅ノート・散歩ノートに
「学び」と「楽しさ」をどう加えるか?

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「日常モード」に切り替わる前に加筆を

 まずは、簡単に切り抜きや道中メモを貼った「即席ノート」をざっと振り返ってみましょう。そこには、ある一日の体験が、朝から晩までそのままの形で保存されているはずです。猛暑の中、一時間も歩いたときのメモ、汗でボロボロになった拝観券など、そのとき自分の手にあったものがズラリと並んでいる。こういったものを見ながら、思い浮かんできたことをどんどん書いていく。これが基本です。

 この「加筆」は、いつやればいいのかというと、旅から帰って一週間以内がリミットです。近すぎるとしみじみ思い出すという感じでもないので、三日目くらいがベストでしょうか。経験上、一週間以上経つと印象が薄れるし、完全に頭が日常生活のほうにシフトしてしまって、「こんなことしてる場合じゃない」となってしまいます。

 つまり、「旅や散歩から戻って、まだ完全には頭が日常生活に切り替わっていないくらい」がちょうどいいということです。僕は、この加筆によく万年筆を使います。出先で万年筆を取り出すのは、大人な感じがしてあこがれますが、実際はインク漏れなどが心配ですね。でも、自宅なら安心というわけです。

 また、当日のメモと加筆した箇所を区別する意味もあります。それに、筆記用具を変えると、感じたり考えたりすることに変化が出てくるのも、なかなかおもしろいですね。僕の場合は、万年筆でコメントを書いていると、やや情緒的になるのが自分でもわかります。

古墳巡りをした時の奥野氏のノート。切り抜きや道中メモを貼り付けた後に万年筆で加筆。筆記具が変わることで思い浮かぶことも微妙に変わる。

後から見つけた「楽しさ」を追加する

 さて、後から感じて加筆することとは、どんなことでしょうか。ひとつは、日常に戻ってから思い出してみることで、はじめて感じるようなことがあります。たとえば、僕のノートに加筆してある次のようなコメントです。

「このローカル鉄道の雪景色はまさに“旅情”だった!」
「朝市で出会った婆さん、日焼けして、みんな同じいい顔してた」
「改めて考えてみると意外に大冒険。よく無傷で帰って来たもんだ。すごい」

 こういったことは、旅の最中や直後など頭が「外出モード」のときには気がつかないものです。ところが、一日中座って仕事していたり、電車に乗ったり、いつもの面々と会ったりして「日常モード」になってから見ると、「ああ、あれはホントに貴重だったなあ」と感じるわけですね。そんな「あとから見つけたこと」も、ノートに追加しておけば、旅の楽しい思い出は増えていきます。つまり、今回の旅や散歩が自分にとってどんな意味を持つのか、さらに価値を見出していくことができるのです。

加筆に役立つツール。左から筆タイプのサインペン「筆touchサインペン」、安い・細太兼用・色が多いと三拍子揃ったサインペン「プレイカラー2」、デコレーション用のローラースタンプ「フットマーク」。
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奥野宣之

1981年大阪府生まれ。同志社大学文学部でジャーナリズムを専攻後、雑誌や新聞の記者を経て、独自の情報整理術を公開した『情報は1冊のノートにまとめなさい』で著作デビュー。同書はシリーズ累計50万部以上のベストセラーになり、ノート本ブームをつくり出した。趣味は(できればクルマのいない静かな道をのんびりと)歩き回ること。近所の散歩に加えて、関西の史跡や古墳めぐり、出張ついでの日本各地の博物館、人物記念館めぐりを続けている。たまに野鳥観察や山歩き、鉄道旅行、街での写真撮影、食べ歩きなどもする。ノートに人生を記録する「ライフログノート」の提唱者としても注目を集め、NHK「クローズアップ現代」やTBS「はなまるマーケット」など、さまざまなメディアでも紹介されている。

 


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