マー貫禄の大谷斬り

　楽天が快勝した。２回に嶋の３ランで先行。４回に銀次の２ラン、５回にも嶋の適時打などで２点を加えた。先発の田中は安定した投球を見せ、７イニング５安打１失点で２勝目。日本ハムは新垣がプロ初登板したが５回途中７失点だった。

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　楽天のエース田中が、怪物ルーキーをねじ伏せた。初対決は２つの三振を含む３打数無安打。二刀流の大谷にプロの厳しさを教え込み、「そう簡単に打たれたら面白くない。何とか意地を見せることができたかな」と余裕の笑みを浮かべた。

　前日（８日）には「勝つことが一番」と大谷の存在に無関心を決め込んでいた。ただ、本能には逆らえない。３回の第１打席は３ボールから３球連続の直球で見逃し三振。５回の第２打席は外角低めの１４６キロで「狙い通り」と振り返る遊ゴロ併殺。そして、圧巻は７回の第３打席だった。

　試合の大勢は決していた。「展開も展開だったので」と大谷との１対１の勝負に出た。「打たれたら盛り上がるので、そうならないように三振を取ろうかなと思っていた」。オール直球で追い込み、最後も力勝負。１５０キロで空を切らせた。完勝だった。

　調子は万全ではなかった。それでも、その日の状態を確認しながらアウトを積み重ねる。チームを勝たせるというエースの任務を完遂した。星野監督が「比較するなよ」と振り返ったように、大谷との格の違いは明らかだった。

　プロは甘い世界ではない。田中のプロ初登板は１イニング２／３で６失点ＫＯ。涙の船出だった。着実に階段を上り、球界を代表する右腕に成長。開幕戦では、先発の則本に相手打線の特徴や開幕の雰囲気など“アニキ”としてのアドバイスを送った。これが６年間の経験だ。誰もが認める大黒柱に導かれ、チームは再び首位に立った。　（井上学）